【中国】CNIPAは2020年度行政保護典型事件(特許)を公表(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、2020年度特許行政保護十大典型事例を公表しました。侵害事件8件と失効特許の虚偽表示処分1件、発明の帰属と発明者認定の調停1件である。失効特許の虚偽表示はちょっと重い判断である。

1.河北省石家荘市:発明特許「置換オキサゾリジノンとその血液凝固分野への応用」侵害事件
特許権者:バイエルIntellectual Property GmbH
特許番号:ZL00818966.8
被申立人の石家荘斯迪亜諾精密化工有限公司がその自社サイトの「製品一覧」に掲載している医薬品中間体には製品名称、CAS番号、化学構造式が対象特許と一致し、知識産権局は直ちに販売の申し出と販売を停止させ、当該サイトからの削除を命じた。

2.浙江省温州市:実案特許「三次元包装機の伝達機構」侵害事件
特許権者:瑞安市豪運機械有限公司
特許番号:ZL201620913636.X
被申立人の郭旗氏は許可なく対象特許を侵害する機器を製造・販売し、法執行に非協力、封鎖被疑侵害品を破壊するなど、明らかに故意かつ悪意で侵害行為を繰り返したため、知識産権局は侵害行為の停止を命じた。被申立人はこれに不服で行政訴訟を起こし却下され、その後控訴したが最高人民法院は却下処分を下した。(2020)最高法知行終175号、(2019)浙02知行初8号

3.重慶市:発明特許と意匠特許「腕時計」侵害事件
特許権者:広東小天才科学技術有限公司
特許番号:ZL201930053063.7「電話腕時計(Z6)」、ZL201821610111.4「撮像機能を有するスマートウェアラブルデバイス」
被申立人の重慶読書郎公司は許可なく対象特許を侵害する製品の販売、販売の申し出を行い、従来技術や代行販売の抗弁をしたものの、真実の合法的出所などの立証が成立せず、知識産権局は関連侵害行為の停止を命じた。

4.湖南省長沙市:実案特許「軌道式自己適応型糞床処理機」侵害事件
特許権者:智恵畜牧機械河北有限公司
特許番号:ZL201820406359.2
被申立人の焦作方大農牧科技有限公司が2020年第18回牧畜業博覧会に展示した製品は係争特許技術の特徴が同じと告訴を受けた知的所有権局は侵害判断を確認し、被申立人の従来技術の抗弁は成立せず、被疑侵害品の製造停止を命じた。

5.湖北省武漢市:意匠特許「トラクター」侵害事件
特許権者:雷沃重工股份有限公司(LOVOL)
特許番号:ZL201530271655.8
被申立人の山東巨明機械有限公司が2018年中国農業機械展覧会で展示した「車輪式トラクター」を被疑侵害行為として投訴を受けた知識産権局は展示会終了後に、全体の視覚効果に実質的な差異がなく類似すると判断し、2019年に販売の申し出の停止、影響の消去及び販売行為の禁止を命じた。被申立人はこれに不服で行政訴訟し侵害判断、その後控訴し最高人民法院は原審維持を下した。(2020)最高法知行終512号、(2019)鄂01行初340号

6.北京市:意匠特許「電動バラスンスクーター(ミニ)」侵害事件
特許権者:Ninebot(北京)科技有限公司
特許番号:ZL201530316168.9
Segwayで知られる特許権者は杭州錦鋒智能科技有限公司、杭州杰澤貿易有限公司、深セン市飛特威科技有限公司など複数の被疑侵害者がECサイトで販売しているバランススクーターが対象特許権を侵害するとして知識産権局に投訴し、型番などから20件の立案をした知識産権局は、従来では見られなかった革新的なデザインの特徴であり、「全体的な観察、総合的な判断」の原則に基づき、全体的な視覚効果において実質的な差異がなく、類似設計に属するとして、製品の販売を直ちに停止するよう命じた。

7.広東省汕頭市:意匠特許「オムニホイール」侵害事件
特許権者:汕頭市益爾楽玩具有限公司
特許番号:ZL201830515943.7
被申立人の汕頭市澄海区拾美玩具厂が玩具の横行車にオムニホイールを搭載して製造、販売、販売の申し出をしている被疑侵害行為の投訴を受けた知識産権局は、対象特許は部品意匠で同じ外観であるため、司法解釈に基づき、意匠特許権を侵害した製品を部品として、他の製品を製造して販売した場合、侵害行為を構成すると認定し侵害行為の停止を命じた。被申立人はこれに不服で行政訴訟したが、開廷審理に出廷せず、却下処分となった。

8.上海市:意匠特許「モーター」侵害事件
特許権者:パナソニック株式会社
特許番号:ZL201330488292.4
被申立人の上海六盛電機有限公司がその自社サイトやタオバサイトで展示、販売している電機製品が対象特許を侵害すると投訴を受けた知識産権局は、意匠は全体の視覚効果において実質的な差異がなく、第三者を通じた販売も侵害項であることを指摘し、製造・販売、販売許諾の停止を命じた。

9.江蘇省塩城市大豊区:特許虚偽表示医療機器(留置針)販売の検査処分事件
被処分者:建湖金茂医薬有限公司、建湖金茂医薬有限公司
事件概要:当局が市内の病院を検査した際に被処分者が販売した留置針に記載されている特許番号が既に失効していることを発見した。権利期間が満了後も製品のパッケージに特許番号を記載する行為は特許法実施細則第84条2項に違反するとし、違法行為の是正と売上21.7万元を没収した。

10.四川省綿陽市:実案特許「ナビゲーションシステム」発明者資格紛争事件
特許権者:四川星捷科技有限公司
特許番号:ZL201721283498.2
事件概要:申立人の中国石油天然气股份有限公司と被申立人(特許権者)には技術協力契約があり、申立人と技術者は当該技術協力プロジェクトの開発者として全過程作業に参加し発明活動に実質的に貢献したが、権利者や発明者に含まれていないことから、知識産権局に調停を依頼し、特許権を享有に変更し、申立人の技術者9名が発明者に追加された。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/4/26/art_53_158880.html