【中国】税関の「龍騰行動2019」知財保護特別キャンペーン6か月特別展開中(7月31日)

海関総署(税関総署)は、7月から12月末日の6か月間、全国の税関で知的財産権保護キャンペーン「龍騰行動2019」(龍騰:龍のように勢いよく盛んの意味(故事:龍騰虎闘))を展開している。「龍騰行動」は2017年に開始し、一定の成果を上げてきているが、今回は、被疑侵害貨物のそれぞれの物流の特徴に基づき、海上、航空、陸上、鉄道、小口宅配便、郵送の6つの輸送方法、及び一般貿易、商品調達、国境地帯の住民間の取引、越境ECなどの貿易取引に対して、各地の税関の場所、特徴など、例えば、特定製品が中国の特定地域に集中していることなどの要素を総合的に判断し対策を強化し、効果のある対策をとる。また、北米、欧州、日本なへの輸送貨物に対して、有効的な監督管理をさらに強化し、特に電子製品、 自動車部品、ボディケア用品、衣類、鞄、靴など一般公衆の健康や安全に影響を与える製品に収集する。また、南米、アフリカを含む 「一帯一路」沿線の国や地域への輸送貨物に対して、対策強化に加えて、香港・マカオなどの中継輸出も重点的に監視を強化する。

こうした活動は、1か月過ぎたところで、深圳、広州、青島、天津などで結果が既に出ているようで、80社の輸出企業で28社の貨物が税関で発見され、上海、寧波、深圳、広州などの多くの港に及んでいることが報告されている。

この機会に商標のみならず意匠の税関登録をお勧めします。手続きはお気軽にご連絡ください。

参考サイト:
http://www.sofreight.com/news_36484.html
http://ipr.mofcom.gov.cn/article/gnxw/zfbm/zy/bw/201907/1938423.html

【インドネシア】特許実施延期申請、提出書類を簡素化、期限(2019年8月26日)

既に、案内の通り、 インドネシア知的財産庁(DJKI)は2016年8月26日に特許法を改正(2016/No.13)施行し、国内産業保護に向け、第20条に実施義務を導入した。その後、2018年5月22日付、第20条の実施義務に対する行政規定2018/No.15号を公布し、7月11日に施行したが、登録日から3年以内の延期申請義務(第4条)が規定された。その施行日以前に登録となった特許については、延長申請手続きの期限日を2019年8月26日となっている。

当初、下記の必要書類が公示されていたが、
1.現地代理人への委任状
2.現在事項全部証明書(原本、公証不要)
3.最新の年金納付レシートのコピー
4.延期申請理由書
この度、簡素化手続きが通知され、以下が必要書類となり、翻訳などのコストも軽減されるようになった。
1.現地代理人への委任状
2.最新の年金納付レシートのコピー
3.現地代理人への延期申請指示書
指示書は現地代理人が一定の書式を用意している。

KyKインターナショナルは、延期申請指示書のテンプレートをご用意し、特別料金で対応しておりますので、お気軽にお問合せください。

参照: https://kyk-ip.com/2019/07/08/%e3%80%90%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%89%e3%83%8d%e3%82%b7%e3%82%a2%e3%80%91%e7%89%b9%e8%a8%b1%e5%ae%9f%e6%96%bd%e5%bb%b6%e6%9c%9f%e7%94%b3%e8%ab%8b%e6%9c%9f%e9%99%902019%e5%b9%b48%e6%9c%8826%e6%97%a5/

【中国】浙江省市場監督管理局の市場監督管理行政法執行人員の職責の履行の規定(2019年7月23日)

浙江省市場監督管理局は、7月23日付、第7回局長執務会議の審議を経て、「浙江省市場監督管理局の市場監督管理行政法執行人員の法に基づく職責の履行を保障する若干の規定」を発布した。これは浙江省の市場監督管理局の市場監督管理行政法執行人員が行政ルートの法執行をする際の職務履行について規定したもので、行政サービスレベルの向上の一環であるが、職務の内容や責務の範囲を明確にしていることがわかるので、ご紹介する。

本規定は全21条からなり、既に7月23日の発布とともに施行されている。主要な条文や注意する規定は下記の通り:

第5条 行政法執行人員は行政法執行手続き中に、問題誘導方向を堅持し、法執行の効果を向上させ、食品、医薬品(医療機器、化粧品)、重要な工業製品、特殊設備など人民大衆の生活に密接に関係する分野の安全監督・管理を着実に強化し、無免許の経営、マルチ商法(連鎖販売取引)、不正競争、知的財産権侵害、消費者権利侵害などの違法行為の取り締まりに力を入れる。
第6条 行政法執行人員は法に基づき職責を履行する場合、いかなる単位或いは個人が法定職責、法定手続に違反、或いは公正な法執行を妨げる要求を拒絶する権利がある。行政法執行人員は自身が法に基づく職務を履行することを保障するために、いかなる単位或いは個人が違法に行政法執行活動に関与し、具体的な事件処理に介入する状況に対して、全面的に事実に基づく記録を残し、資料を保存して調査に備えなければならない。

