【中国】CNIPAは2020年度特許調査報告を公表(4月28日)

国家知識産権局は、毎年、中国の企業、大学や個人発明家に対するヒアリングを行っており、2020年度のヒアリング調査結果を4月28日付で公表した。少々意向の入ったヒアリングになっているが、中国企業の実態や意識調査結果として参考になる資料である。

報告書は、以下の全5部門からなり、307の図表と140頁ほどの資料になっている。
第一部 特許調査の主な結論
第二部 特許調査対象の全体状況
第三部 基本データ(研究・知財活動全般の実態)
第四部 特許実施化移転情況
第五部 特定テーマ報告(産業化率など)

今回の報告では、以下の5つのポイントを挙げている。
1.特許移転転換レベルの着実な進展
 2020年の有効発明特許の産業化率は34.7%で、企業は44.9%である。
2.特許保護支援環境の持続的最適化の推移
 中国の特許権者が侵害に遭遇する割合は減少傾向にあり、2020年は10.8%と2015年より3.7%下がっている。企業が権利侵害に遭遇後、権利保護措置を取る割合は73.9%と2015年より11.1%上昇し、より積極的に自らの合法的権益を守る法指針が分かる。なお、過去5年間の特許侵害訴訟の平均コストが100万元以上の割合が7.3%とその前の5年間より4.4%増加している。
3.研究開発投資の持続的強化
 2020年の中国の有効発明特許の研究開発投資は100万元以上の割合は16.5%と2019年より4.4%アップし、反対に10万元以下の割合は前年比1.2%減の43.4%である。中国企業のイノベーションの協力は進んでおり、企業の52.1%が上下流の企業及び顧客と協力してのイノベーションの経験があり、34.9%が同業他社と協力関係があるとしている。大学や研究機関とは27.5%と産学研の協力関係も進んでいる。
4.特許無効宣告制度の肯定的な活用
 特許権者の73%は現行の特許無効宣告制度が機能していることを評価しており、94%は不服審判、侵害判定、特許の補正などで機能したと考えている。
5.特許出願費用の合理的調整が高品質とイノベーションに寄与
 特許権者の43.9%が特許出願費用について、「特許出願段階の費用を適切に引き上げることで、低品質特許出願の数を減らすことができる」と考えている。特許年金については、特許権者の61.8%が年金コストを引下げることで特許ポートフォリオのコストが削減され、効果が拡大する」としている。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/4/28/art_53_158967.html
報告書 https://www.cnipa.gov.cn/module/download/down.jsp?i_ID=158969&colID=88