【中国】特許権侵害紛争行政裁決模範確立業務通知の解釈(12月11日)

国家知識産権局は、12月11日付で11月19日公示した各地方政府の知識産権局に対する「特許権侵害紛争行政裁決模範確立業務通知(关于开展专利侵权纠纷行政裁决示范建设工作的通知)」 のポイントを押さえた解釈を公示したので、仮訳で紹介する。地方政府の知識産権局の特許権侵害紛争行政裁決については12月27日にガイドラインである「 特許権侵害紛争行政裁決指南 」が公示されており、増加の続いている特許権侵害紛争に対して、今後は地方の知識産権局が積極的に地方条例を作るなどして特許権侵害紛争に取り組むことが予想される。

以下は本解釈の部分仮訳である。

(1)制度の基礎を堅固にする。
 地方政府の立法部門が関連する地方条例に特許権侵害紛争の行政裁決に関連する手続きと実体的条項を加えることを奨励、支持する。関連する地方の法規を起草、改訂するときに特許権侵害紛争に関わる場合は、「処理する」、「決定を下す」などの表現を「行政裁決を下す」に調整しなければならない。

(2)受理ルートをスムーズにする。
 法律法規と法定手続きに厳格に従い特許侵害紛争行政裁決の職責を履行する。担当組織は特許権侵害紛争の行政裁決業務の根拠、法定職責及び案件の受理範囲を積極的に公開し、事件の処理手順と進行を公開する。人民裁判所、人民調停委員会及び専門調停組織の設立を推進するとともに行政裁決告知制度を実施し、弁護士と末端の法律サービス従事者を指導し、積極的に行政裁決ルートを知らせる。「誰が法を執行するか」の法律普及責任制を真剣に実施し、様々な方法で特許権侵害紛争行政裁決の優位性、業務効果と典型的な判例を宣伝し、関連権利者が行政裁決を通じて特許権侵害紛争を解決するよう奨励する。

(3)業務手法を革新する。
 特許権侵害紛争事件の立案登録制度を推進し、立案手続きを簡略化する。事件送達情報ネット公告制度を確立し、事件の送達の便宜を図る。立案時に請求人が意匠や実用新案特許の事件で特許権評価報告書を提出した場合、当事者の陳述と尋問を経て、特許権侵害紛争事件の書面審理メカニズムを進める。審理前に十分な準備ができ、証拠収集が全面的で、審理の調査で明確な事件である場合、口頭審理後裁決を下すことを奨励する。専門技術者として招聘された技術調査員は、事件処理に参加し、技術の事実の究明に協力し、鑑定意見を提供する。特許行政裁決と特許権確認手続きの連動メカニズムを確立し、係争中の特許が無効宣告請求を受けた場合、権利侵害紛争受理地の省(区、市)の知識産権局は、国家知識産権局知識産権保護司と専利局復審と無効審理部と共同で審理を行うことができる。

(4)連携調整を成し遂げる。
 地方政府の知識産権局が特許権侵害紛争を裁決する場合はまず調停するとともに、行政指導などの方法を十分に運用し、事実調査結果、専門鑑定或いは法律意見を提供することによって、当事者の紛争解決の協議を推進しなければならない。当事者が調停を経て合意に達した場合、地方政府の知識産権局は速やかに調停合意書を作成するとともに、当事者が法に基づき司法による確認を請求するよう誘導しなければならない。調停による合意が不調の場合、地方政府の知識産権局は速やかに裁決を下さなければならない。争いのない事実記載制度を確立し、調停過程に確認された争いのない事実については、行政裁決過程において当事者は改めて立証する必要はない。但し、国家の利益、公共の利益及び他人の合法的権益に関わる場合、或いは相反する証拠があり元の確認事実を覆すのに十分である場合、当事者に改めて立証を求めなければならない。

(5)作業メカニズムを健全化する。
 省クラスの知的財産権局と案件量の比較的多い市クラスの知識産権局は、具体的に業務を担当する専門部署或いは専門担当者を明確にする必要があり、行政判断業務と社会の両ニーズを満足することを確保する。特許権侵害紛争行政裁決事件の各クラスの行政部門における監督、移管、移送などの手順を完成させ、職責の明確化、権限の平等、効率的な活動体制メカニズムの構築を加速させる。事件等級指導システムを確立し、省或いは市をまたがり全国的に影響のある事件は国家知識産権局が指導或いは監督し、市クラスをまたがる事件は省(区、市)の知識産権局が指導または監督する。上級機関の委託或いは地方法規の授権方法を通じ、法に基づき条件のある県クラスの知識産権局が特許権侵害紛争行政裁決業務を展開することを推進する。省(区、市)の知識産権局は管轄区内の法律執行処理基幹を法により集中組織し、管轄区内の重大、難事件を速やかに処理することができる。

(6)能力確立を強化する。
 各地方政府の知識産権局は特許権侵害紛争行政裁決チームの確立を強化し、強力なスタッフを配置し、国家統一法律職業資格を取得した人員を優先的に配置し、行政裁決に従事させる。集中教育、業務指導、判例講座、評価の審査などを通じて、行政裁決担当者の専門的能力と業務水準を向上させる。行政裁決チームの専門化、職業化発展モデルを積極的に模索し、事件の解決に役立つ特許権侵害紛争行政裁決専門チームを育成する。特許権侵害紛争検証鑑定技術サポートシステムの建設活動を積極的に展開し、地方での知的財産権侵害判定専門家バンクの確立を推進し、法律顧問と公務弁護士の役割を発揮し、さらに行政裁決の処理能力及び事件の処理の専門性を向上させる。

