【アメリカ】商標出願手続きの電子出願完全移行ガイドライン施行(2020年2月15日)

アメリカ特許商標庁(USPTO)は、2020年 2月7日付公示し、商標出願手続きを一部の例外を除き全て電子出願移行するガイドライン施行を 2月15日付施行した。本件は、2月8日付アップした内容を、施行時にガイドラインの一部改正があったための再掲載である。

当初のコメントでは、日本からの手続きは原則、アメリカの代理人を経由することになるため、直接の対応はないと記載したが、現地代理人の指摘によると、新たな規定として、出願人の電子メールアドレスを代理人のメールアドレスに加えて、願書に記載することが要件とされた(ガイドラインのIII.A、37 C.F.R. §2.32(a)(2)参照)。電子出願の願書情報は、誰でもUSPTOのサイトで閲覧し、それに記載されるその個人の電子メールアドレスをみることができるため、個人情報の開示やプライバシーの問題に繋がるとの指摘が多くの代理人からなされた。こうした指摘を受けて、USPTOは、Trademark applicants and registrants who are represented by an appointed attorney may provide an email address of their choiceを追加した、つまり商標権者はUSPTOからのメールを受信するための目的の電子メールアドレスを選択することができると追加された。この場合、日本の商標権者が電子出願で使用しているような代表メールアドレスを持たない場合或いはこうした目的のための管理用の代表メールアドレスを用意できない場合、現地代理人と相談して、特定のメールアドレス、例えば代理人が受信できる代理人のドメイン名を利用したメールアドレスを新たに作り、利用することも可能となる対応策が示された感じである。一方、USPTOは商標権者の電子メールアドレスを申請により隠すオプションを入れるとの意向を示しているとのことであるが、まだ実現は不明である。

同時に、USPTOは2019年7月12日付、使用見本の改ざんや捏造が横行していることに対応するため、商標の使用見本に対する新たな審査ガイドライン (Examination Guide 3-19)を発表したが、このガイドラインも同時に施行される。今回の電子出願ガイドラインで追加で示された有効な使用見本(Specimen)に関する変更にも注意が必要である。

  • 規則2.56を更新して、使用見本(Specimen)に関する法定および判例法の要件、電子出願の対応を変更した
  • 商品またはサービスにかかわる使用見本のすべてのウェブページのURLとアクセス日または印刷日を要件とする
  • 商品或いは包装に添付して表示するラベルおよびタグ使用見本を要件とする

参照サイト:https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/TM-ExamGuide-MEF-1-20.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=

使用見本に関する審査ガイドライン:
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/Exam%20Guide%2003-19.pdf

引用:Mr. Jeffrey H. Kaufman, MUNCY, GEISSLER, OLDS & LOWE, P.C. (MG-IP)