【中国】商標法第59条3項の先使用に係る法律問題(5月21日)

国家知識産権局は、5月25日付の国知発保函字〔2021〕77号で、上海市知識産権局による商標法第59条3項の先使用に係る法律問題の照会(濾知局[2020]7号)に対する回答(5月21日付)を公示した。

商標法第59条3項は、2017年の改正法で追加された条項であり、以下の通り:
「商標登録人が商標登録出願するより前に、他人が同一又は類似の商品に商標登録人より先に登録商標と同一或いは類似する商標を使用するとともに、ある程度の影響を有するようになった場合、商標登録専用権者は当該使用者が原範囲内で当該商標を継続使用することを禁止する権利を有しない。但し、適切な識別標識を追加することを求めることはできる。」

国家知識産権局の回答は、以下の通り:
本規定の目的は商標登録者と商標の先使用者の利益のバランスを取り、商標権登録制度を毀損しない基礎の上に、市場上ですでに一定の影響を備えているものの未登録の商標の先使用者の権益を維持することにある。当局はこの条項の規定を適用するにあたり、先使用者は同時に以下の5つの要件を満たす必要があると考えている:
1.商標登録者が商標を登録出願する前にすでに使用されていること;
2.商標登録者より先に使用していること;
3.商標登録者が商標を登録出願する前に、その使用は「一定の影響がある」程度に達していること;
4.原事業の商品やサービス、地域などが原使用範囲を超えてはいけないこと;
5.商標登録者が適切な区別できる表示を付すことを要求する場合、先使用者は区別標識を添付しなければならない。

これまでの民事訴訟では10件弱の先使用者が被告となった事件があるが、一定の影響があるの立証は比較的難しく、また先使用者の追う原範囲の限定は厳しいので、やはり権利化、後願の登録排除は重要である。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/art/2021/5/25/art_75_159637.html