 知的財産権侵害紛争行政裁決業務を展開することは、党中央、国務院の知的財産権保護の全面的強化に関する重要な取組みを深く貫徹することになり、中国の「知的財産権保護強化に関する意見」の重要な実施を推進することでもあり、特許権侵害紛争行政裁決モデルの建設を展開することは、知的財産権侵害紛争行政裁決業務を推進する具体的な措置である。国家知識産権局は引き続き党中央、国務院の知的財産権保護強化に関する重要な配置と要求を真剣に貫徹し、関連部門と共同し、地方政府の知的財産権管理部門を指導し、特許侵害紛争行政裁決モデル建設業務を真剣に組織し、より大きな力で知的財産権保護を強化し、事業者環境を最適化する。

参照サイト:
12月11日  https://www.cnipa.gov.cn/art/2019/12/11/art_2432_170429.html
11月19日  https://www.cnipa.gov.cn/art/2019/11/19/art_75_132022.html

【中国】2019年度商標出願審判状況

商標局商標評審部は、12月27日付、2019年1月-12月の処理状況を公示したので、概要をご紹介する。

1.商標出願審判受理状況
2019年は累計360,996件を受理し、対前年同期比+15.17%。その内、拒絶査定不服審判が302,096件、同+10.86%。当事者系審判が58,900件、同+43.86%。
処理状況は、337,154件と同+32.82%である。

2.行政再審状況
行政再審査請求は1,018件を受理し、同+46.90%増、処理は936件で、同+52.2%である。

3.行政不服訴訟状況
行政訴訟は、一審の被訴事件14,292件、同+26.79%増。第二審被訴事件は5,643件、同+37.73%。再審請求の被訴事件は575件、同+38.22%である。

参照サイト: http://spw.sbj.cnipa.gov.cn/gzdt/201912/t20191227_309532.html

【中国】特許権侵害紛争行政裁決指南の施行(2019年12月27日)

国家知識産権局は、12月26日付、11月22日に意見募集を行った特許権侵害紛争行政裁決指南を正式に公布し、地方政府の知識産権局に通知し、施行した。

特許権侵害紛争行政裁決指南は、全5章と書式集で構成されており、構成は下記の通り。
第一章 概要
 第一節 特許権利侵害紛争と行政裁定
 第二節 基本概念
第二章 事件手続き
 第一節 事件の受理と審査
 1.当事者、2.受理条件、3.受理資料の審査、4.立案手順
 第二節 証拠調査
 1.証拠の種類及び形式、2.当事者の挙証、3.証拠の調査収集
 第三節 事件の審理
 1.審理手続き、2.証拠交換と質疑、3.結審、4.執行と公開、5.特許法執行行政訴訟
第三章 特許権利侵害行為の認定
 第一節 特許の実施行為
 1.製造、2.使用、3.販売、4.販売の申出、5.輸入、6.製品製造方法特許の拡張保護
 第二節 特許権利非侵害行為
第四章 証拠の認定
 第一節 基本概念と一般規則
 1.基本概念、2.証拠認定の一般原則
 第二節 いくつかの典型的証拠の認定
 1.文書、2.物証、3.視聴覚資料、4.当事者の陳述及び承認の証言、5.鑑定意見、6.記録及び電子的証拠
第五章 特許権利侵害判定
 第一節 発明、実用新案特許権利侵害判定
 第二節 意匠特許権利侵害判定
付録 各種書式

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2019/12/27/art_2073_143004.html

【マレーシア】商標法改正施行(2019年12月27日)

マレーシア知的財産庁(MyIPO)は、12月27日付、マドプロ国際商標条約への加盟発効及び国内商標法の改正施行を公示した。改正内容は下記の通り。

  • 保護対象を非伝統的商標に拡大
    音、色(単色或いは組合せ)、ホログラム、位置、におい、形状(商品自体かパッケージ)、動き、及び商標要素の組合せの出願が可能になった
  • 多区分一出願の導入
  • 団体・証明商標制度の導入と防御商標制度の廃止
  • 出願日認定の明確化
    従来の出願受付日から、未補完書類や外国語商標の翻訳や翻案がある場合、補完が完成した時点で、出願日が認定されるように変更となった。優先権主張のある場合、優先権主張日まで出願日(登録日と見なし)は繰り下がらない。優先権主張を伴う出願の場合、先願による排除権のみが機能する
  • 拒絶理由通知の明確化
    絶対的拒絶理由と相対的拒絶理由に分けた審査がされるようになる。また、当事者の同意書を審査に活用するコンセント制度を導入、但し無条件受け入れではない
  • 分割出願及び出願併合制度を導入
  • 登録証発行廃止
    簡便なシールを添付した認可通知が発行される。登録証が必要な場合は、別途有料で発行を請求することができる
  • 登録確定の推定期間の短縮
    除斥期間が7年から5年に短縮された
  • 不使用取消理由の追加
    商標が希釈化し一般名称となった場合、また、品質、性質や地理的出所などと誤認されるようになった場合も、不使用取消の対象となる。
  • ライセンス登録義務の廃止
    被許諾使用者の登録義務を廃止し、ライセンス契約書があれば第三者対抗要件となる。なお、ライセンス登録は可能であるため、ライセンス登録をお勧めする。
  • 商標権侵害の拡大解釈導入
    指定商品や役務の解釈を類似するところまで、禁止権を拡大解釈するように変更した。また、侵害行為者を侵害寄与や侵害関係者として、代行、保管、展示などの行為者も侵害行為者に含む。こうしたことから原告の侵害立証義務が少し緩和されると思われる
  • 模倣品対策の規定導入
    虚偽表示や誤認させる使用に対する罰金1万リンギットを規定した
  • 理由のない警告に対する救済の導入
    単純な警告から訴訟など具体的な権利行使に動く可能性が高い
  • 担保権の導入
    商標権も一般物件と同様に担保の対象となった
  • 弁護士依頼者間の秘匿特権の規定
  • 移行措置
    旧法中出願の係属中出願には旧法が適用されるが、新法の適用を請求する権利が出願には留保されている。

参照サイト:
商標法 http://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2019/12/ACT-815-TRADEMARKS-ACT-201.pdf
ガイドライン https://drive.google.com/file/d/1go_DlUdCQ3wpKM2oMhlR6yKjPzgA_63I/view

