【中国】「知的財産権分野における「放管服」改革に関する環境の最適化に関する通知」政策(6月16日)

国家知識産権局は、6月16日付、5月10日付で発せられた「知的財産権分野における「放管服」改革に関するイノベーションと事業環境の最適化に関する通知(关于深化知识产权领域改革优化创新环境和营商环境的通知)」(国知発服字〔2021〕10号)について、政策的解説を公示したので、概要をご紹介する。

通知では、以下の6つの課題を挙げている。
1.審査期間の短縮
2.特許と商標の質の向上
3.知的財産公共サービスの効果の向上
4.知的財産権保護能力の向上
5.知的財産権サービス業の監督管理の強化
6.知的財産権の転化運用の促進
参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/5/11/art_561_159305.html

解説で注目されるのは、審査期間と質の向上であり、その内容は以下の通りである。
1.審査期間の短縮
①審査用インテリジェントインフラの整備:
 現在、商標審査と管理系情報システムを構築中で、特許審査と検索用インテリジェントインフラの更新を進めており、年内に構築完了を目指している。
②商標出願審査期間の短縮:
 現在、審査期間が4か月とは、出願受理後公告査定或いは却下査定までの期間を指しており、異議申立期間やその他の手続き期間が含まれていないため、登録証が発行されるまでの期間を考えると8~9か月前後かかっている。今後、スムーズに登録された場合として出願から登録まで7か月を目標とする。
③特許出願審査期間の短縮
 2018年に国務院で商標と特許審査期間を5年短縮する目標が設定され、これは2022年末に発明特許審査期間を16.5か月前後にすることであるが、国家知識産権局の2021年末の目標は審査件処理数135万件、発明特許出願審査期間18.5か月、高付加価値特許権の審査期間は13.8か月にすることを目標とする。
④その他の登録後の審査期間
 商標関係では、2021年末までに、商標譲渡、異議、拒絶査定再審査、無効宣告の審査期間をそれぞれ平均、1.5か月、12か月、5.5か月、9か月短縮し、電子出願での変更、更新出願の審査期間をさらに5分の1短縮する目標を設定した。
 特許関係では、認可後の登録公告までの期間を3週間前後までに短縮する目標を設定した。
⑤その他の活動
 審査資源の適切配置、研修指導、期限管理や担当案件の適切な配布などの対策を行う。
2.特許と商標の質の向上
⑥各地の商標、特許出願段階の資金援助と奨励の全面的取止め
 一定の程度の悪意のある商標登録と非正常な特許出願現象が発生したので、一方的に数量を求める傾向を是正し高品質の発展の新しい段階に転向するため、各地の商標、特許出願段階の資金援助と奨励を6月末までに全面的に取止める。そうした資金は知的財産権の有効活用の促進、保護の強化、より良い知的財産権公共サービスの展開に向ける。
⑦高付加価値イノベーションのための政策への変更
 各地域、各部門のプロジェクや特許奨励政策と資格資質評価政策を整理改善し、数に基づく奨励や評価からイノベーション主体による特許の転化運用へと舵をきり、環境整備し、基礎的でオリジナリティのある成果を促進する。2022年末までに、1万人あたりの高付加価値発明特許の保有件数を8.3件を目標とする。但し、この数量は指標で評価などは行わない。
⑧商標の悪意ある登録出願と非正常な特許出願行為を排除
 公平で秩序のある市場経済秩序と良好な知的財産権の発展環境を構築する。悪意出願や非正常出願に対し、迅速で一括処理対応を行いかつ情報の共有による協調対策を実施する。併せて、当事者の一般公示、資格制限などの適切な対応をして排除する対策を行う。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/6/16/art_66_160083.html