【中国】商標権侵害判断基準の公示(2020年6月15日)

国家知識産権局は、6月17日付で6月15日付公布の商標権侵害判断基準を公示した。本基準は昨年12月に意見募集が8章58条で公示されたものだが、国家知識産権局は、これまでの商標行政保護の経験と実務を体系的に整理総括した38条で、商標の使用、同じ商品、類似商品、同じ商標、類似商標、混同しやすい、販売免責、権利衝突、適用中止、鑑定識別などの内容を細かく規定したものと説明している。

意見募集稿との違いは、侵害判断部分での出願審査の判断が含まれる条項と例外部分の調整が主である。本判断基準で注意しなければならないことは、12条の商標の指定商品との侵害判断において、現行の区分表に基づいて判断することである。権利行使時にはこの点を十分確認する必要があり、古い登録商標しか保有していない場合、現状の事業に合った商標権を取得することが必要である。また、上位概念の指定商品や役務での登録の場合、権利行使ができないこともありうるため、具体的商品名で権利化を改めてすることが必要である。

本基準は、行政ルートの権利行使で各地の知識産権局が参照する基準であるが、主だった12項目について、以下のように簡単にまとめることができる。
1.商標の使用:商標の使用が商標権侵害行為を判定する前提要件とし、商標の使用の定義、具体的な表現形式を列挙して、商標の使用の判定原則を明確にしている。
2.同じ商品、類似商品:同じ種類の類似商品の判定原則を規定し、区分表がその判断基準になることを明確にしている。
3.同じ商標、類似商標:伝統的商標に加え、立体商標、色の組合せ商標、音声商標などの新しい商標について判断基準を明確にし、「商標審査及び審理基準」の役割を明確にしている。
4.混同しやすい:2014年の改正商標法では初めて混同しやすいについての規定がされ、2つの混同しやすいケースと考慮すべき要因を明確している。
5.商標登録者の許諾の範囲:商標使用許諾の範囲を超えたために紛争が発生した場合の判断基準を明確にしている。
6.商標権侵害の具体的行為:実務上多発しやすい商標権侵害行為の態様を挙げて、商標法の具体的な適用条項を明確にしている。
7.販売の免責:侵害を知らない状況及び仕入先の説明に関する関連条件を明確にしている。
8.他の知的財産権との衝突:商標と他の知的財産権の衝突の処理原則、商標出願日を比較基準と明確にしている。
9.先使用の抗弁:未登録商標の先使用の抗弁を規範化するために、一定の影響がある商標、原使用範囲などを明確にしている。
10.中止の適用:係争中に事件処理を中止できる状況を細分化し明確にしている。
11.再犯:5年以内に2回以上の商標権侵害行為に対する処罰を適用する基準を明確にしている。
12.権利者の認識:商標権者が発行した鑑定意見に対する法律責任を規定しており、法律執行機関は意見主体の合法性、鑑定意見の真実性、関連性及び鑑定意見を審査し証拠とする前提条件を明確にしている。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/gztz/1149656.htm
仮訳