【中国】「レクサス」独占禁止法違反で8761万元(約14億円)の処罰

すでにニュースサイトで発表されているが、国家市場管理監督総局は、12月27日付、12月6日付江蘇省市場管理監督局(旧物価局)は、トヨタ自動車(中国)に対して、反独占法(独占禁止法)に基づき、2017年12月からレクサスブランドの自動車販売において価格独占行為の被疑違反を調査後、2019年11月20日に「行政処罰法」などに基づき、処罰決定を行う旨の事実、理由及び根拠を通知する処罰書を発行したことを公示した。

当局の調査は、蘇州、無錫、常州の地区を詳細に実施しており、2015年6月から2018年2月まで、トヨタの区域販売マネージャーはディーラー会議を開催し、店舗を巡回し、WeChat通知などを通じて、江蘇省内の販売代理店にインターネットでレクサスを販売する場合、レクサスES 200、ES 300h、NX 200、CT 200、RX 450、NX 300、LX 570、LSシリーズなどの重点車種の最低転売価格が6%以上の割引をしてはならない制限しているなどが説明されている。

当局は、トヨタ自動車中国の価格維持管理とディーラーの対応状況や販売価格を確認し、当事者の行為は独占禁止法第14条に定める「第三者へ転売する商品の価格の固定」、「第三者へ転売する商品の最低価格の制限」に該当し、価格維持に該当することを認定し、当事者の優位な地位をディーラー間の市場競争を市場の競争を排除し、制限するとともに、自動車ブランド間での競争を弱体化させたために、結果的に消費者が十分な競争による価格での購入や選択権が制限されたことでの利益を損なうと認定した。

これにより、独占禁止法第46条、第49条の規定に基づき、違反行為の停止及び前年度(2016年度)の売上高の2%の罰金87,613,059.48元(約14.01憶円)の処罰が下された。処罰に対しては、15日以内に対応するか、60日以内に再審請求をする或いは6か月以内に中級人民法院に行政不服訴訟を起こすことができる。

認定や適用のご参考まで。

参照サイト:http://www.samr.gov.cn/fldj/tzgg/xzcf/201912/t20191227_309552.html

【中国】「最高人民法院による民事訴訟証拠に関する若干の規定」の改正施行(2020年5月1日)

最高人民法院は、2002年に公布された「最高人民法院による民事訴訟証拠に関する若干の規定(最高人民法院关于民事诉讼证据的若干规定)」を2020年5月1日に改正施行すること、12月26日付公示した(法釈〔2019〕19号)。本規定は、2001年に最高人民法院審判委員会第1201回会議で制定され、2019年10月14日の第1777会議での改正が承認されたものである。

本規定は6章100条から構成され、概要は下記の通り。
第1部 当事者立証 (第1条―第19条)
   新設:第6-8条、第12-15条
第2部 証拠の調査収集と保全(第20条―第48条)
   新設:第24条、第26条、第28-30条、第33-35条、第37-39条、第42条、第45-48条
第3部 立証期限と証拠の交換(第49条―第59条)
   新設:第52条、第55条、第59条
第4部 証人尋問(第60条―第84条)
   新設:第63-66条、第69条、第71条、第73条、第75-79条、第81条、第83-84条
第5部 証拠の審査認定(第85条―第97条)
   新設:第86条、第89条、第91-94条
第6部 その他(第98条―第100条)
   新設:第99条

新設条項の中で、電子通信に関する証拠は、第14条、第15条に下記の通り規定されている。
第14条 電子データには以下に掲げる情報、電子ファイルが含まれる:
(1)ウェブサイト、ブログ、ミニブログなどのインターネットプラットフォームからリリースされた情報;
(2)携帯メール、電子メール、インスタントメッセージ、通信グループなどのネットワークアプリケーションサービスによる通信情報;
(3)ユーザ登録情報、身元認証情報、電子取引記録、通信記録、ログインログなどの情報;
(4)文書、写真画像、音声、映像、デジタル証明書、コンピュータプログラムなどの電子ファイル;
(5)事件の事実を証明できるデジタル化され保存、処理、送信されるその他の情報。

第15条 当事者が視聴資料を証拠とする場合、当該視聴資料を格納する原記録媒体を提供しなければならない。
 当事者が電子データを証拠とする場合、原本を提供しなければならない。電子データの作成者が作成した原本と一致する副本または電子データから直接派生した印刷物または表示・識別できるその他の出力媒体は、電子データの原本と見做すことができる。

参考サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-212721.html

【中国】浙江省高級人民法院は「電子商取引プラットフォーム知的財産権利侵害事件審査ガイドライン」を発布(2019年12月26日)

浙江省高級人民法院は、12月26日付、「電子商取引プラットフォーム知的財産権利侵害事件審査ガイドライン(涉电商平台知识产权案件审理指南)」(浙高法民三〔2019〕33号)の発布を公示した。浙江省内の中級人民法院及び基層人民法院での運用となるが、参考になるのでご紹介する。

 本指南は、5部37項目からなるが、プラットフォーム事業者の義務と責任、また最近通報の多い相手を貶めるための悪意通報の認定を項目を立てて記載している。
一、基本原則
二、一般原則
三、「通知-取消」規則について
四、電子商取引プラットフォームの過失認定について
五、錯誤通知と悪意の通知について