第7条 行政法執行人員は法定職責の履行手続き中に、下記に掲げる状況の一つがある場合、法執行過失責任の追及を受けない或いは免除される:
 (1)市場監督管理部門は法律に基づき行政許可職責を履行し、危害の及ぶ事故が発生した直接的な原因と市場監督法定職責とは関係がない場合;
 (2)行政許可などの法律執行活動手続き中に、型式試験、検証検査、鑑定、専門家審査など法律法規に規定される形式審査のみの報告、申請資料には形式的審査義務を尽くした場合;
 (3)行政管理の相手方が法に基づき行政許可について未申請、或いは未登記の場合、メディアに露出或いは重大な悪影響がもたらされる前で、市場監督管理部門は告発未受領或いは客観的な原因で未発見の場合;
 (4)「最多跑一次:ワンストップ」の改革、商事制度の改革、「双随机:ダブルランダム」の抜き取り監督制度、総合的法執行改革、インターネット法執行などの改革イノベーションを推進する手続き中において、関連する措置は中央と省委員会、省政府決定政策と部門精神に適合し、改革及びイノベーション発展を推進するのに有利である場合;
 (5)矛盾点を解消し、変革と向上を推進し、歴史的な遺留問題を解決し、突発事件を処理する手続き中において、勇敢に障害を解決し、解決方法が明らかに不適切なものはない場合;
 (6)法律、法規、規則の規定或いは年度監監査計画、「ダブルランダム」抜取検査、非通知検査などの段取と要求基づき、監督検査職責を既に履行、或いは業務計画に従い未履行の場合、但し法定或いは規定期限を超えていない場合;
 (7)規定の検査項目に従って検査を行ったものの、技術的制限などの客観的な原因から問題の所在が発見できなかった場合;
 (8)発見された違法行為について、安全事件或いは事故の潜在的な危険が既に法に基づき摘発され、是正命令或いは行政強制措置が取られた場合、当事者が是正拒否、検査逃避、勝手な違法生産事業、関連品質管理規範違反、違法な設備施設利用などの行為により重大な危害事故が発生した場合;
 (9)不可抗力或いは緊急避難などの要素により、正常に法定職責を履行できなくなった場合;
 (10)法に基づき食品、薬品(医療機器、化粧品)、重要な工業製品、特殊設備の安全事故に対して調査処理を行ったところ、当事者或いはその他の外部の原因で事故が拡大或いは否定的な世論が拡散した場合;
 (11)単位又は個人が違法に製造、設置、改造、特殊設備を使用して事故が発生した場合、但し行政執行人員が発見すべきところ、発見されず、或いは速やかに処理されなかったことが発見された場合を除く;
 (12)従来の科学技術、監督管理手段の制限により速やかに問題の所在を発見できず、問題が定性的に解決できなくなった場合;
 (13)行政再審、行政訴訟手続き中に、再審機関或いは人民法院の調停を経て具体的な行政行為を変更した場合;
 (14)行政処罰決定の執行を拒否した当事者に対し、既に規定時間内に法に基づき人民法院に強制執行が申請されている場合;
 (15)行政法執行の根拠が明確でない、或いは関連事実と根拠に対する理解が不一致のために、行政法執行行為に偏りが生じた場合;
 (16)新たな証拠が出たことにより、原認定事実及び事件の性質に変化が生じた場合、但し行政法執行人員が故意に隠蔽、或いは重大な過失で証拠を漏らした場合を除く;
 (17)法律執行中に複雑で難解な問題が発生し、上級機関に書面で指示を求めたが合理的な期間までに回答が得られず、行政法執行人員は社会公共の利益を維持し法定手続きに基づき行政行為を行った場合;
 (18)当事者が勝手に移転或いは不可抗力で差押或いは押収物品を滅失または毀損させた場合;
 (19)行政管理相手方或いは第三者に粉飾欺瞞行為を行い、虚偽資料を提出し、行政法執行人員が正確な判断をし難く、錯誤の行政執行行為をなした場合;
 (20)行政管理相手方が協力を拒み、法律執行或いは事件の利害関係者を妨害し、証人が調査に非協力的で、立証義務など行為を履行しないため、行政執行人員が規定期間内に正しい行政法執行行為を行うことができない場合;
(21)社会に負の世論が発生した場合、但し市場監督管理の職責と直接関係がない或いは多部門の職能が交差し、市場監督管理部門は既に法に基づく職責を履行している場合;
 (22)行政法執行の過失行為の情状が軽微で、速やかに自ら是正、或いは批判し教育後に是正した場合;
 (23)その他の法に基づく規定により、責任状況の追及を受けない或いは免除される場合。

第9条 行政法執行人員が法定職責を履行せず、不当に履行し、法により行政法執行の過失責任または規律責任を規定に基づいて追及する。犯罪の疑いがある場合、法により司法機関に移送し、刑事責任を追及する。 

第14条 行政法執行人員が法に基づき職責の履行において、事実無根の訴え、誣告、誹謗、侮辱など、名誉の棄損を受けた場合、市場監督管理部門は直ちに事実を明らかにし、不良影響を排除し、行政執行人員の合法的権益を維持しなければならない。

第15条 行政法執行人員が法に基づき法定職責の履行において、本人或いは近親者が脅迫、嫌がらせ、尾行追跡、罵倒または人身、財産を攻撃して侵害を受けた場合、その所在する市場監督管理部門は速やかに現地の公安機関に通知し、法に基づいき処理するよう協力しなければならない。

第16条 行政法執行人員が法定条件と手順に従って職責を履行し、職権を行使し、公民、法人又はその他組織の合法的権益に損害を与えた場合、その個人は法律責任を負わず、その所属する市場監督管理部門が国の関連規定に従って損失を補償する。

参照サイト
https://zj.zjol.com.cn/red_boat.html?id=100128750

【ベトナム】知的財産法の改正、遡及施行(2019年1月14日)

ベトナム国家知的財産庁(NOIP)は、7月18日付、ベトナム国会で知的財産法(Law No. 42/2019 / QH14)の改正が承認されたとして、公示した。これはCPTTP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)に対応するための改正である。なお、改正法は本年1月14日に遡って施行される。主な改正内容は下記の通り。

【全般】
1.電子出願を受理できる(第89条第3段)。
【特許】
2.新規性例外の適用期間を12か月に延長(第60条)し、併せて、進歩性の適用も合わせる規定の追加した(第61条)。
【商標】
3.商標の使用許諾は登録が必須でないと緩和した(第148条)。
4.ライセンシーによる使用証拠を商標権者の使用と認める(第136条)。
【地理的表示】
5.ベトナムが加盟する国際条約の締約国の地理的表示を登録の基礎とすることができる(第6条)。
6.異議制度(第80条)、一般名称の判断基準を関連の一般消費者の認知度に基づくこと、同一や類似する先登録や先願の商標が存在し誤認混同が生じる場合登録しないことの追加。
7.地理的表示に関する国際提案の取り扱いに関する追加規定(第120条)。
【知的財産権の保護】
8.知的財産権訴訟で、被告勝訴の場合の弁護士及びその他の支出を請求する権利を追加、知的財産権の濫用により被った弁護士及びその他の支出を請求する権利を追加した(第198条)。
9.損害賠償額決定の根拠に、知的財産権者が提供するの他の計算方法を追加した(第205条)。
10.税関手続きの停止に関して、税関が知的財産権を侵害する貨物の行政手続きを決定した日から30日以内に、知的財産権者に当該貨物の情報を提供しなければならないを追加した。(第218条)
以上

参考サイト:ベトナム語
http://www.noip.gov.vn/web/guest/thong-bao/-/asset_publisher/vTLYJq8Ak7Gm/content/thong-bao-ve-viec-ban-hanh-luat-sua-oi-bo-sung-mot-so-ieu-cua-luat-kinh-doanh-bao-hiem-luat-so-huu-tri-tue?inheritRedirect=false&redirect=http%3A%2F%2Fwww.noip.gov.vn%2Fweb%2Fguest%2Fthong-bao%3Fp_p_id%3D101_INSTANCE_vTLYJq8Ak7Gm%26p_p_lifecycle%3D0%26p_p_state%3Dnormal%26p_p_mode%3Dview%26p_p_col_id%3Dcolumn-1%26p_p_col_count%3D1

【インド】2018年知的財産権年報公示、特許5%、意匠16%の出願増(7月17日)

インド知的財産庁(IP INDIA)は、7月17日付、知的財産年次報告書を公示した。特許出願は47,854件(前年比+5%)、意匠出願は11,837(前値比+15.9%)、商標は272,974件(前値比-2%)である。登録件数は審査が2倍以上の進捗もあり、それぞれ増加している。なお、商標の審査待ち期間が1か月程度に短縮された。

参考サイト:
http://www.ipindia.nic.in/writereaddata/Portal/IPOAnnualReport/1_110_1_Annual_Report_2017-18_English.pdf

