【中国】CNIPAは2020年度特許十大審判事件を公示(4月27日)

国家知識産権局は、4月27日付、2020年度の特許無効宣言申立での典型事例10件を公示した。発明特許8件、実用新案特許と意匠特許各1件に関し、概要は以下の通り。

1.発明「β-遮断剤の血管腫治療薬用途」(審決46004:有効)
 特許番号:200880111892.5 権利者:Université de Bordeaux
 クレーム補正後有効維持。医薬品の新用途発明の典型的事例で古い医薬品の新しい用途の発明の進歩性の模範的な判断事例である。

2.発明「DC電源を使用した分散型電力収集システム」(審決47400:無効)
 特許番号:201210253614.1 権利者:太陽能安吉科技有限公司
 この特許太陽光発電分野に関し、進歩性判断において、専門技術用語の解釈は当業者の理解に基づき、開示内容と当業界での通常の意味を判断の基礎とすべきで、技術用語の過剰な解釈を避けるべきことを強調した事例である。

3.実案「板材着脱装置及び携帯型ガラス加工センター」(審決42060:有効)
 特許番号:201520396790.X 権利者:蘇州恒遠精密数控設備有限公司
 実用新案特許の進歩性判断においては、最も近い従来技術の「全体」から技術的示唆があるかどうかを判断すべきで、従来技術を簡単に組合せて判断するべきでないことを強調した事件である。

4.実案「液体レンズ及びそのレンズ群駆動用ボイスコイルモーター」(審決46459:有効)
 特許番号:201820385939.8 権利者:愛佩儀(東莞)光電科技有限公司
 新規性の審査は技術案全体に注目し、技術案の本質を正確に把握しなければならないことを強調した事件である。

5.発明「無線通信システム」(審決46741:無効)
 特許番号: 01819676.4 権利者:シャープ株式会社
 本件は新規性と進歩性の対象であるが、特許無効手続中の請求項に対する補正違反に2002年改正の審査基準が適用された。

6.意匠「移動通信機器用GUI」(審決41733:無効)
 特許番号:201730667916.7 権利者:北京微播視界科技有限公司
 新規性の判断において、GUIインターフェースの保護範囲の決定に関しており、そのインターフェース画面とインタラクティブ方式の決定は図面の写真と簡単な説明を組合せて正確に判断する必要があることを強調した事件である。

7.発明「ブチルフタリドシクロデキストリン或いはシクロデキストリン誘導体包接化合物、その調製方法および用途」(審決43478:有効)
 特許番号:02123000.5 権利者:石薬集団中奇製薬技術(石家庄)有限公司ほか
 既知の化合物の改良発明の進歩性判断の参考として意義があり、当業者が実験データに反映される技術的貢献を適切に認定することの重要性を強調した事件である。

8.発明「モバイル電源のレンタルと端末のレンタルの方法とシステム」(審決44977:有効)
 特許番号:201580000024.X 権利者:深圳来電科技有限公司ほか
 新技術新業態分野の特許審査の典型例であり、ビジネス方法の発明の進歩性判断において、技術的特徴と非技術的特徴との相互作用を考慮する必要があることを強調した事件でる。

9.発明「平針編み機」(審決47197:有効)
 特許番号:201610534695.0 権利者:H. Stoll AG & Co. KG
 記載不備(実施可能要件)に関し、審査において特定の技術用語の意味をどのように正確に理解するかについて、明細書中に記載の技術用語が正確に理解する際に果たす役割を明確にした事件である。

10.発明「置換オキサゾリジノンとその血液凝固分野への応用」(審決46047:有効)
 特許番号:00818966.8 権利者:Bayer Intellectual Property Co., Ltd.
 クレーム補正後有効維持。化合物の進歩性判断において、実証的な効果があり、従来技術に構造変換のための技術的示唆があるかどうかを判断する必要があることを強調した事件である。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/4/27/art_53_158884.html