 原告として知的財産権者が注意しなければならない点は、「一般原則」に記載の共同侵害行為になる場合が多いために、訴訟地は自身の購入地ではないこと、「通知―取消」に記載のプラットフォーム事業者に対する侵害警告(通知)、知的財産権の安定性(侵害判定書、実案意匠の評価書の提供など)、またプラットフォーム事業者のとった対応が合法的、合理的で適正であったかどうかであろう。
 一方、中国では最近、悪意を持った通報(投訴)が多く発生しており、日本企業もそうしたターゲットなる可能性は否定できないため、第28項に記載の虚偽の通知であるかどうかを判断する内容には少なくとも配慮する必要がある;
(1)偽造、変造した権利証明書
(2)当該権利の状態が不安定または瑕疵があることを知っている
(3)通知ミスを知ったにもかかわらず、直ぐに取下げない
(4)虚偽の鑑定意見を提供している
(5)以前に同種の通報をした事例がある
 なお、「電子商取引法」第42条第3項の規定に基づいて、悪意のある通知者に賠償責任を求める権利がある。

参照サイト:http://www.zjsfgkw.cn/art/2019/12/26/art_78_19527.html

【中国】「医薬品、医療機器、保健食品、特殊医療用途調整食品の広告審査管理暫定弁法」施行(2020年3月1日)

国家市場管理監督総局は、12月24日付、6月に意見募集していた「医薬品、医療機器、保健食品、特殊医療用途調整食品の広告審査管理暫定弁法《药品、医疗器械、保健食品、特殊医学用途配方食品广告审查管理暂行办法》」を 12月13日に第16回局務会議で審議可決し、2020年3月1日から施行することを公示した (局令2019-21号)。本弁法は、広告法の第9条、第16条、第17条、第18条、第19条に基づき、事業視覚の停止のほかに同じく第55条、第57条、第58条、第59条、第65条の処罰を受けることになる。なお、悪質な場合の処罰の3倍以下などの増額も規定されている。

なお、注意すべき広告宣伝に関する記載や表記事項は下記の通り:
(1)国家機関、国家機関従業員、軍隊単位または軍隊人員の名称や名義またはイメージを使用し、或いは軍隊装備、施設などを利用して広告宣伝する;
(2)研究機関、学術機構、業界協会または専門家、学者、医師、薬剤師、臨床栄養士、患者などの名称や名義、またはイメージを使って推薦、証明する;
(3)科学法則に反し、すべての病気を治療し、すべての症状に適応し、すべての人に適応すること、或いは正常な生活と病気を治療するために必要なことを明示、暗示する;
(4)一般公衆が置かれている健康状態と病気に対して不必要な心配と恐怖を引き起こす、或いは当該製品を使用しないと病気になるかまたは病状が重なる内容で誤解させる
(5)「安全」「安全無毒無副作用」「毒や副作用が小さい」を含む、「天然」成分であることを明示または暗示し、安全性が保証されるなどの内容がある;
(6)「热销(売れ行き好調)、抢购(買占め、品薄)、試用」「家庭必备(家庭必需)、免费治疗(無料治療)、免费赠送(無料贈呈)」など誘導性があり、「评比(批評)、排序(順位)、推荐(推薦)、指定、选用(選択)、获奖(受賞)」などの総合的評価内容が含まれる内容があり、「无效退款(払戻無効)、保险公司保险(保険会社の保険)」などの保証内容により、消費者に任意で、薬品、保健食品及び特殊医療用途調整食品を過剰に使用させる内容がある;
(7)医療機関の名称、住所、連絡先、診療項目、診療方法及び義診、医療相談電話、特約外来診察などの医療サービスの内容が含まれる;
(8)法律、行政法規の規定が含まれてはいけないとするその他の内容がある。

本弁法の施行に合わせて、 食品広告発表暫定規定、薬品広告審査弁法、医療機器広告審査弁法などが廃止される。医療機器にはコンタクトレンズなど日本ではそのカテゴリーに含まれない製品も含まれるので、関係者は対象を調べるなど注意が必要である。

関連サイト: http://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/201912/t20191227_309564.html 意見募集稿: http://www.samr.gov.cn/hd/zjdc/201906/t20190606_302244.html

【中国】悪意登録商標出願を13万件却下(12月23日)

商標局は、12月20日に商標に対する悪意ある登録審査実務説明会を開催したことを報じ、商標の悪意ある登録行為に打撃を与える対策を強く維持し、商標登録秩序を強力に規範化すると表明し、2018年から約13万件の悪意商標出願が審査、異議、審判を通じて却下されたことを報じた。

同説明会には約200社の企業と商標代理人が参加し、会議では商標代理人に商標法を遵守し、悪意商標出願しないことを遵守する書面を提出することが求められ約160の代理人が署名し提出したと報じられている。

2019年11月までに中国の商標登録出願件数はすでに712.1万件に達し、累計有効登録商標数は2,478万件に達し、中国の法人の約4.9社に1つの登録商標を所有している計算になる。中国は、全世界でトップの商標出願件数を17年連続続けており、2018年は全世界の商標出願件数の52%を占め、また有効登録商標でも40%を占める。

同説明会は、商標局の夏青氏は、商標の悪意ある登録に打撃を与えるために入口規制を強化するとともに、知的財産権の保護を強化するには多方面の協力が必要であり、企業、社会と政府が連携して知的財産権を保護するための良好なビジネス環境を創造することを強調した。

参照サイト: http://sbj.cnipa.gov.cn/gzdt/201912/t20191223_309386.html

【中国】「より良い発展環境の構築に関する民間企業の改革発展を支持する意見」の公布(12月22日)

国務院は12月22日に12月4日にまとめた「より良い発展環境の構築に関する民間企業の改革発展を支持する意見(关于营造更好发展环境支持民营企业改革发展的意见)」(以下、意見)を公布したと新華社を含む中国のメディは一斉に報じた。これには、すでにご紹介している11月24日に発表された「知的財産権の保護強化に関する意見(関于強化知識産権保護的意見)」が含まれている。本意見では、第12項目にその旨記載されている。以下は本意見の要旨、目次と知財関連部分の仮訳であり、前文は以下のように指摘している。