【中国】北京知識産権法院2019年上期受理件数は24%増

北京知識産権の集計によると、2019年上期の知識産権事件の受理件数は8,847件(前値同期7,119件)と前年同期比✚24%増となった。この内、民事訴訟は1,068件、行政事件7,779件(構成比88%)であり、特許と商標の行政事件が多くを占めている。

これに対して、処理件数は、10,584件(前値同期6,364件)と前年同期比✚30.9%増と、処理が進み、前年の処理率75.3%から95.3%と事件処理がスピードアップされた。全体の案件終了件数は、11,111件である。

未処理案件数は、13,023件と前値同期比+13.9%増となり、長期にわたる未処理の技術的に難しい案件も1,076件処理され、未処理は469件となった。

出所:北京知識産権法院

【カナダ】改正特許法&改正規則の施行(2019年10月30日)

カナダ知的財産庁(CIPO)は、7月10日付官報で、特許法条約に加盟するために特許法(Patent Act (C-43 and C-59))及び特許規則(Patent Rules 2018)の改正を公示したので、下記の通り、規則改正に基づく手続きの変更などの概要をご案内する。

(1)PCT移行出願
1.1 意図しない移行期限の延期>最先の出願日から42か月まで延長可
 国際出願日が2019年10月30日以降のPCT出願で、カナダ移行出願が30か月を超える場合、延期申請と回復費用200カナダドルを支払うことで42か月まで移行を延長できる。 国際出願日が2019年10月30日以前である場合は回復費用を支払うことになる。
1.2 優先権の回復
 国際出願日が2019年10月30日以降のPCT出願で、国際段階で優先権が回復された場合、カナダ国内段階でも優先権の回復が可能となる。国際段階で優先権が回復されなかった場合、カナダ国内移行後1か月以内に「意図しない」を理由に回復措置がなされた場合、優先権を回復することができる。
1.3 優先権証明書の提出
 国際出願日が2019年10月30日以降のPCT出願で、優先権書類の証明書が国際段階で提出されなかった場合、優先権証明書をカナダ知的財産庁に提出するか、或いは、DASデジタルアクセスサービスで利用可能とされていなければならない。
1.4 出願費用支払いと翻訳文の提出
 出願費用と英語或いはフランス語の翻訳文の提出期限に変更はない。

(2)パリ条約移行或いは直接出願
2.1 出願日確保
 2019年10月30日以降の出願では、外国語での出願日確保が可能となる。英語或いはフランス語の翻訳文の提出は、カナダ知的財産庁の通知日から2か月以内(延長不可)となり、通知日から3か月以内に出願費用と遅延手数料(150カナダドル)を支払わない場合、放棄したとみなされる。なお、2019年10月30日以降でカナダ知的財産庁が閉庁する土日、祝祭日でも電子出願で出願日を確保することができる。
2.2 2か月の優先権回復期間の導入
 出願日が2019年10月30日以降の特許出願について、「意図しない」を理由に優先権の回復措置が可能となり、最先の出願日から14か月以内に限り優先権主張出願が可能となる。なお、カナダ特許日から2か月以内に優先権回復請求を行わなければならない。
2.3 優先権証明書の提出
 出願日が2019年10月30日以降の特許出願について、最先の出願日から16か月以内に優先権証明書をカナダ知的財産庁に提出するか、或いは、DASデジタルアクセスサービスで利用可能とされなければならない。提出されていない場合、、カナダ知的財産庁の通知日から2か月以内に対応しなければならない。この期限までに対応していない場合、優先権主張を取下げたものと見做される。
2.4 先の見做し出願の引用
 出願日が2019年10月30日以降の特許出願について、出願人は出願日確保のための明細書提出ではなく、先の出願を参照することができる。引用期限は出願から2か月以内(延長不可)である。以前に提出した引用出願から2か月以内に、先に提出した出願のコピーを提出するか、WIPOデジタルアクセスサービスから入手できるようにする必要がある。
2.5 出願の自発追加補正
 出願日が2019年10月30日以降の特許出願について、明細書の欠落や図面の追加を2か月以内(延長不可)に行うことができる。

(3)審査
3.1 審査請求期限を4年に短縮
 国際出願日或いは出願日が2019年10月30日以降の特許出願について、審査請求期限を5年から4年に短縮する。
3.2 分割出願の審査請求期限も3か月に短縮
 分割出願の親出願日が2019年10月30日以前で、分割出願日が2019年10月30日以降の分割特許出願について、親出願日から5年以内または分割出願日から3か月以内に審査請求及び手数料を支払わなければならない。
 分割出願の親出願日が2019年10月30日以降の分割特許出願について、親出願日から4年以内または分割出願日から3か月以内に審査請求及び手数料を支払わなければならない。
3.3 審査請求期限徒過による放棄
 審査請求期限が2019年10月30日以降の特許出願について、審査請求されず手数料も納付されない場合、カナダ知的財産庁は遅延通知を発行する。当該遅延通知日から2か月以内に審査請求、手数料、遅延手数料が納付されない場合、出願は放棄となる。
3.4 審査応答期限を4か月に短縮
 2019年10月30日以降、オフィスアクションの応答期限を6か月から4か月に短縮する。なお、最長審査応答期限の6か月は変更ないため、残存期間の延長は可能である。

(4)認可時の応答期限を4か月に短縮
 2019年10月30日以降、認可通知の応答期限を6か月から4か月に短縮する。延長はできない。なお、認可時手数料の超過ページ数から塩基配列リストを対象から除外する。
 認可時の明らかなエラーなどを訂正するための審査再開請求が簡素化され、応答期限日前に認可通知の取下げ請求と手数料400カナダドルを支払うことで、追加の審査を求めることができる。なお、従来通り、登録料を納付せずに放棄後に回復措置をした場合の審査再開は明らかなミスの訂正のみに限られる。

(5)年金
 2019年10月30日以降、何人も維持年金、登録年金のいずれも納付することができる。
 年金が納付されない場合、原納付期限から6か月以内またはカナダ知的財産庁の通知日から2か月以内に当該年金額と遅延手数料(150カナダドル)を支払わない場合、放棄したとみなされる。

