韓国政府は特許法、実用新案法、デザイン保護法、商標法などの一部を改正する法律を2021年8月17日に公布し、公布後3ヶ月(一部は6ヶ月後)後から施行される。
特に、出願実務で影響があるのは、特許法第84条の審査請求料の返還の範囲が拡大されたことで、従来、審査前は全額返還、審査請求後は、
①専門機関による先行技術調査業務に対する結果通知があったとき、
②同一人により同じ発明が同じ日に2件以上の特許出願がある場合に、当該特許出願人に期間を定めて協議の結果を申告するよう命じる協議結果申告命令があったとき、
③拒絶理由通知があったとき、
は、特許出願を取下・放棄しても既に支払った審査請求料の返還はされなかった。
改正特許法では、
①は、先行技術調査業務の結果通知があった後に特許出願を取消・放棄した場合に、審査請求料の全額返還(約45万ウォン,約4.3万円)
②は、「協議結果申告命令があった後、申告期間が満了する前」に
③は、「拒絶理由通知後、意見書提出期間の満了前」に
特許出願を取消・放棄した場合、審査請求料の1/3の返還 (約15万ウォン,約1.4万円)
に改正された。なお、不法な手数料の減免を受けた場合は倍額の徴収を受ける。11月18日より施行。
その他の改正は以下の通り:
① 特許審判段階での調停制度の導入
審判を終結することのできる調整制度の導入により、審判中に審判長が調停を必要と認める場合、当事者の同意を条件に産業財産権紛争調停委員会に付託できる。調整委員会に回付された審判事件は、回付された時から3か月以内に両当事者間の合意により迅速に終結することができる。
② 民事訴訟法(2002年法)の適時提出制度の準用
特許審判の当事者が主導的に主張や証拠を適切な時期に提出せず、審判長が要求する時期より遅れた場合、故意或いは重過失で遅延した主張や証拠の提出は却下されるようになった。
③ 特許審判院での専門人材の配置
最先端技術に対する専門性と信頼性を強化するために、特許審判院に関連専門家を配置し審判事件の支援とすることができるようになった。
④職権補正での誤りは無効措置
審査官の誤った職権補正は初めからなかったものとなる。
以上