改革開放40年来、民間企業は発展し、イノベーションを促進し、雇用を増加させ、人民の生活の改善と開放の拡大などの面でかけがえのない役割を果たした。民間経済はすでにわが国の共有制を主体とした様々な種類の所有制経済の共同発展の重要な構成部分となっている。民間企業の活力と創造力を一層刺激するために、民間経済の供給側の構造的な改革を推進し、高品質の発展を推進し、現代化経済体系を建設する上で重要な役割を十分に発揮する。

最後に、各地区の各部門がより良い発展環境を構築し、民間企業の改革発展を支援する重要性を十分に認識し、党中央、国務院の政策決定配置に確実に思想と行動を統一し、組織の指導を強化し、仕事のメカニズムを改善し、具体的な措置を制定し、本意見の徹底を真剣に把握しなければならない。国家発展改革委員会は関係部門と適宜に民間企業の改革発展を支持する政策実行状況を評価し、重大な状況は速やかに党中央、国務院に報告しなければならないとまとめている。

一、全体の要求
(一)思想の指導
(二)基本原則
二、公正競争の市場環境の最適化
(三)民間企業の市場参入許可をさらに開放
(四)公平統一の市場監督管理制度の実施
(五)公正競争審査制度の強い制約の強化
(六)入札での隠蔽的障壁を除去
三、正確で効果的な政策環境の改善
(七)企業の税金負担をさらに軽減
(八)銀行金融機関サービス民営企業体系の健全化
(九)民間企業の直接融資支援制度の充実
(十)民間企業の融資強化支援制度の健全化
(十一)清算と延滞防止の長期的効果機構の確立

四、平等保護の法治環境の健全化
(十二)法執行司法の民間企業に対する平等保護メカニズムの健全化。
民間企業に対する刑事保護のレベルを強化し、法による民間企業投資家、管理者及び従業員の合法的権益を侵害する違法犯罪行為を処罰する。司法裁判と執行効率を高め、訴訟の遅延による企業の生産経営に影響を及ぼすことを防止する。民間企業家が規律監察機関に協力し調査を行う際の身体と財産の合法的権益を保障する。知的財産権侵害の懲罰的賠償制度を健全化し、訴訟証拠規則、証拠開示及び証拠の妨害排除規則を完備させる。
(十三)民間企業と企業家の合法的財産の保護

五、民間企業の改革と革新の指導奨励
(十四)民間企業の改革深化の指導
(十五)民間企業の革新強化の支援
(十六)民営企業の転換と増強の奨励と再編成の最適化
(十七)民間企業の国家重大戦略実施機構の完備
六、民間企業の健全な発展の促進
(十八)民間企業の事業専心へ誘導
(十九)民間企業の法律遵守とコンプライアンスを推進
(二十)民間企業の社会的責任の積極的履行の推進
(二十一)民間企業家の健全な成長の指導
七、親政商関係の構築
(二十二)規範化メカニズムの確立、政治・企業の疎通ルートの構築
(二十三)外国企業の政策制定と執行機構の完成
(二十四)民間企業のビジネスモデルの革新。
(二十五)政府の誠実と信用の契約履行機構の確立
八、組織保障
(二十六)民営企業の党建設活動機構の確立、健全化
(二十七)民営企業の改革・発展の支援活動機構の完備
(二十八)世論誘導と模範作業機関の健全化

参考サイト:新華社
http://www.xinhuanet.com//2019-12/22/c_1125374871.htm

【台湾】「知的財産及び商事裁判所」の新設法案通過(12月17日)

台湾立法院は、2019年12月17日付、「商事事件審理法」と「知的財産及び商事裁判所」の新設に関する法案を三読会を通過させた。今後施行となれば、台湾での民事訴訟は二級二審制度になり、迅速な対応が期待される。

「商事事件審理法」は全7章81条からなり、以下の内容が含まれる。
①裁判審理にインターネットなどの電子手続きの導入、
②専門高等裁判所として 重大な商事事件を担当 する「知的財産及び商事裁判所」の新設、
③重大な商事事件を弁護士業務とする弁護士強制制度(一般代理の制限)の導入、
④調停から事件対応を開始し、司法の負担を減少させる強制調停制度の導入、
⑤専門家証人及び当事者照会制度の導入、
⑥秘密保持命令制度の導入。

「知的財産裁判組織法」を改正し「知的財産及び商事裁判所組織法」を制定する。
①商事裁判所と知的財産裁判所を併合して、「知的財産及び商事裁判所」とする
②新設裁判所は知的財産廷と商事裁判廷からなり、3名からなる合議体で「商事事件審理法」の第2条2項の重大な商事事件を担当する。
③商事裁判官は専門知識を有する弁護士や行政官から担当させることができる。また、調査官を設置する。

参照サイト: https://www.judicial.gov.tw/tw/cp-1887-131619-9fe4c-1.html

【中国】中国通信院は「インターネット法律白書(2019年)」を公表(12月19日)

中国情報通信研究院は、12月19日付、 「互联网法律白皮书(インターネット法律白書)2019年」を公表した。本白書では、過去1年間の国内外のインターネット分野における重要な立法、法執行、及び司法活動、インターネット上の法支配の重要なポイント、法の支配の将来の動向をまとめているため、現状の中国でのネット環境や法律進展を確認するのは大変便利である。

白書は、3部構成で、下記のような内容である。知的財産関連の部分はご参考まで。
1.国際的インターネット立法の進展
(1)サイバーセキュリティの向上、データ管理規則の構築
(2)ネットワークの内容管理、プラットフォームの責任
 3.ネットの著作権保護を強化、プラットフォームの責任を明確化
(3)個人情報保護立法の充実、全面的な法律執行能力の増強
(4)新技術新業務の発展奨励、規範化
2.国内インターネット法治の進展
(1)ネットワーク空間法体系の構築
(2)インターネットの法律執行力の持続的増強
 3.知的財産権侵害行為に対する打撃
(3)インターネットでの能動的司法
(4)ネットワーク法治の研究深化
3.未来の趨勢展望
(1)持続的立法の充実、重点の逐次移転
(2)法執行能力の着実な向上、司法改革の全面的推進
(3)多面的国際協力、ネットワーク空間運命共同体の構築

