すでにご案内の通り、日本はWIPOのデジタルアクセスサービス(「DAS」)を利用した優先権書類の交換を2020年1月1日より開始した。従来から特許出願では便利なサービスとして定着したDASであるが、外国への意匠出願に活用できるのは更に意匠の活用の面では便利になる。
1月1日現在のDASを利用できる国は、アメリカ、カナダ、中国、韓国、インド、オーストラリア、チリ、スペイン、ジョージアになる。欧州は2020年度中に可能となる模様である。一方、国際意匠(WIPO)については、優先権主張の基礎には使える*が、出願国としてはDASを利用することができないことには注意が必要である。
DASを利用するには出願番号通知に記載されるコードを利用することになるが、部分意匠出願を外国に出願する際に、中国など部分意匠制度を有しない国や部分意匠に基づくバリエーションを権利化したい場合、単純に優先権主張をした現地の意匠出願では拒絶や無効となる可能性が高いので、相応の対応をすることが不可欠である。また、日本の意匠法改正に基づく関連意匠出願をそのまま優先権主張する場合、拡大先願などを理由に自爆する出願をすることになるため、事前の対策をするべきである。
*追記:WIPOは1月7日付、優先権主張の基礎に国際意匠出願を利用することは2020年1月20日以降可能になると公示した。
関連サイト:https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/yusen/das/index.html
WIPOサイトの公示
https://www.wipo.int/das/en/participating_offices/details.jsp?id=10589