シンガポール知的財産庁(IPOS)は、2020年4月27日付け通知No.2/2020を公示し、シンガポール特許審査促進計画(SG Patent Fast Track Programme)を同5月4日から実施した。なお、このファーストトラック(審査促進)制度は、時限付きのパイロットプログラムで、審査期間を6か月とし、2022年4月29日まで2年間の審査促進制度である。
この審査促進制度は、2018年や2019年に開始したフィンテックやAIに関する審査促進制度に代わる制度で、新たな審査促進の対象は下記の新たな技術分野である。
・短い製品ライフサイクルの技術(例:フィンテック、インダストリー4.0(第四次産業革命)及びAI人工知能)
・環境や公衆衛生にかかる原因を持つ技術(例:食料安全保障、気候変動の緩和、廃水とスマートエネルギー管理、COVID-19治療薬)。
なお、審査促進制度を利用できる対象としては、シンガポール直接出願(分割出願除く)で請求項が20個未満であるが、1ヶ月の上限が10件以下とされている。
参照サイト:https://www.ipos.gov.sg/docs/default-source/resources-library/patents/circulars/(2020)-circular-no-2-launch-of-sg-patent-fast-track-programme-on-4-may-2020-(final).pdf
IPOSはこれに加えて、8月25日付け通知No.6/2020を公示し、その対象を商標と意匠に拡大し、9月1日より開始した。
この追加の審査促進の条件としては、対象者が上記の特許でのファーストトラック申請が受理された出願人であり、その対象が商標と意匠の出願であることにある。審査期間は商標で3か月(スムーズにいかない場合6か月)、意匠で1か月である。なお、商標の場合、通常の商標出願で、指定商品や役務はIPOSが認めた表現であることが条件となっている。
参照サイト:https://www.ipos.gov.sg/docs/default-source/resources-library/patents/circulars/(2020)-circular-no-6—expansion-of-sg-patent-fast-track-programme-on-1-september-2020.pdf