参考サイト: https://mp.weixin.qq.com/s/_YSLyTnGEuohDSmxlBszbQ

【韓国】特許法改正施行、方法特許の申し出を侵害態様に追加(2020年3月11日)

韓国政府は特許法の改正を 2019年12月10日付で公布し、2020年3月11日から施行される。改正内容は、第2条(定義)の3項の実施について、ロ号の方法の発明の場合:「その方法を用いる行為」を「 その方法を用いる行為またはその方法の使用を申し出る行為」と改正し、使用の申し出を侵害態様に追加した。
 なお、 第94条(特許権の効力)に下記の②を追加し、侵害を知りながらの条件付きとしている。
②特許発明の実施が第2条第3号ロ目による方法の使用を申し出る行為の場合、特許権の効力は、その方法の使用が特許権または専用実施権を侵害するということを知りながらその方法の使用を申し出る行為にのみ及ぶ。

韓国特許法は、 「記録媒体に記録されたプログラム」のみを特許付与対象してきたために、オフラインで流通される場合にのみ保護され、コンピュータプログラムなどで具現化された発明技術の方法を含むソフトウェアがオンラインで販売、提供する行為を規制する改正が2005年から検討されており、今回の改正で導入されることになる。

ただし、「申出」が対象であり、「知りながら」を条件とするため、プログラムを侵害行為と知りながらオンラインで提供する者、具体的にはソフトウェアやデータを送信する行為やプラットフォームにアップロードする行為に対してのみ権利行使が可能であり、プログラムの使用には権利行使が可能ではない点に留意するしなければならない。もちろん、個人や善意の使用者にも権利行使はできない。権利範囲は狭く、また被疑侵害行為を立証する課題は大きいと思われる。

出展:Kim&Chang

【中国】民法典(草案)公示(12月16日)

12月16日付、中華人民共和国民法典の草案が公表された。しかし、政府サイトにはいまのところ掲載されていない。草案は7編1260条からなり全体の構成は下記の通りであるが、2017年10月1日に制定された民法総則が含まれ、その一部は改正されている。また、技術契約については契約法の関係規定が援用されている。なお、これまでに、常任委員会は物権、契約、相続を2回、 人格権、婚姻家族および権利侵害を3回にわたり審査している。

第一編 総則
第二編 物権
第三編 契約
第四編 人格権
第五編 婚姻家庭
第六編 相続
第七編 権利侵害責任

本草案で、知的財産や技術契約などに関する条項は下記の通り。技術契約については重要なため、これらの条項を仮訳でご紹介する。
第一編 総則 
 第5章 民事権利(所有権)第123条
 第8章 民事責任 第179条
 第9章 訴訟時効 第188条
第二編 物件 第四部 担保物権
 第18章 質権 第440条 第444条
第三編 契約 第二部 典型的契約
 第9章 売買契約 第600条
 第20章 技術契約 
 第一節 一般規定 第843-850条
 第二節 技術開発契約 第859-861条
 第三節 技術譲渡契約及び技術許諾契約 第862-877条
第五編 婚姻家族 
 第3章 家族関係 第一節 夫婦関係 第1062条
第七編 第二章 損害賠償 第1185条

第一編 総則 
第5章 民事権利(所有権)
第123条 民事主体は知的財産権を享有する。
知的財産権とは、権利者が法に基づき次に列挙する専有権を享有する。
①著作物、②発明、実用新案、意匠、③商標、④地理的表示、⑤営業秘密、⑥集積回路配置設計、⑦植物新品種、⑧法律が規定するその他の客体。
第8章 民事責任
第179条 民事責任は主に次に列挙する方法で負担する;
①侵害停止、②妨害排除、③危険消去、④財産返還、⑤原状回復、⑥修理、再製、交換、⑦継続履行、⑧損害賠償、⑨違約金支払、⑩影響除去、名誉回復、⑪謝罪
 法律が懲罰的賠償を規定している場合、その規定を参照する。
 本状が規定する民事責任を負担する方法は、単独での適用或いは組合せでの適用もできる。
第9章 訴訟時効
第188条 民事上の権利を人民法院に訴訟により請求する時効は3年とする。法律に別途規定がある場合はその規定を援用する。
 訟時効の起算日は権利者が損害を知った日或は知りえた日とする。ただし、損害を受けた日より20年経過した場合、人民法院は保護を与えない。特殊な事情がある場合、人民法院は権利者の申請に基づき延長することができる。

第二編 物件 第四部 担保物権
第18章 質権 第2節
第440条 以下に掲げる権利を処分することができる債務者または第三者は質に出すことができる。
①為替手形、手形、小切手、②債券、預金証書、③倉荷証券、船荷証券、④譲渡可能なファンド持分、株式、⑤譲渡可能な登録商標専用権、特許権、著作権などの知的財産権における財産権、⑥既存及び将来の売掛金、⑦法律、行政法規に規定される担保のその他の財産権
第444条 登録商標専用権、特許権、著作権などの知的財産権に質権を設定する場合、質権は質権登記時から成立する。
 知的財産権における財産権の質権設定後、質権設定者は譲渡或いは他人に使用許諾することはできない。但し、質権設定者及び質権者の協議により合意した場合は除く。質権設定者が質権設定した知的財産権における財産権を譲渡或いは他人に使用許諾した収益がある場合、事前に質権者に前倒し返済するか或いは預託されなければならない。

