【中国】悪意商標出願に対する知識産権局の立場と方針の説明(7月4日)

7月4日、国家知識産権局条法司(法務部門)は、3月に開催された第13期全国人民代表大会第2回会議で代表者から発せられた「悪意のある商標登録行為の防止」の提案について、主題に対する見解や対策について回答したことを公表したので、以下の通り、ご参考まで仮訳でご紹介する。

「悪意のある登録商標行為の防止の提案」について、国家知識産権局としては、会議での代表者の提案の一部は4月に発表された商標法改正に既に含まれているものの、改正に含まれていない他の提案事項を今後の商標法改正で十分考慮する。当局は商標の悪意出願問題を非常に重視しており、この数年に各種の措置を講じ、悪意のある登録商標行為を規制し、一定の効果を収めていると応じ、以下の点を説明する。

1.悪意のある商標登録行為の規制とそれに対する処罰メカニズム
2019年4月23日、全国人民代表大会常務委員会は商標法改正案(草案)を審議し、悪意ある登録行為に対する6つの規制条項を追加し、改正は2019年11月1日から施行される。(改正法参照
 当局も現在、日々の業務で悪意のある商標出願行為に対して積極的に措置を取っている。他人の先の権利を大きく侵害したり、公共の資源を利用したりする大量な悪意のある登録出願は一律に却下している。実際に使用意図がなく、正常な生産事業活動にかんがみて必要な商標登録出願数を著しく超えている場合、審査、異議、無効段階で却下しているる。また、3年連続不使用取消事件では、「商標使用」の認定基準を厳格化し、実際のところ不使用、象徴的な使用のみの場合、取消する。こうした措置は悪意のある商標出願行為を一定程度抑制し、公平な競争秩序を維持する役割を果たしている。
 また、「登録商標出願行為の規範化に関する若干の規定」を起草し、現在は意見を募集している。今回の商標法改正後、関連法律に基づいて各方面と意見を調整し、同規定の内容を改善し、商標法の修正内容を実務で対応する。なお、指摘された商標登録後の売買行為に対する具体的な処罰措置については、今後の検討課題である。

2.商標出願人の資格での制限と実際の使用証明の提出
提案された商標出願人の主体資格を制限することについては、出願する商標を使用する商品に対する生産資格がなければならず、登録商標の権利者は3年毎に実際の使用証明などの提出を求めなければならない。
 こうしたことを前提とすると、国がイノベーション駆動発展戦略を実施しており、当局は行政サービスの改革も進めるために、出願人の商標登録手続きに利便性のある措置を取っているが、こうした手続きの追加は真逆の対策となり、出願人の負担を増加させることになる。
 次に、我が国は、WIPOの商標法条約と商標法シンガポール条約を1994年に批准しており、その適用可能性を検討している。ところで当該条約は出願人に商業登録簿や願書に記載の指定商品や役務に対する活動記録を提出することを要求してはならないと規定しているため、当局が出願人の出願時に関連する事業資格証明書を要求する場合、我が国が積極的に参加を検討している国際条約の規定に一致しないことをすることになる。
 更に、我が国の商標法は商標権者に3年毎の実際の使用証明の提供を明確に要求してないが、商標法第49条には3年連続不使用取消の規定がある。この制度の趣旨は商標権者に合法的かつ効果的な商標の使用を促すことにあり、客観的には遊休商標の整理、悪意による商標登録の抑制及び公平な競争秩序の維持を目的としている。また、我が国は先願主義を商標権取得の原則としているが、依然として商標の使用義務を強調している。 

今回の商標法の改正も商標出願人の使用義務を強化するとともに、第4条第1項には「使用を目的としない悪意のある商標登録出願は却下しなければならない」との規定が追加された。まずは審査段階で適用され、悪意のある登録に対する打撃は異議及び無効宣言の段階で適用される。上記の規定は先登録制を変えずに、商標の使用要件を強化したことになる。次のステップでは、当局は商標法での商標の使用目的をより明確にするために一連の措置を強化することで、商標出願をより健全化する。提案に対して、当局は今後の商標法の全面改正の中で、調査と評価を強化し、法制度に対する不断の改善を通じて、我が国の経済社会の発展にもっと良いサービスを提供する。

以上

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