マレーシア知的財産庁(MyIPO)は、12月27日付、マドプロ国際商標条約への加盟発効及び国内商標法の改正施行を公示した。改正内容は下記の通り。
- 保護対象を非伝統的商標に拡大
音、色(単色或いは組合せ)、ホログラム、位置、におい、形状(商品自体かパッケージ)、動き、及び商標要素の組合せの出願が可能になった - 多区分一出願の導入
- 団体・証明商標制度の導入と防御商標制度の廃止
- 出願日認定の明確化
従来の出願受付日から、未補完書類や外国語商標の翻訳や翻案がある場合、補完が完成した時点で、出願日が認定されるように変更となった。優先権主張のある場合、優先権主張日まで出願日(登録日と見なし)は繰り下がらない。優先権主張を伴う出願の場合、先願による排除権のみが機能する - 拒絶理由通知の明確化
絶対的拒絶理由と相対的拒絶理由に分けた審査がされるようになる。また、当事者の同意書を審査に活用するコンセント制度を導入、但し無条件受け入れではない - 分割出願及び出願併合制度を導入
- 登録証発行廃止
簡便なシールを添付した認可通知が発行される。登録証が必要な場合は、別途有料で発行を請求することができる - 登録確定の推定期間の短縮
除斥期間が7年から5年に短縮された - 不使用取消理由の追加
商標が希釈化し一般名称となった場合、また、品質、性質や地理的出所などと誤認されるようになった場合も、不使用取消の対象となる。 - ライセンス登録義務の廃止
被許諾使用者の登録義務を廃止し、ライセンス契約書があれば第三者対抗要件となる。なお、ライセンス登録は可能であるため、ライセンス登録をお勧めする。 - 商標権侵害の拡大解釈導入
指定商品や役務の解釈を類似するところまで、禁止権を拡大解釈するように変更した。また、侵害行為者を侵害寄与や侵害関係者として、代行、保管、展示などの行為者も侵害行為者に含む。こうしたことから原告の侵害立証義務が少し緩和されると思われる - 模倣品対策の規定導入
虚偽表示や誤認させる使用に対する罰金1万リンギットを規定した - 理由のない警告に対する救済の導入
単純な警告から訴訟など具体的な権利行使に動く可能性が高い - 担保権の導入
商標権も一般物件と同様に担保の対象となった - 弁護士依頼者間の秘匿特権の規定
- 移行措置
旧法中出願の係属中出願には旧法が適用されるが、新法の適用を請求する権利が出願には留保されている。
参照サイト:
商標法 http://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2019/12/ACT-815-TRADEMARKS-ACT-201.pdf
ガイドライン https://drive.google.com/file/d/1go_DlUdCQ3wpKM2oMhlR6yKjPzgA_63I/view