(6)その他の改正
6.1 登録後の訂正
 従来の特許法第8条に基づく事務的ミスの訂正手続きは、2019年10月30日以降廃止され、以下のような特定な事務的ミスに対する限定的な手続きのみになる。
6.1.1 優先権の訂正
 出願日が2019年10月30日以降であるかどうか関わらず、優先件主張日の訂正は正しい優先日から16か月以内であれば訂正できる。優先権主張のその他の項目である国名、官庁名、番号の訂正は認可通知に対する登録料納付前までに訂正できる。
6.1.2 出願人や発明者の訂正
 PCT移行出願は、移行出願日から3か月以内或いは譲渡手続き前。PCT移行出願以外は、公報発効前或いは譲渡手続き前までに訂正できる。
6.1.3 特許権者による訂正
 特許権者或いは発明者名の誤記及び明細書或いは図面の誤記(当業者に自明で、修正以外の意図がない内容)の訂正は登録日から12か月以内に手数料200カナダドルを支払うことで訂正できる
6.1.4 カナダ知的財産庁のミスの訂正
 特許権者、発明者名などの誤記及び明細書或いは図面の誤記(庁内書類から明らかで、修正以外の意図がない内容)の訂正は登録日から12か月以内に手数料なく訂正できる。
6.2 Due Careについて
 今回の改正でDue Care(善良な注意義務) が導入され、審査請求期限徒過や特許年金納付期限徒過による回復を請求する出願人或いは特許権者は善良な管理者としての注意義務に違反していないことを示す義務が求められている。つまり、申請時に十分な管理義務を果していたにもかかわらず回復措置をしなければならなくなった事情を記載した供述書を提出しなければならない。
6.3 Unintentionalについて
 Unintentional(意図しない)懈怠の回復が導入され、PCT移行出願や優先権主張の回復に適用される。これについての明確な条件は規定されていない。
6.4 第三者の中用権(新設)
 出願人或いは特許権者が審査請求や特許年金の納付を逸し、回復措置をした場合、善意の第三者はその事由を基に中用権を主張することができることが明確化された。
6.5 譲渡手続き
 旧法化で要求された譲渡契約書の提出は原則不要になり、2019年10月30日以降は出願人或いは特許権者が譲渡手続きを行う場合は、申請書と手数料100カナダドルを支払うことで手続きが可能となる。一方、出願人或いは特許権者以外が譲渡手続きを行う場合は、譲渡契約書或いは譲渡を証明する書類を提出しなければならない。

参考サイト:
https://www.canada.ca/en/intellectual-property-office/news/2019/07/canada-is-modernizing-its-patent-regime-to-implement-the-patent-law-treaty-and-the-new-patent-rules-will-come-into-force-on-october-30-2019.html
特許規則
http://www.gazette.gc.ca/rp-pr/p2/2019/2019-07-10/html/sor-dors251-eng.html
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【中国】2019年上期の知的財産権出願・登録等の統計発表、特許・商標ともに出願減少(7月9日)

国家知識産権局は7月9日にプレス発表会で、2019年上期の特許、商標、地理的表示、集積回路配置設計の統計データを発表し、中国の知的財産権の発展傾向と行政の進捗状況を説明した。

1.特許
2019年上半年の発明特許の出願件数は64.9万件(前年同期比▲9.4%減)、登録件数23.8万件(前年同期比+9.9%増)であった。その内、国内からの発明特許登録は19.2万件、その職務発明は18.3万件で95.2%を占める。そして、国内の登録件数トップ3企業は華為技術有限公司(2314件)、中国石油化工股份有限公司(1595件)、OPPO広東移動通信有限公司(1312件)である。
また、PCT出願受理件数は2.4万件(前年同期比+4.9%増)、その内、国内申请2.2万件(前年同期比+2.8%増)で、上位の地域は広東省(9807件)、北京市(3179件)、江蘇省(1920件)である。
ところで、再審請求は2.3万件(前年同期比+22.9%増)、審決は1.7万件(前年同期比+11.0%増)、無効取消請求は28百件(前年同期比+12.8%増)、審決は29百件(前年同期比+18.9%増)である。
平均審査期間は、発明特許が22.7ヶ月(優先審査は20.5ヶ月)、実用新案特許が6.2ヶ月、意匠特許が4.0ヶ月、。特許再審請が11.7ヶ月、無効取消請求が5.0ヶ月である。

2.商標
2019年上半年の商標の出願件数は343.8万件(前年同期比▲4.1%減)、登録件数351.5万件(前値同期比+67.8%増)であった。6月末現在の有効登録商標件数は2274.3万件(前値同期比+35.3%増)である。
ところで、商標審判請求件数は19.8万件、審決は15.9万件であった。中国の出願人によるマドプロ出願件数は2849件。6月末現在のマドプロ国際登録商標件数は3.5万件である。
平均審査期間は商標出願で5ヶ月、譲渡で4ヶ月、却下再審で7ヶ月、その他の商標変更、更新、登録証発行などは1ヶ月以内と短縮された。

3.地理的表示
2019年上半年の地理的表示登録は116社、229件である。6月末現在の地理的表示の登録件数は5090件、対象製品は2380製品で、外国製品61を含む。

4.半導体設計配置
2019年上半年の出願件数は2904件(前年同期比+45.7%増)、登録証発行は2487件(前年同期比+52.0%増)であった。

5.知的財産権保護と運用
2019年上半年の特許及び商標の行政法執行件数は、虚偽表示で6529件、商標権侵害で1.15万件である。
2019年上半年の特許及び商標の質権設定融資額は583.5億元(前値同期比+2.5%増)、件数は3086件(前値同期比+21.6%増)であり、その内、特許は404億元、件数は2709件、特許件数は1.3万件である。

出願減少の一局面として、質の向上が目指されているとやビックデータとAIなどの分野の進展があるとの解説があるものの、悪意や非正常出願の対策が減少の原因であることが確認されている。一方、特許の質権設定の68.6%は1000万元以下の少額融資であり、ベンチャーキャピタルとなっている。これは積極的イノベーションと知的財産の関係が顕著であることも示されているので注目するべきである。

ところで、2019年1-6月の外国からの中国特許、商標出願はそれぞれ8.6%、15.4%伸びた。具体的には日本、アメリカ、ドイツが中国特許出願上位3か国で、それぞれ12.6%増、3.4%増、6.6%増となっている。商標出願ではアメリカ、日本、イギリスが上位3か国で、それぞれ13.6%、31.4%、56.9%と伸びた。

参照サイト
http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1140467.htm
http://www.cnipa.gov.cn/twzb/2019ndsjdlxxwfbk/index.htm

【韓国】特許法及び不正当競争防止法の改正・施行(2019年7月9日)

2019年1月8日付で公布された、懲罰的損害賠償などを追加規定した改正特許法及び改正不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(不正競争防止法)が2019年7月9日に施行される。

1.懲罰的損害賠償制度の導入
改正特許法及び改正不正競争防止法では、故意の侵害行為と認められる場合に、認定損害額の3倍を超えない範囲で法院が懲罰的損害賠償額を認定できる制度を導入した。法院が損害賠償額を決定する時の考慮事項は下記の通りで、特許と実用新案が対象;
(1)侵害行為をした者の優越的地位、
(2)故意または損害の発生のおそれを認識した程度、
(3)侵害行為により特許権者が被った被害規模、
(4)侵害行為により侵害者が得た経済的利益、
(5)侵害行為の期間・回数など、
(6)侵害行為による罰金、
(7)侵害者の財産状態、
(8)侵害者の被害救済努力の程度。
(特許法第128条第8項及び第9項の新設、不正競争防止法第14条の2第6項及び第7項の新設)

2.実施料賠償規定の改正
改正特許法では、従前特許法の「通常」という表現により損害額が実損より低く算定されて不十分な補償となる問題点に鑑み、「合理的」と変更し、特許侵害などの個別・具体的な状況を考慮して損害額を算定するようにした。(特許法第65条第2項及び第128条第5項の改正)

