【中国】人類遺伝資源管理条例施行(2019年7月1日)

国家林業草原局は5月28日付国務院令第717号を公示し、「中華人民共和国人類遺伝資源管理条例」を7月1日より施行する。本条例は2012年頃から立法活動を行われていたが、従来は1998年の「人類遺伝資源管理暫定弁法」が施行されていた。
 本件の対象は、生物資源ではなく、人類遺伝資源であり、人体のゲノム、遺伝子およびその産物である器官、組織、細胞、血液、調合物、デオキシリボ核酸(DNA)の組み換え体などの遺伝材料および関連の情報資料が対象になる。
 本条例は、全6章47条で、第1章総則、第2章収集と保持、第3章利用と外国への提供、第4章役務と監督、第5章法律責任、及び第6章附則からなる。注意するべき条項は下記の通り;

第7条 外国組織、個人及びその設立又は実際に管理機構は、中国国内で中国の人類遺伝資源を収集、保管してはならず、国外に中国の人類遺伝資源を提供してはならない。

第12条 中国の人類遺伝資源を採集するには、事前に人類遺伝資源の採集目的、採集用途、健康に与える影響、プライバシー保護措置及びその享有する自発的参加及び随時無条件離任の権利を告知し、人類遺伝資源提供者の書面による同意を得なければならない。
人類遺伝資源の提供者に前項で規定された情報を知らせる時には、全面的、完全、真実、正確でなければならない。

第22条 中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開する場合は、次の条件に適合し、協力双方が共同で申請を提出し、国務院科学技術行政部門の承認を経なければならない。
(一)中国の公衆の健康、国家の安全と社会公共の利益に害がないこと;
(二)提携双方は法人資格を有する中国側の単位、外国側の単位であり、関連業務を展開する基礎と能力を有すること;
(三)協力研究の目的と内容が明確で、合法的で、期限が合理的であること;
(四)協力研究の計画案が合理的であること;
(五)使用予定の人類遺伝資源の出所は合法的で、種類、数量は研究内容と一致していること;
(六)協力双方の所在国(地域)の倫理審査をパスしていること;
(七)研究成果は明確に帰属し、合理的で明確な利益配分方法がある。
 関連する薬品と医療機器の中国での上場許可を得るために、臨床機関で中国の人類の遺伝資源を利用して国際協力臨床試験を実施し、人類の遺伝資源材料の出国に関与しない場合、審査が必要ではない。しかし、協力双方は臨床試験を実施する前に、使用予定の人類遺伝資源の種類、数量及び用途を国務院科学技術行政部門に登録しなければならない。国務院科学技術行政部門と省、自治区、直轄市人民政府科学技術行政部門は届出事項に対する監督管理を強化する。

第24条 中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開するには、中国側の単位及び研究者が協力期間の全過程、実質的に研究に参加することを保証し、研究過程におけるすべての記録及びデータ情報等が完全に中国側の単位に開放され、中国側の単位にバックアップを提供しなければならない。
 中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開し、生じた成果を特許出願する場合、協力双方が共同で出願し、特許権は協力双方に共有されるものとする。研究によって生じたその他の科学技術の成果は、その使用権、譲渡権及び利益の共有方法は協力双方が協力協議を通じて約定する。協議に約定されていない場合、協力双方は使用する権利がある。

第26条 中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開し、協力双方は国際協力活動終了後6ヶ月以内に共同で国務院科学技術行政部門に協力研究状況報告を提出しなければならない。

第36条 本条例の規定に違反し、次のいずれかがある場合、国務院科学技術行政部門が違法行為の停止を命じ、違法採集、保存した人類の遺伝資源と違法所得を没収し、50万元以上の500万元以下の罰金を科し、違法所得が100万元以上の場合、違法所得の5倍以上の10倍以下の罰金を科する。
(一)許可なく、中国の重要な遺伝家系、特定の地区の人類の遺伝資源を採集したり、国務院科学技術行政部門の規定の種類、数量の人類の遺伝資源を採集する;
(二)許可なく、中国の人類遺伝資源を保管する;
(三)許可なく、中国の人類遺伝資源を利用して国際協力科学研究を展開する;
(四)安全審査に合格せず、中国の公衆の健康、国家の安全と社会公共の利益に影響を与える可能性のある人類遺伝資源情報が外国組織、個人及びその設立または実際に管理する機構に提供または開放する;
(五)国際協力臨床試験を実施する前に使用予定の人類遺伝資源の種類、数量及びその用途を国務院科学技術行政部門に登録していない。

第37条 虚偽の資料を提供し、またはその他の欺瞞手段を用いて行政許可を取得した場合、国務院科学技術行政部門はすでに取得した行政許可を取消し、50万元以上500万元以下の罰金を科し、5年に渡り関連責任者及び単位が提出する許可申請を受理しない。

第38条 本条例の規定に違反して、許可なく中国の人類遺伝資源材料を運送し、郵送し、国外に持ち出した場合、税関は法律、行政法規の規定に従って処罰する。科学技術行政部門は税関に協力して鑑定などの法律執行協力を行わなければならない。税関は法に基づき押収した人類遺伝資源材料を省、自治区、直轄市人民政府科学技術行政部門に移送して処理しなければならない。

以下第44条までの処罰条項に注意すること。

参照サイト:
http://www.forestry.gov.cn/main/4815/20190610/173000411230498.html