国家市場管理監督総局(SAMR)は「厳重違法信用喪失企業リスト管理弁法(严重违法失信企业名单管理办法)」を制定するための意見募集稿を2月10日付公示した。この「厳重違法信用喪失企業リスト」は、工商行政管理法律、行政法規に違反し、かつ情状が深刻なブラック企業を名指しで公示し、情報の共有や業務改善を求めるような目的から「厳重違法信用喪失企業リスト管理暫定弁法」を2015年12月に公布し、2016年4月1日より施行したものである。今回は、「暫定」のとれた手続き法となる。意見募集稿は、8章24条からなり、構成は以下の通り;
第一章 総則
第二章 管轄
第三章 編入情況
第四章 追加削除手順
第五章 管理措置
第六章 信用回復
第七章 誤りの訂正、救済と監督プログラム
第八章 付則
従来の「暫定弁法」で対象となる企業の条件で、知的財産関係は第5条1項で以下のように記載されている。
第5条 企業に下記の状況のいずれかがある場合、県クラス以上の工商行政管理部門が厳重違法信用喪失企業リストに入れて管理する:
(7)虚偽広告を配布し、2年間以内に3回以上の行政処罰を受け、或いは消費者生命健康に関わる商品またはサービスの虚偽広告を配布し、人身傷害、またはその他の厳重な社会悪影響を引き起こしている。
(8)商標侵害行為で5年間以内に2回以上の行政処罰を受けている。
(9)商標代理業務の停止を決定されている。
(10)国家工商行政管理総局規定のその他の工商行政管理法律、行政法規に違反し且つ情状が深刻である。
つまり、商標侵害と商標出願の代理行為が主な対象であった。
今回の意見募集稿では、第5条~第8条に記載されており、一部抜粋すると以下の通りである。
第5条 当事者は市場監督管理法律法規に違反し、以下に掲げる人民大衆の健康と生命の安全に危害を及ぼす状況のいずれかがあり、市場監督管理部門の行政処罰を受け、かつ性質が劣悪で、情状が深刻で、社会的被害が大きい場合、厳重違法信用喪失企業リストに入れる:
(8)偽物や粗悪品を生産、販売。
第6条 当事者は市場監督管理法律法規に違反し、以下に掲げる市場の公正競争秩序を破壊する行為のいずれかがあり、市場監督管理部門の行政処罰、行政裁決を受け、かつ性質が劣悪で、情状が深刻で、社会的被害が大きい場合、厳重違法信用喪失企業リストに入れる:
(3)商標代理業務の永久停止が決定された場合、悪意のある商標出願の場合、故意に知的財産権を侵害する場合。
第7条 当事者は市場監督管理法律法規に違反し、以下に掲げる法定義務を履行しない状況のいずれかがあり、市場監督管理部門の行政処罰を受け、かつ性質が劣悪で、情状が深刻で、社会的被害が大きい場合、厳重違法信用喪失企業リストに入れる:
(2)電子商取引プラットフォームの経営者は消費者に対して安全保障義務を果たさず、是正を命じられたが、改正しない場合。
第8条 その他市場監督管理法律、行政法規に違反し、市場監督管理部門の行政処罰を受け、かつ悪質で、情状が深刻で、社会的被害が大きい状況は、深刻な違法信用喪失企業リストに入れる。
第6条(3)の規定は商標以外に、故意の知的財産権侵害が追加された点が新しいが、故意は「悪意」のさらに上に位置するとの理解であればいいし、社会的影響の面からは著作権もそうではないのかと思う。「広告」の処罰が外れたのは甘くなったと言える。
参照サイト:http://www.samr.gov.cn/hd/zjdc/202102/t20210210_326053.html