3.具体的行為態様の提示義務の新設
改正特許法は、特許権侵害訴訟において、特許権者が主張する侵害行為の具体的な行為態様を否認する当事者が自らの具体的な行為態様を提示するように義務付ける立証の転換を規定し、当該当事者が正当な理由なく自らの行為態様を提示しない場合、法院が特許権者の主張する行為態様が真実なものとして認定することができるように規定した。(特許法第126条の2の新設)

4.営業秘密要件の緩和
改正不正競争防止法は、秘密管理性の規定から「合理的な努力」の表現を削除し、合理的な努力がなくとも秘密として維持管理されているのであれば営業秘密と認定するように要件の立証義務のレベルを緩和した。これまで2015年不正競争防止法の改正により「相当な努力によって秘密として維持」の表現が「合理的な努力によって秘密として維持」に緩和された経緯があったが、今回は当該表現を削除し、要件をさらに緩和した。(不正競争防止法第2条第2号の改正)

5.営業秘密侵害行為などに対する罰則の強化
改正不正競争防止法の規定する処罰対象行為は、
(1)不正な利益を得るか営業秘密保有者に損害を与える目的で、営業秘密を指定された場所以外に無断で流出させる行為、
(2)不正な利益を得るか営業秘密保有者に損害を与える目的で、営業秘密保有者から営業秘密の削除または返還の要求を受けたにもかかわらず、これを継続して保有する行為、
(3)切取・欺瞞・脅迫、その他の不正な手段で営業秘密を取得する行為、
(4)営業秘密侵害行為の事実を知りながら、当該営業秘密を取得または使用する行為。
(不正競争防止法第18条第1項及び第2項の改正)

6.罰則を大幅に加重
国外使用目的:15年(元10年)以下の懲役または15億(元1億)ウォン以下の罰金
国内使用目的:10年(元5年)以下の懲役または5億(5千万)ウォン以下の罰金
こうした罰則の拡大は、処罰の空白を防止する効果があり、刑事処罰水準の強化を通じて営業秘密の保護がより強化されると期待される。

改正法では、営業秘密侵害犯罪の類型を大幅に拡大したという点に最も大きな意味があり、追加された犯罪類型の一部(営業秘密を指定された場所外に無断で流出させる行為、営業秘密の削除・返還要求に応じない行為等)は、民事上の侵害行為の類型にも含まれていないため、今回の改正により刑事責任の対象範囲が民事責任の対象よりも広く拡張され、営業秘密侵害に対する制裁の強化でもある。
また、処罰の範囲の拡張より、営業秘密侵害事件が法的紛争事件として増加するだけでなく、営業秘密流出時の実務的な対応とその紛争の形態にも変化をもたらすことが予測される。例えば、営業秘密侵害の相手方に警告状を発送したが、相手方が応じなければ、別途刑事措置を取ることができる。また故意侵害の根拠として相手方が警告状に応じなかったことを提示することで懲罰的損害賠償を請求することも可能になるなど、これまでとは異なる紛争状況につながる可能性がある。

出典:Kim&Chang


【インドネシア】特許実施延期申請期限(2019年8月26日)

インドネシア知的財産庁(DJKI)は2016年8月26日に特許法を改正(2016/No.13)し施行した時点で、国内産業保護に向けた複数の制度改革を含めたが、その一環として、第20条に実施義務を導入した。また、同時に強制実施も併せて規定し、第82条に不実施などに対する強制実施許諾請求権、政府主導の強制実施許諾は第93条に医薬品などを対象に規定している。

第20条
(1)特許権者は、インドネシアにおいて製品を製造或いは、方法を使用しなければならない。
(2)第1項の製造或いは使用は、技術移転、投資の誘因及び/または雇用の機会を支援しなければならない。
第82条
(1)強制実施権とは、下記の事由に基づく請求に対する政令(大臣決定)により認められる特許実施許諾である:
(a)特許権者が第20条(1)項に規定されるインドネシアにおける製品の製造或いは方法の使用義務を特許付与後36か月以内に果たしていない場合;
(b)特許が特許権者或いは実施権者により公衆の利益を損なう形態或いは方法で実施されている場合;或いは
(c)過去に付与された特許の改良特許であり、第三者が保有し有効な特許を使用することなく実施することができない場合(利用関係特許の存在)。
(2) 第1項の強制実施許諾の申請には手数料の納付しなければならない。

従って、インドネシアで取得した特許の登録日から3年間インドネシアで運用していない場合、そのまま無効になることはないが、第三者から強制実施許諾請求を受ける可能性が生じることになるか、或いは第20条違反は無効理由であるために第132条の規定に基づき検察官或いは国益を代表する者(社会や国の利益ため行動する者との規定あり)から特許取消訴訟を受けることになる。このようなことからインドネシアで取得した特許権を当面運用できている状況でない場合(輸入は実施に該当しない)は、延期申請をする必要がある。

インドネシア知的財産庁は2018年5月22日付、第20条の実施義務に対する行政規定2018/No.15号を公布し、5年間の猶予期間(第3条)、登録日から3年以内の延期申請義務(第4条)、延期承認制度(第5条)を定めた。延期は承認日から発効し、所定の理由で更なる延長も可能(第6条)と規定されている。本規定は2018年7月11日に施行された。この規定の3年以内の起算日の発効日は明確でないが、現地代理人は2016年特許法の施行日を基準とし、その施行日以前に登録となった特許については、延長申請手続きの期限日を2019年8月26日としている。その施行日以降に登録になった特許で当面運用予定がない特許については、順次登録日から3年以内に延期申請をすることになる。インドネシア知的財産庁のサイトでは、米国政府が訪問し不満を表明したことが公表されており、延期申請が可能であることを説明して、立場は変えないことが示めされている。

延期申請で必要となる書類は次の通り;
1.現地代理人への委任状
2.現在事項全部証明書(原本、公証不要)
3.最新の年金納付レシートのコピー
4.延期申請理由書
※注意事項:住所変更や社名変更、或いは譲渡などがある場合、同時に必要な変更手続きを行うことが必要です。

KyKインターナショナルは、延期申請の理由書のテンプレートをご用意し、特別料金で対応しておりますので、お気軽にお問合せください。

【中国】悪意商標出願に対する知識産権局の立場と方針の説明(7月4日)

7月4日、国家知識産権局条法司(法務部門)は、3月に開催された第13期全国人民代表大会第2回会議で代表者から発せられた「悪意のある商標登録行為の防止」の提案について、主題に対する見解や対策について回答したことを公表したので、以下の通り、ご参考まで仮訳でご紹介する。

「悪意のある登録商標行為の防止の提案」について、国家知識産権局としては、会議での代表者の提案の一部は4月に発表された商標法改正に既に含まれているものの、改正に含まれていない他の提案事項を今後の商標法改正で十分考慮する。当局は商標の悪意出願問題を非常に重視しており、この数年に各種の措置を講じ、悪意のある登録商標行為を規制し、一定の効果を収めていると応じ、以下の点を説明する。

