【中国】商標局は新型コロナウィルス事態に付け込んだ商標出願を大量に却下(3月6日)

商標局は、新型コロナウィルスの対策に関連する名称が大量に商標出願されている事態を受けて、3月3日に対策に当たっている現地の病院の名称である“火神山”、“雷神山”、“钟南山”など63件、3月5日に最初に発見した医師の名前“李文亮”や “文亮”など37件の商標出願を却下したことを公示した。

李医師にまつわる商標出願37件については、商標法第10条1項8号に基づく、「社会主義での道徳、風習を害し、或いはその他の有害な影響を及ぼすもの」を理由としたことを明らかにした。37件には、“李文亮”が33件、“文亮医生”、“文亮知先”、“文亮·李”、“礼文亮”など各1件が含まれ,14の出願人、15の区分にわたっている。

商標局は今後も同様の対策を行うことを明言するとともに、地方政府の担当部局に指導強化を指示している。こうした事態は2月初めから中国のSNSで情報が発信されており、悪意出願で指導するべきだとの声が多く上がっていたところ、少し遅い対応ともいえる。中国ではアリババネットで誰でも簡単に商標出願することができ、今回の商標出願も大半がインターネット商標出願事業者を通じたものであるため、ネット事業者に対する規制も必要であろう。 或いは李先生の名誉回復だろうか。 いずれにしても、中国の火事場の何とかを商標局が悪意と判断するのはしたりというべきかな。

追記 3月18日
商標局は、3月16日までに合計1580件強の関連商標出願に対して、328件を却下、866件を自主的取下げの指導をしたことを公示した。引き続き390件強を却下する予定とのことで、出願不受理を含めた対策をするとのことである。また、地方政府の法執行部門と協働して、こうした出願をさせない環境整備を強化するとしている。

参照サイト: http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1146478.htm
http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1146509.htm

追記関連サイト: http://www.cnipa.gov.cn/zscqgz/1146741.htm