第三編 契約 第二部 典型的契約
第9章 売買契約
第600条 知的財産権表示のある物を売る場合、法律に別段の規定があるかまたは当事者に別段の約定がある場合を除き、当該表示のある物の知的財産権は買取人に帰属しない。
第20章 技術契約
第一節 一般規定
第843条 技術契約とは、当事者が技術開発、譲渡、許諾、コンサルティング或いはサービスに関して締結する相互の権利及び義務を確立する契約である。
第844条 技術契約を締結する場合、知的財産権の保護及び科学技術の進歩に有利であり、科学技術の成果の研究開発、転化、応用及び普及を促進しなければならない。
第845条 技術契約の内容は一般的にプロジェクトの名称、内容、範囲及び要求、履行計画、場所及び方式、技術情報及び資料の秘密保持、技術成果の帰属及び収益の分配手続き、検収基準及び方法、用語及び用語の解釈などの条項を含むものとする。
 契約履行に関する技術背景資料、実施可能性検証及び技術評価報告、プロジェクト役割書及び計画書、技術標準、技術仕様、原設計及び製造加工文書、及びその他の技術文書は、当事者の約束により契約の構成部分とすることができる。
 技術契約が特許に関する場合、発明創造の名称、特許出願人及び特許権者、出願日、出願番号、特許番号及び特許権の有効期間を明記しなければならない。
第846条 技術契約の代金、報酬または使用料の支払方法は当事者が約定する場合、一括払い、一時払い或いは一括払い、分割支払い、使用料支払い、初期前払い及び使用料の方法を採用することができる。
 約定された使用料の支払いは、製品の価格、特許の実施及び技術秘密の使用後に新たに追加された生産額、利益或いは製品の販売額の一定比率、或いは約定したその他の方法で計算することができる。約定支払比率は、固定比率、逐年逓増比率、或いは逐年逓減比率を採用することができる。
 約束した支払について、当事者は会計に関する検査方法を約定することができる。
第847条 職務技術成果の使用権、譲渡権が法人或いは非法人組織に帰属する場合、法人或いは非法人組織は当該職務技術成果について技術契約を締結することができる。法人或いは非法人組織が職務技術成果を譲渡する技術契約を締結する場合、職務技術成果の完成者は、同等の条件で優先的に譲渡を受ける権利を有する。
 職務技術成果とは、法人或いは非法人組織の職務任務の執行、或いは主に法人或いは非法人組織の物質的技術条件を利用して完成した技術成果である。
第848条 非職務技術成果の使用権、譲渡権が技術成果を完成した個人に帰属する場合、技術成果を完成した個人は当該非職務技術成果について技術契約を締結することができる。
第849条 技術成果を完成した個人は、関連する技術成果文書に自らが技術成果の完成者であることを明記する権利及び栄誉証書、奨励を取得する権利を有する。
第850条 技術を不法に独占し、技術の進歩を妨害或いは他人の技術成果を侵害する技術契約は無効とする。
第二節 技術開発契約
第859条 開発を委託して完成した発明創造は、法律に別段の規定或いは当事者に別途の約定がある場合を除き、特許を出願する権利は研究開発者に帰属する。研究開発者が特許権を取得した場合、委託者は法に基づき当該特許を実施することができる。
 研究開発者が特許出願権を譲渡する場合、委託者は同等の条件で優先的に譲受する権利を有する。
第860条 共同開発で完成した発明創造は、当事者に別段の約定がある場合を除き、特許を出願する権利は共同研開発の当事者の共有に帰属する。当事者の一方が当該共有特許出願権を譲渡する場合、他方は同等の条件で優先的に譲渡を受ける権利を有する。
 共同開発の当事者の一方が、当該共有特許出願権の放棄を表明した場合、他方は単独で出願或いは他方は共同で出願することができる。出願人が特許権を取得した場合、特許出願権を放棄した方は、その特許を無償で実施することができる。
 共同開発の当事者の一方が特許出願に同意しない場合、他方或いはその他の各当事者は特許を出願することはできない。
第861条 委託開発或いは開発協力による技術秘密成果の使用権、譲渡権及び利益の分配方法について、当事者は約定する。約定がない或いは約定が不明確である場合に、本法第510条の規定に基づいてもまだ確定できない場合、同一技術案の特許付与前は、当事者には均しく使用及び譲渡する権利を有する。但し、委託開発の研究開発者は、研究開発成果を委託者に渡す前に、研究開発成果を第三者に譲渡することはできない。
第三節 技術譲渡契約及び技術許諾契約
第862条 技術譲渡契約とは、合法的に技術を所有する権利者が、現存する特定の特許、特許出願、技術秘密に関する権利を他人に譲渡を締結する契約である。
 技術許諾契約とは、合法的に技術を所有する権利者が、現存する特定の特許、技術秘密に関する権利を他人に実施、使用の許可を締結する契約である。技術譲渡契約及び技術許諾契約において、技術を実施する専用設備、原材料の提供或いは関連の技術コンサルティング、技術サービスの提供に関する約定は、契約の構成部分に属する。
第863条 技術譲渡契約には、特許権譲渡、特許出願権譲渡、技術秘密譲渡などの契約が含まれる。技術許諾契約には、特許実施許諾、技術秘密使用許諾などの契約が含まれる。
 技術譲渡契約及び技術許諾契約は書面形式を採用しなければならない。
第864条 技術譲渡契約及び技術許諾契約は、特許の実施或いは技術秘密の使用範囲を約定することができる。但し、技術競争及び技術発展を制限することはできない。
第865条 特許実施許諾契約は、当該特許権の存続期間内のみ有効である。特許権の有効期間が満了或いは特許権の無効が宣言された場合、特許権者は当該特許について他人と特許実施許諾契約を締結してはならない。
第866条 特許実施許諾契約の許諾者は、被許諾者に特許の実施を許諾した約定に基づき、特許実施に関する技術資料を交付し、必要な技術指導を提供しなければならない。
第867条 特許実施許諾契約の被許諾者は、特許実施の約定に基づき、約定以外の第三者に当該特許の実施を許可してはならず、かつ、約定に従い使用料を支払わなければならない。
第868条 技術秘密譲渡契約の譲渡人及び技術秘密使用許諾契約の許諾者は、約定に基づき技術資料を提供し、技術指導を行い、技術の実用性、信頼性を保証し、守秘義務を負わなければならない。
 前項に規定する守秘義務は、譲渡人或いは許諾者による特許出願を制限するものではない。但し、当事者に別段の約定がある場合は除く。
第869条 技術秘密譲渡契約の譲受人及び技術秘密使用許諾契約の被許諾者は、約定に基づき技術を使用し、使用料を支払い、守秘義務を負わなければならない。
第870条 技術譲渡契約の譲渡人は、自身が提供した技術の合法的所有者であることを保証するとともに、提供した技術の完全性、正確性、有効性を保証し、約定の目標を達成することができるものでなければならない。
第871条 技術譲渡契約の譲受人は、約定の範囲及び期間に基づき、譲渡人の提供した技術における未公開の秘密部分に対して、守秘義務を負わなければならない。
第872条 譲渡人が約定に基づき技術を譲渡していない場合、使用料の一部或いは全部を返還するとともに、違約責任を負わなければならない。特許の実施或いは技術秘密の使用で約定の範囲を超え、第三者が約定に違反し無断で当該特許を許可或いは当該技術秘密を使用した場合、違約行為を停止し、違約責任を負わなければならない。守秘義務の約定に違反した場合、違約責任を負わなければならない。許諾者が違約責任を負わなければならない場合は、前項規定を参照し適用する。
第873条 譲受人が約定に基づき使用料を支払わない場合、使用料を追納しするとともに約定に基づき違約金を支払わなければならない。使用料の追納或いは違約金を支払わない場合、特許の実施或いは技術秘密の使用を停止し、技術資料を返却し、違約責任を負わなければならない。特許の実施或いは技術秘密の使用が約定の範囲を超えた場合、譲渡人の同意を経ずに第三者に当該特許の実施或いは当該技術秘密の使用を許可した場合、違約行為を中止し、違約責任を負わなければならない。約定した守秘義務に違反した場合、違約責任を負わなければならない。
 被許諾者が違約責任を負わなければならない場合、前項の規定を参照し適用する。
第874条 譲受人或いは被許諾者が約定に基づき特許を実施し、技術秘密を使用して他人の合法的権益を侵害した場合、譲渡人或いは許諾者は責任を負うものとする。但し、当事者に別段の約定がある場合は除く。
第875条 当事者は互恵の原則に基づき、特許の実施、技術秘密の使用による後続の改善技術成果の共有方法について契約で約定することができる。約定がない或いは約定が不明確の場合、本法第510条の規定に基づいてもまだ確定できない場合、一方の後続の改良技術成果を他の各当事者は共有する権利がない。
第876条 集積回路配置設計の専有権、植物新品種権、コンピュータソフトウェア著作権などその他の知的財産権の譲渡及び許諾は、本節の関連規定を参照し適用する。
第877条 法律、行政法規に技術輸出入契約或いは特許、特許出願契約に別段の約定がある場合、その規定に従う。