1.悪意のある商標登録行為の規制とそれに対する処罰メカニズム
2019年4月23日、全国人民代表大会常務委員会は商標法改正案(草案)を審議し、悪意ある登録行為に対する6つの規制条項を追加し、改正は2019年11月1日から施行される。(改正法参照
 当局も現在、日々の業務で悪意のある商標出願行為に対して積極的に措置を取っている。他人の先の権利を大きく侵害したり、公共の資源を利用したりする大量な悪意のある登録出願は一律に却下している。実際に使用意図がなく、正常な生産事業活動にかんがみて必要な商標登録出願数を著しく超えている場合、審査、異議、無効段階で却下しているる。また、3年連続不使用取消事件では、「商標使用」の認定基準を厳格化し、実際のところ不使用、象徴的な使用のみの場合、取消する。こうした措置は悪意のある商標出願行為を一定程度抑制し、公平な競争秩序を維持する役割を果たしている。
 また、「登録商標出願行為の規範化に関する若干の規定」を起草し、現在は意見を募集している。今回の商標法改正後、関連法律に基づいて各方面と意見を調整し、同規定の内容を改善し、商標法の修正内容を実務で対応する。なお、指摘された商標登録後の売買行為に対する具体的な処罰措置については、今後の検討課題である。

2.商標出願人の資格での制限と実際の使用証明の提出
提案された商標出願人の主体資格を制限することについては、出願する商標を使用する商品に対する生産資格がなければならず、登録商標の権利者は3年毎に実際の使用証明などの提出を求めなければならない。
 こうしたことを前提とすると、国がイノベーション駆動発展戦略を実施しており、当局は行政サービスの改革も進めるために、出願人の商標登録手続きに利便性のある措置を取っているが、こうした手続きの追加は真逆の対策となり、出願人の負担を増加させることになる。
 次に、我が国は、WIPOの商標法条約と商標法シンガポール条約を1994年に批准しており、その適用可能性を検討している。ところで当該条約は出願人に商業登録簿や願書に記載の指定商品や役務に対する活動記録を提出することを要求してはならないと規定しているため、当局が出願人の出願時に関連する事業資格証明書を要求する場合、我が国が積極的に参加を検討している国際条約の規定に一致しないことをすることになる。
 更に、我が国の商標法は商標権者に3年毎の実際の使用証明の提供を明確に要求してないが、商標法第49条には3年連続不使用取消の規定がある。この制度の趣旨は商標権者に合法的かつ効果的な商標の使用を促すことにあり、客観的には遊休商標の整理、悪意による商標登録の抑制及び公平な競争秩序の維持を目的としている。また、我が国は先願主義を商標権取得の原則としているが、依然として商標の使用義務を強調している。 

今回の商標法の改正も商標出願人の使用義務を強化するとともに、第4条第1項には「使用を目的としない悪意のある商標登録出願は却下しなければならない」との規定が追加された。まずは審査段階で適用され、悪意のある登録に対する打撃は異議及び無効宣言の段階で適用される。上記の規定は先登録制を変えずに、商標の使用要件を強化したことになる。次のステップでは、当局は商標法での商標の使用目的をより明確にするために一連の措置を強化することで、商標出願をより健全化する。提案に対して、当局は今後の商標法の全面改正の中で、調査と評価を強化し、法制度に対する不断の改善を通じて、我が国の経済社会の発展にもっと良いサービスを提供する。

以上

【アメリカ】外国からの商標手続きにアメリカ弁護士の代理義務の規則施行(2019年8月3日)

アメリカ特許商標庁は、7月2日付、外国の出願人、商標権者、当事者などがアメリカでの商標出願、登録、審判等の手続きを行う場合に、アメリカの弁護士(licensed attorneys )を代理人として使用しなければならい規則の制定と施行を公示した。これは従来の手続きでは、外国から不明確や不明瞭な書類の提出があり、対応に苦慮したり、質的問題が生じていた背景があるようである。

外国とは、アメリカ合衆国以外を指し、従来、カナダは特別扱いを受けていたが、例外がなくなった。

弁護士とは、アメリカでの弁護士資格を保有している者で、各州の弁護士会(Bar)に登録している法律事務弁護士である。従来、カナダの代理人が手続きを行うことができたが、この例外も排除された。

参照サイト:
https://www.uspto.gov/trademark/laws-regulations/trademark-rule-requires-foreign-applicants-and-registrants-have-us
官報 https://www.federalregister.gov/documents/2019/07/02/2019-14087/requirement-of-us-licensed-attorney-for-foreign-trademark-applicants-and-registrants

【ブラジル】マドプロ国際商標登録議定書加盟批准(2019年10月2日)

WIPOは7月2日付、ブラジルが 標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書(マドリッドプロトコル) を批准し、10月2日から指定出願が可能となることを発表した。121番目の加盟国となる。

参考サイト:
https://wipo.us8.list-manage.com/track/click?u=ebfb4bd1ae698020adc01a4ce&id=72b3250d2b&e=f15cafb3ed
https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2019/article_0007.html

【中国】独占禁止法にかかる「独占協議の禁止に関する暫定規定」、「市場での支配的地位の濫用行為の禁止に関する暫定規定」の施行(2019年9月1日)

市場監督管理総局は6月26日付、「独占協議の禁止に関する暫定規定」、「市場での支配的地位の濫用行為の禁止に関する暫定規定」及び「行政権力の濫用排除、競争行為の制限に関する暫定規定」を局令第10号、11号、12号で公布し、7月1日付公示したので、同局のコメントの仮訳とともにご紹介する。

市場監督管理体制の改革と独占禁止法執行体制の改革ニーズに適応するため、機構改革後の市場監督管理部門の独占禁止に対する統一した法執行の法治上の保障を提供し、市場監督管理総局は実務経験を十分に総括し、社会の各方面の意見を広く求めた上で、研究論証を繰り返し、発展改革委員会と元工商行政管理総局が公布した独占禁止法関連規定を統合し、「独占協議の禁止に関する暫定規定」、「市場での支配的地位の濫用行為の禁止に関する暫定規定」及び「行政権力の濫用排除、競争行為の制限に関する暫定規定」を制定し、2019年9月1日から施行する。

1.三規則制定過程においての主な遵守原則:
(1)党と国家機構の改革精神を全面的に貫徹する。
(2)法の執行を統一的に規範化するために制度の基礎を作る。「法に基づく行政推進、公正で文明的執行を厳格に規範化」
(3)消費者の合法的権益を確実に保護する。独占禁止法執行を通じて消費者の知る権利、選択権、公正取引権などの各権利を確実に保護し、人民大衆のために良好な消費環境を構築し、獲得感と幸福感を確実に強化する。
(4)法律執行の経験を全面的に総括する。法執行上のホットなテーマなどにも独占禁止規則システムを改善し、独占禁止法執行のレベルを向上させる。

