【中国】最高人民法院によるインターネットネット知的財産権侵害紛争での法律問題の回答の施行(2020年9月14日)

最高人民法院は、9月12日付、6月に意見募集した「最高人民法院によるインターネットでの知的財産権侵害紛争に関するいくつかの法律適用問題に対する回答(最高人民法院关于涉网络知识产权侵权纠纷几个法律适用问题的批复)」(法釈2020-9号)が2020年8月24日に最高人民法院審判委員会第1810回会議を通過したことを9月12付公示し、9月14日から施行した。

本回答は全6項目からなり、知的財産権者、インターネット事業者や経営者の事件対応に対する判断基準を示している。

仮訳
最高人民法院によるインターネットでの知的財産権侵害紛争に関するいくつかの法律適用問題に対する回答(法釈2020-9号)
各省、自治区、直轄市高級人民法院、解放軍軍事法院、新疆ウイグル自治区高級人民法院生産建設兵団分院:
最近、一部の高級人民法院がインターネットでの知的財産権侵害紛争に関連する法律適用に関するいくつかの問題について本院に指示を求めた。研究の結果、以下のように回答した。

1.知的財産権権利者がその権利が侵害されたと主張するとともに保全申立を提出し、ネットワークサービス事業者、電子商取引プラットフォーム経営者に速やかに削除、遮蔽、リンク遮断などの掲載取下げ措置を講じるよう要求した場合、人民法院は法により審査するとともに裁定を下さなければならない。
2.インターネットサービス事業者、電子商取引プラットフォーム経営者は知的財産権者が法に基づき発信した通知を受領後、速やかに権利者の通知を関連インターネット利用者、プラットフォーム内経営者に転送するとともに、権利侵害を構成する初歩的証拠とサービスのタイプに基づき必要な措置を講じなければならない。必要な措置を講じなかった場合、権利者がインターネットサービス事業者、電子商取引プラットフォーム経営者が損害の拡大部分に対してインターネット利用者或いは電子商取引プラットフォーム内の経営者と連帯責任を負うことを主張した場合、人民法院は法によりこれを支持することができる。
3.法により転送された権利侵害行為不存在の声明が知的財産権利者に到達後の合理的な期限内に、インターネットサービス事業者、電子商取引プラットフォーム経営者は権利者からすでに投訴或いは訴訟起訴の通知をまだ受け取っていない場合、速やかに削除、遮蔽、リンク遮断などの掲載取下げ措置を講じなければならない。公証、認証手続きなど権利者が制御できない特殊事情による遅延は、上記の期限に算入しない。但し、当該期間は最長20営業日を超えない。
4.悪意のある声明が提出され電子商取引プラットフォーム経営者が必要な措置を中止するとともに、知的財産権権利者に損害をもたらし、権利者が関連法律の規定に基づき相応の懲罰的賠償を申立てた場合、人民法院は法によりこれを支持することができる。
5.知的財産権利者が発信した通知内容は客観的事実と一致しないが、但しその訴訟中に当該通知が善意によるものと免責申立を主張するとともに立証できる場合、人民法院は法により審査し事実確認後これを支持しなければならない。
6.本回答を出した時に未終結の事件には、本回答を適用する。本回答が出された時に既に審理が終了している場合、当事者は再審申立或いは審判監督手続き従う再審決定事件に本回答は適用しない。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-254921.html