【中国】最高人民法院によるインターネット上の紛争10大典型事例(5月31日)

最高人民法院は、5月31日付、インターネットでの典型事例のメディア発表会を行った。中国でのインターネット産業は急速に発展しており、2020年12月現在、インターネット利用者数は9億8,900万人、インターネット普及率は70.4%に達し、経済社会の発展全体の局面におけるインターネットプラットフォーム出の経済の地位と役割が日増しに顕著になっている。

2018年以来、中国ではインターネット裁判所(联网法院)が北京、杭州、広州の3か所に設置され、2018年から2020年までの第一審受理は217,256件、審決208,920件をだした。なお、受理件数は2018年から153327件、10714件、97215件と減少傾向であるものの、インターネット事件は、新しく、複雑で、難しい法律問題が多く、新たな課題に直面している。2020年9月に最高人民法院は電子商取引プラットフォームの知的財産権紛争事件審理の指導意見(法発2020-32号)を公布し、電子商取引分野の各当事者の合法的権益の保護を強化したが、その後もインターネット上での知的財産権保護、知的財産権の刑事保護、民事訴訟の証拠、懲罰的賠償など複数の司法解釈と規範性文書を発表し、裁判規則の明確化と基準の統一を図っている。今回は、以下の広範なインターネット上の典型事例を10件として、知的財産権の他に、民商事、刑事など典型的な事例を紹介し、指導的意義のある者であることを企図している。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-306391.html

1.陳力などによる著作権侵害刑事事件(海外のサーバーを利用した人気映画やテレビ番組の著作伝播権侵害、刑法適用)[(2019)沪03刑初127号,上海市第三中级人民法院]
2.杭州華泰一媒文化伝媒有限公司vs深圳市道同科技発展有限公司の作品信息インターネット伝播権侵害事件(ブロックチェーン技術の電子預金に対する初の著作権侵害事件で、新しいタイプの電子証拠の認定)[(2018)浙0192民初81号,杭州互联网法院]
3.咪咕数字(Migu Digital)伝媒有限公司vs済南衆佳知識産権代理有限公司の作品情報インターネット伝播権侵害紛争事件(作品の有料オンライン閲覧サービスでの侵害事件で、タイムスタンプの証拠性の認定)[(2018)鲁民终1607号,山東省高级人民法院]
4.常文韜vs許玲、第三者の馬锋剛のインターネットサービス契約紛争事件(闇取引の掃討に関わる初の事件)[(2019)京0491民初2547号,北京インターネット法院]
5.兪彬華vs広州華多網絡科技有限公司のインターネットサービス契約紛争事件(アカウント盗用における利用者の管理義務と損害賠償の分担)[(2019)粤0192民初70号,広州互联网法院]
6.酒泉九眼泉食品有限責任公司vs酒泉市瀚森瑞達商貿有限責任公司の商業名誉(のれん権)棄損紛争事件(WeChatを利用した類似商標を使用した商品回収通知の捏造による不正競争行為)[(2019)甘民终591号,甘粛省高级人民法院]
7.明河社出版有限公司、完美世界(北京)軟件有限公司vs北京火谷網絡科技股份有限公司、崑崙楽享網絡技術有限公司、崑崙万維科技股份有限公司の改変権侵害及び不正競争紛争事件(携帯用ゲームソフトの翻案の範囲や損害賠償の算定)[(2018)京民终226号,北京市高级人民法院]
8.天津市嘉瑞宝金属制品有限公司vs徐桂珍、鄧艶輝、趙振全、天津多維斯地毯有限公司、天津欧豪雅地毯有限公司、第三者浙江天猫網絡有限公司の不正競争紛争事件(アリババの知的財産保護プラットフォーム規則を悪用してECサイトの事業を妨害した不正競争行為)[(2019)津0116民初5880号,天津市浜濱海新区人民法院]
9.深圳市騰訊計算機系統有限公司、騰訊科技(深圳)有限公司vs数推(重慶)網絡科技有限公司、譚旺の不正競争紛争事件(テンセントサイトに開設したECサイトのクリック数や閲覧数を不正に増やし虚偽の情報を提供した行為、不正競争防止法第12条のその他の行為)[(2019)渝05民初3618号,重慶市第五中级人民法院]
10.騰訊科技(深圳)有限公司、深圳市騰訊計算機系統有限公司vs深圳微源碼軟件開発有限公司、商圈(深圳)聯合発展有限公司等の不正競争紛争事件(WeChatのプラグインプログラムを提供し本来の機能を改変し、本来の事業者に損害を与える行為)[(2019)粤民终2093号,広東省高级人民法院]

以上