2.三規則に共通の内容:
独占禁止法執行業務の統一性を確保するため、委嘱(授権)、監督、手順などの面でできるだけ同じように規定している。
(1)法律の広い法執行権限。独占禁止法の規定は国務院が規定した独占禁止職責を負う機構が独占禁止法執行業務を担当し、業務に応じて省クラス政府の対応する組織に独占禁止法執行業務を委嘱することもできる。「市場監督管理総局の独占禁止法執行授権に関する通知」(国市監反独占[2018]265号)
(2)届出報告及び監督制度。省レベル市場監督部門に対する指導と監督を強化する。
(i)市場監督管理部門が受託後、その委託内容がその検査・管理範囲に属さない、或いは市場監督管理総局の統括が必要な場合、速やかに市場監督管理総局に報告すること。
(ii)市場監督管理部門は立案日から7営業日以内に市場監督管理総局の管理簿に記録すること。
(iii)市場監督部門は調査を中止・終了決定、行政処罰通知、処分案を事前に市場監督管理総局に報告すること。
(iv)市場監督管理部門が決定書、行政処罰決定書或いは処分を出した後、7日間以内に市場監督管理総局に届出ること。
(v)市場監督管理総局は省クラス市場監督部門に案件の指導と監督を強化し、統一的な法律執行基準を制定すること。省クラス市場監督管理部門は市場監督管理総局の関連規定に従って各種案件を厳格に調査すること。
(3)違法行為の発見ルート、告発書の要求、調査依頼、調査協力、公示などに統一規定。他の行政機関との連携や受託業務の活動範囲と連携範囲、結果の共有や国家企業信用情報公示システムを通じた公示などを規定した。
(4)関連規則との活用問題。「独占協議の禁止に関する暫定規定」、「市場での支配的地位の濫用行為の禁止に関する暫定規定」に独占協議、市場での支配的地位の濫用行為の調査、処罰手順に規定がない場合は、期限、立案、事件管轄の規定を除き「市場監督管理行政処罰手順暫定規定」に基づき執行する。独占禁止法執行機関が行政処罰の聴取をする場合、「市場監督管理行政処罰聴取暫定弁法」に基づき執行する。行政権力の濫用を防止し、競争行為の排除、制限は行政処罰の対象ではないため、「市場監督管理行政処罰手続暫定規定」、「市場監督管理行政処罰聴証暫定弁法」は適用しない。

3.「独占協議の禁止に関する暫定規定」
本規定は全36条からなり、授権と管轄、独占協議の認定、立案、調査、免除、調査の中止、調査の終了、調査の再開、処罰、減免措置、公示などの実務と手続き内容について全面的に規定している。
(1)独占協議の認定。独占禁止法第二章「独占協議」の内容及び機構改革状況に基づき、価格と価格以外で独占協議事件を区別せず、独占禁止法第13条、第14条に列挙される価格の固定または変更、生産販売数量の制限、市場の分割など7つの具体的な独占協議形態及び国務院独占禁止法執行機関がその他の独占協定で考慮すべき要因を細分化し、法律の運用を強化した。
(2)調査の中止。独占禁止法第45条の規定を細分化し、調査を中止する手順と要件を明確化し、調査を受ける事業者が法に基づく調査中止申請のための明確な指針とした。また、調査中止の適用規模を厳格に把握するため、価格の固定、生産販売数量の制限、市場の分割などのカルテルの主要行為には中止手続きを適用しない。
(3)免除制度。独占禁止法第15条の事業者が法に基づき免除申請できる内容を細分化し、免除申請条件、独占禁止法執行機関での適合考慮要素、免除決定の効力などを認定し、独占禁止法で原則性の強い免除規定の運用を明確化し、事業者の合法的権利の保護に効果がある。
(4)減免制度。独占禁止法の減免制度を「重要な証拠」の意味を明確化し、自発的な報告及び重要な証拠を提供した事業者に申請順に異なる幅で罰金を軽減する。「重要な証拠」とは、独占禁止法執行機関が調査の開始または独占協定の認定において重要な役割を果たす証拠であり、参加事業者、商品範囲、合意内容及び方式、協議の具体的な実施などが含まれる。第一申請者には処罰免除、80%を下回らない罰金の軽減、第二申請者には30%~50%の幅で罰金の軽減、第三申請者には20%~30%の幅で罰金の軽減など、罰金を大幅に軽減する。
 上記の他、起草過程で、一部の省クラス市場監督管理部門と専門家学者から、独占協議の認定時に「セーフハーバー」条項を追加することについて議論があったが、独占禁止法は「セーフハーバー」での市場シェアなどの要素について規定がなく、上位法の根拠も足りないため、今後の検討課題とされた。

4.「市場支配地位の濫用の禁止する暫定規定」
本規定は全39条からなり、授権と管轄、市場での支配的地位の認定、市場での支配的地位の濫用の表現形式及び正当な理由、立案、調査、届出、調査の中止、調査の終了、調査の再開、処罰、公示などの実務と手続き内容について全面的に規定している。
(1)市場での支配的地位の認定。本規定は市場での支配的地位の意味と認定要素に対して規定している。実際の発展の必要性に応じて、インターネット、知的財産権などの分野での事業者の市場での支配的地位を認定する考慮要素と2つ以上の事業者が市場での支配的地位を持つと認定した場合の考慮要因も規定し、運用を更に強化している。インターネットなどの新しい経営業態事業者が市場での支配的地位を持つと認定した場合、関連業界の競争の特徴、経営モデル、ユーザー数、ネットワーク効果、ロック効果、技術特性、市場のイノベーション、関連データの掌握処理能力及び事業者の関連市場における市場支配力などの要素を考慮することができる。知的財産権分野の事業者が市場での支配的地位を持っていると認定した場合、知的財産権の代替性、下流市場での知的財産権利用商品の依存度、取引相手と事業者とのバランス能力などを考慮することができる。
(2)市場での支配的地位の濫用の認定。不当な価格での商品の販売または購入、取引拒否、限定取引、付帯または不合理な取引条件、差別待遇など市場での支配的地位を濫用する行為を細分化し、完全なものとしている。「正当な理由」を明確に列挙し、運用性と市場主体の事前準備を強化する。その他、公共事業分野の事業者の経営行為について、その市場での支配的地位を濫用して消費者の利益を損なってはならないと規定している。
(3)調査の中止。独占禁止法第45条の規定を細分化し、調査を中止する手順と要件を明確化し、調査を受ける事業者が法に基づく調査中止申請のための明確な指針とした。独占禁止法執行機関は、調査対象者の調査中止申請に基づき、行為の性質、継続時間、結果、社会的影響、事業者が承諾した措置及びその予測効果などの具体的な状況を考慮し、調査を中止するかどうかを決定する。独占禁止法執行機関が調査の中止を決定した場合、調査中止決定書を作成し、事業者の承諾履行状況を監督しなければならない。事業者は定められた期間内に独占禁止法執行機関の書面報告により履行状況を承諾しなければならない。事業者が未履行或いは不完全履行のため調査中止決定の根拠事実に重大な変化が生じ、調査中止決定が事業者の提供した不完全または不実の情報に基づいている場合、独占禁止法執行機関は調査を再開しなければならない。

