【中国】自動車のコピーキャット敗北、ジャガーランドローバーは不正当競争で勝利

複数のニュースリリースによると、3月13日(3月22日との説もあり)、北京市朝陽区人民法院は、原告:ジャガー・ランドローバー(中国語名:捷豹路虎)が3年にわたる中国での自動車意匠権侵害訴訟に勝訴したことを報じました。被告は、江鈴控股有限公司、北京達暢陸風汽車販売有限公司であり、不正競争と著作権侵害を対象とする判決を下した。ランドローバーの「レンジローバーオーロラ(Range Rover Evoque)」SUV車種に類似する江鈴陸風の陸風X7の5車種が対象でJX7200とJX7200Lを対象に、裁判所は双方の車両を比較し、車体、ルーフ、ウィンドウ、サイドパネル、リアライトの特徴が同一であり、消費者の誤認混同(不正競争)を理由に、損害賠償と合理的支出150人民元(約2500万円、訴額と同じ)の支払い、影響の除去、対象車種の展示、販売の申し出及び販売の速やかに停止する命令を下した。なお、著作権侵害の主張は認められなかった。

2009年2月に、ジャガーランドローバーは「レンジローバーオーロラ(中国語名:揽胜极光)」5車種を発売し、翌2010年12月20日に第8回中国(広州)国際自動車展覧会で初めて展示されました。2011年7月4日からこの5車種はは正式に生産が開始され、11月8日から中国で販売が開始された。江鈴は「陸風X7」を2014年11月の広州モーターショーで最初に発表、販売を開始しており、ジャガーランドローバーは酷似するデザインを問題とした。

ランドローバーの主張は次のような点にある。この車種は中国でのディーラーも多く、販売実績も際立ち、巨額を投じてオーロラ車種を宣伝した。そして、ジャガーランドローバーが長期にわたり、持続的に、広く普及活動をしたことで、国内外のモーターショーだけでなく、多くのメディアでも報道され、多くの栄誉と国内外の自動車業界及び自動車メディアから受賞した。このため、オーロラ車種は中国でかなりの市場知名度がある。そして、オーロラ車種にはユニークなプッシュダウンルーフ、吊り屋根、特徴的なライン、クラムシェルエンジンカバーの5つの独自の装飾デザインが採用されている。こうした情況や商品特徴が中国での本商品出所を特徴づけるものとして、ランドローバーのオーロラが公衆から容易に想起される識別機能を有する。こうした主張を裁判所が認定したものである。

本件では、上記のようにそれぞれ意匠特許を保有していたが、ランドローバーの201130436459.3(出願日:2011.11.24)には江鈴による展示会による新規性なしの無効請求を受けて、無効審決(29147、2016年4月6日)により失効した。一方、江鈴も201330528226.5(出願日:2013年11月6日)を保有していたが、ランドローバーから無効請求を受け、無効審決(29146、2016年5年13日)、その後、不服裁判で北京知識産権法院は有効、審決差戻の判決を下した((2016)京73行初4497号、2018年3月26日)が、上告の北京高級人民法院は、無効との判決を下した((2018)京行终4169号、2018年11月28日)。この意匠特許の有効性判断は非常に学習できる内容であり、複数のデザインが統合された製品の意匠での創作性の認定、最近注目される創作の自由度、意匠特許出願時の注意点など後日ご紹介したい。

著作権侵害の認定がされなかったことは、いろいろと事情があるので重要な判決の先例になるとは思えないため、解説はありません。

江鈴は商標でも「RANDWIND」を「RAND ROVER」から派生するようなものですが、登録しており、EUでも登録にチャレンジし反対を受けたものの、最終的に共同体商標登録に成功している。

不正当競争法の適用でも論点などからするとやや問題が残るように感じるので、江鈴の意匠特許を無効とする最終判決が下されたことを受けて、外国を意識した大岡裁きが下されたと観るのは正しいように思われる。しかし、第一審で最高人民法院のような判断をするのはどうかな・・     ■