第五編 婚姻家族
第三章 家族関係
第一節 夫婦関係
第1062条 夫婦に婚姻関係が存続する期間に得た以下の財産は、夫婦の共同財産のため夫婦は共同で所有する。
①給与、賞与及びその他の労務報酬、②生産、経営、投資の収益、③知的財産権の収益、④相続或いは贈与を受けた財産、本法第10633条第3項の規定を除く、⑤その他共同所有の財産に帰属しなければならないもの。
 夫婦は共同財産に対して、平等な処分権を有する。

第七編 権利侵害責任
第二章 損害賠償
第1185条 他人の知的財産権を故意に侵害し、情状が重大である場合、被侵害者は相応の懲罰的賠償を請求する権利を有する。

参考サイト: http://www.elawcn.com/rule/2019/1217/524.html

【中国】最高知識産権法院で初めての民事行政事件合同審理実施(12月5日)

2019年に最高人民法院に最高知識産権法院が設立されてから、初めての民事第二審と行政第二審が、「集中審査期間」に同時に行われた。これは対象特許や紛争当事者が同じものであり、民事事件と行政事件の同時裁判における新しい試みであり、今後こうした事案は増える方向にあると思われる。

民事訴訟は、厦門実正電子科技有限公司が「過熱保護回路構造」の実用新案特許ZL201220203855.0を侵害するとして、楽金電子(天津)電器有限公司、烟台万昌電器有限公司と浙江天猫网絡有限公司を浙江省杭州市中級人民法院に2017年10月25日に提訴し、保護範囲に入らないため非侵害との判決が2019年3月20日に下された事件((2017)浙01民初1405号))に対する第二審((2019)最高法知民終366号)で、原審維持の判决が下された。

行政不服訴訟は、楽金電子(天津)電器有限公司が専利復審委員会に本件実用新案特許ZL201220203855.0に対して、進歩性なしによる無効取消を2018年1月9日請求したが先行技術文献が異なる技術的特徴のため進歩性ありとの審決(第36449号)を下したことに対する行政不服訴訟を北京知識産権法院に申立て、北京知識産権法院が原審維持の判決((2018)京73行初8992号))を2019年7月1日に下し、この判決の取消を求めた第二審((2019)最高法知行終142号))で、こちらも原審維持の判決が下された。

この試みでは、保護範囲や解釈の違いや矛盾を減らすために同じ技術調査官を指名していること、当事者の座席配置の問題は円卓会議のように当事者を両側、専利復審委員会が真ん中に着席するようにしたこと、判決を一般が理解しやすいように「案件の審理経過」、「事実認定」、「判決の要旨」を明記するようにしたことが指摘されている。

本件の結果は原審維持であるが、もし「新たな証拠」や「事実認定の違い」或いは外的要因などなどが訴訟中に生じた場合はどうなるのであろうか、法院長のお考えのようになるほうが良いように個人的には考えるがどうなるか注目していきたいところです。

参考サイト:https://www.chinacourt.org/index.php/article/detail/2019/12/id/4716813.shtml