5.「行政権力の濫用防止排除、競争行為の制限暫定規定」
本規定は全25条からなり、授権と管轄、行政権力の濫用、競争行為の排除、制限の表現形式、調査、法に基づく処理提案などについて全面的に規定している。
(1)行政権力を濫用し競争行為を排除、制限する表現形式。独占禁止法第32条から第37条までの限定取引、商品の自由な流通の妨害、入札制限、投資または支社の設立、事業者に独占行為を強制、排除・競争内容を含む規定の作成など行政権力の濫用を更に細分化し、運用を強化した。
(2)行政権力の濫用による競争排除、制限行為の取締。独占禁止法が行政権力の濫用が競争行為を排除し、制限すること規定していることから独占禁止法執行機関は関連上級機関に法に基づき処理案を提出することができ、行政処罰ではなく、本規定の「摘発」は「調査を行い、法に基づく処理案の提出」と明確にし、調査手順を明確にする:
(i)「調査」とは法に基づき関係単位と個人の状況を把握し、証拠を収集、聴取することだけが含まれることを明確にしている。
(ii)関連上級機関に法に基づき処理案を提出するとは、行政議定書を作成し、主送単位名、調査対象会社名、違法事実、調査対象機関の意見陳述及び採用状況、処理提案及び根拠、独占禁止法執行機関名称、公印及び日付などの事項を明記する。
(iii)調査期間に当事者が自発的に関連行為を停止し関連の結果を除去した場合、調査を終了することができる。独占禁止法執行機関は行政権力の濫用による排除、競争を制限する行為を構成しないと判断した場合、調査を終了しなければならない。

参照サイト:
「独占協議の禁止に関する暫定規定」
http://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/201907/t20190701_303056.html
「市場での支配的地位の濫用行為の禁止に関する暫定規定」
http://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/201907/t20190701_303057.html
「行政権力の濫用排除、競争行為の制限に関する暫定規定」
http://gkml.samr.gov.cn/nsjg/fgs/201907/t20190701_303058.html

【中国】人類遺伝資源管理条例施行(2019年7月1日)

国家林業草原局は5月28日付国務院令第717号を公示し、「中華人民共和国人類遺伝資源管理条例」を7月1日より施行する。本条例は2012年頃から立法活動を行われていたが、従来は1998年の「人類遺伝資源管理暫定弁法」が施行されていた。
 本件の対象は、生物資源ではなく、人類遺伝資源であり、人体のゲノム、遺伝子およびその産物である器官、組織、細胞、血液、調合物、デオキシリボ核酸(DNA)の組み換え体などの遺伝材料および関連の情報資料が対象になる。
 本条例は、全6章47条で、第1章総則、第2章収集と保持、第3章利用と外国への提供、第4章役務と監督、第5章法律責任、及び第6章附則からなる。注意するべき条項は下記の通り;

第7条 外国組織、個人及びその設立又は実際に管理機構は、中国国内で中国の人類遺伝資源を収集、保管してはならず、国外に中国の人類遺伝資源を提供してはならない。

第12条 中国の人類遺伝資源を採集するには、事前に人類遺伝資源の採集目的、採集用途、健康に与える影響、プライバシー保護措置及びその享有する自発的参加及び随時無条件離任の権利を告知し、人類遺伝資源提供者の書面による同意を得なければならない。
人類遺伝資源の提供者に前項で規定された情報を知らせる時には、全面的、完全、真実、正確でなければならない。

第22条 中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開する場合は、次の条件に適合し、協力双方が共同で申請を提出し、国務院科学技術行政部門の承認を経なければならない。
(一)中国の公衆の健康、国家の安全と社会公共の利益に害がないこと;
(二)提携双方は法人資格を有する中国側の単位、外国側の単位であり、関連業務を展開する基礎と能力を有すること;
(三)協力研究の目的と内容が明確で、合法的で、期限が合理的であること;
(四)協力研究の計画案が合理的であること;
(五)使用予定の人類遺伝資源の出所は合法的で、種類、数量は研究内容と一致していること;
(六)協力双方の所在国(地域)の倫理審査をパスしていること;
(七)研究成果は明確に帰属し、合理的で明確な利益配分方法がある。
 関連する薬品と医療機器の中国での上場許可を得るために、臨床機関で中国の人類の遺伝資源を利用して国際協力臨床試験を実施し、人類の遺伝資源材料の出国に関与しない場合、審査が必要ではない。しかし、協力双方は臨床試験を実施する前に、使用予定の人類遺伝資源の種類、数量及び用途を国務院科学技術行政部門に登録しなければならない。国務院科学技術行政部門と省、自治区、直轄市人民政府科学技術行政部門は届出事項に対する監督管理を強化する。

第24条 中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開するには、中国側の単位及び研究者が協力期間の全過程、実質的に研究に参加することを保証し、研究過程におけるすべての記録及びデータ情報等が完全に中国側の単位に開放され、中国側の単位にバックアップを提供しなければならない。
 中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開し、生じた成果を特許出願する場合、協力双方が共同で出願し、特許権は協力双方に共有されるものとする。研究によって生じたその他の科学技術の成果は、その使用権、譲渡権及び利益の共有方法は協力双方が協力協議を通じて約定する。協議に約定されていない場合、協力双方は使用する権利がある。

第26条 中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開し、協力双方は国際協力活動終了後6ヶ月以内に共同で国務院科学技術行政部門に協力研究状況報告を提出しなければならない。

第36条 本条例の規定に違反し、次のいずれかがある場合、国務院科学技術行政部門が違法行為の停止を命じ、違法採集、保存した人類の遺伝資源と違法所得を没収し、50万元以上の500万元以下の罰金を科し、違法所得が100万元以上の場合、違法所得の5倍以上の10倍以下の罰金を科する。
(一)許可なく、中国の重要な遺伝家系、特定の地区の人類の遺伝資源を採集したり、国務院科学技術行政部門の規定の種類、数量の人類の遺伝資源を採集する;
(二)許可なく、中国の人類遺伝資源を保管する;
(三)許可なく、中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開する;
(四)安全審査に合格せず、中国の公衆の健康、国家の安全と社会公共の利益に影響を与える可能性のある人類遺伝資源情報が外国組織、個人及びその設立または実際に管理する機構に提供または開放する;
(五)国際協力臨床試験を実施する前に使用予定の人類遺伝資源の種類、数量及びその用途を国務院科学技術行政部門に登録していない。

第37条 虚偽の資料を提供し、またはその他の欺瞞手段を用いて行政許可を取得した場合、国務院科学技術行政部門はすでに取得した行政許可を取消し、50万元以上500万元以下の罰金を科し、5年に渡り関連責任者及び単位が提出する許可申請を受理しない。

第38条 本条例の規定に違反して、許可なく中国の人類遺伝資源材料を運送し、郵送し、国外に持ち出した場合、税関は法律、行政法規の規定に従って処罰する。科学技術行政部門は税関に協力して鑑定などの法律執行協力を行わなければならない。税関は法に基づき押収した人類遺伝資源材料を省、自治区、直轄市人民政府科学技術行政部門に移送して処理しなければならない。

以下第44条までの処罰条項に注意すること。

参照サイト:
http://www.forestry.gov.cn/main/4815/20190610/173000411230498.html