中国共産党中央、国務院は、9月22日付、知的財産権強国の建設を統括的に推進するため、知的財産権の創造、運用、保護、管理、サービス水準を全面的に向上させ、知的財産権制度の社会主義現代化建設における重要な役割を十分に発揮させるために、「知的財産権強国建設要綱(知识产权强国建设纲要)(2021-2035年)」を制定し、発行するとともに、各地方政府の各部門に真剣な実施を通知した。
「知的財産権強国建設要綱 (2021-2035年)」は、以下の9部門に全24項目の目標を設定している。以下、各項目と主要なポイントを抜粋して紹介する。
①戦略背景
知的財産保護、利用効率、国際的影響力が大幅に向上し、社会全体の知的財産意識が大幅に向上した。新たな発展段階に入り、高品質の発展を推進することは経済の持続的かつ健全な発展を維持するための必然的な要求であり、イノベーションは発展を牽引する第一の動力であり、知的財産権は国家発展の戦略的資源と国際競争力の核心的要素としての役割は更に際立っている。中国の特色、世界レベルの知的財産権強国を建設することは、国家の核心的競争力を高め、ハイレベルの対外開放を拡大し、より高い品質、より効率的、より公平、より持続可能、より安全な発展を実現し、人民の日増しに成長する美しい生活需要を満足させる重要な意義がある。
②全体的要求(1~3)
(1)指導思想 知的財産保護強化とそのためのサービスレベル強化
(2)業務原則 法による保障保護、改革推進と品質向上、焦点を当てた計画と調整、科学的ガバナンスとWin-Winの協力関係
(3)発展目標
2025年までに、知的財産強国の建設を達成、知的財産権の保護と市場価値向上、ブランド競争力の大幅な向上、特許集約型産業の付加価値が対GDP比13%、著作権産業の付加価値が対GDP比7.5%、知的財産使用料年間取引額3,500億元、高付加価値発明特許が人口10,000人当り12件を達成する。
2035年までに、中国の全体的知的財産競争力が世界のトップになり、目標とする世界クラスの知的財産大国の建設を達成する。
③社会主義現代化に向けた知的財産権制度の建設(4~7)
(4)知的財産関連の全てのカテゴリーで厳格かつ包括的な法制度の構築。特に、ビッグデータ、人工知能、遺伝子工学などの新しい分野やビジネス形態における知的財産権の立法を加速。
(5)統一された管理システムの構築。特に、一流の特許商標審査機関の構築、特許商標審査官制度の確立、特許商標審査調整メカニズムの最適化、審査の質と効率の向上。
(6)公正で合理的かつ科学的に評価された政策システムの構築。特に、保護強化に向けた特許及び商標審査方針の改善。著作権登録システム、ネットワーク保護、及び取引ルールの改善。
(7)新しい分野や特定の分野での知的財産保護規定の構築。特に、インターネット野、データ、オープンソース、AI製品のアルゴリズム、ビジネス方法、及びそれらの知財保護ルールの改善、遺伝資源、伝統的知識、民間伝承、無形文化遺産、漢方の保護制度。
④国際的に一流のビジネス環境を支える知的財産権保護システムの建設(8~10)
(8) 高レベルの知的財産司法メカニズムの構築と裁判の基盤、制度的メカニズム、及びスマート裁判所の構築強化。特に、裁判組織の改善、上訴メカニズムの改善、知財訴訟での民刑行のオールインワン(三合一)を深化、裁判官への専門的トレーニングや技術調査官とのチーム編成による品質と有効性の確保。遠隔地訴訟のプラットフォームの構築の推進。知的財産刑事事件の対応強化。
(9)便利性が高く厳格公正で透明な行政保護メカニズムの健全化。特に、特許権侵害紛争に対する行政裁定制度に活用と行政裁定の執行強化。知的財産紛争の行政調停に対する司法確認制度の研究。
(10)統一的な指導、円滑な連携、高速かつ効率的な共同保護の枠組みを健全化。特に、知的財産権の行政保護と司法保護との連携メカニズムを改善し、共同保護を形成。知的財産の仲裁、調停、公証、認証及び権利保護支援制度の確立及び改善、関連システムの構築強化。外国での知的財産権紛争の早期警告及び権利保護支援情報プラットフォームの確立と改善。
⑤イノベーションの発展を奨励する知的財産市場運営メカニズムの建設(11~13)
(11)企業を主体とし、市場志向の高品質イノベーションメカニズムを充実。特に、知的財産の査定・評価メカニズムを改革・改善。特許、商標、著作権などでの知的財産権の複合的効果を発揮するように指導し、強力な知的財産権競争力を持つ多くの世界クラスの企業を育成。中小企業向けの知的財産戦略推進プロジェクトの実施。国の科学技術計画プロジェクトの知的財産管理を最適化。最先端技術と生物学的育種の重要な分野で新植物品種の育成と向上。
(12)効率的な運用と価値が十分に実現されるメカニズムを健全化。特に、政府が投資する地域開発や主要な経済技術プロジェクトにおける特許ナビゲーションの積極的推進、国有知的財産権の所有権・分配メカニズムの改革、知的財産取引の価格統計メカニズムの確立、国際的に影響力のあるブランド構築の促進、民間・研究機関・大学での知的財産管理システムn改善の促進。
(13)標準化された市場運営メカニズムを確立。特に、知的財産関連事業者のサービスレベルを向上させ、知的財産資産の評価、取引、転換、保管、投資、資金調達などの付加価値サービスの開発を支援。
⑥人々に利便性のある知的財産権公共サービス体系の建設(14~16)
包括的で標準化されインテリジェント化された知的財産公共サービスの提供を強化、特にインターネット+による特許及び商標出願審査の最適化とワンストップサービスの提供や専門的なコンサルティングサービスの提供。公共サービスの標準化、規範化、ネットワーク化の構築を強化。データの標準化、リソースの統合、効率的な知的財産情報サービスを外国を含めて確立。
⑦知的財産権の高品質な発展を促進する人文社会環境の建設(17~19)
知識を尊重し、イノベーションを尊び、信義誠実と法律遵守、公平な競争による知的財産権文化理念をの構築。斬新かつ多様で融合的に発展する知的財産権文化コミュニケーションマトリックスの構築。さらに開放的、積極的、活力ある知的財産権人材の育成環境の構築。
⑧グローバルな知的財産ガバナンスに参加(20~21)
国際協力による知的財産権グローバルガバナンスシステムに積極的参加し改革と構築。多国間及び二国間の協力システムの調整と連携。
⑨組織的保証(22~24)
組織のリーダーシップ、各種制度の条件保証、監督考課の評価の強化。
参照サイト:http://www.gov.cn/zhengce/2021-09/22/content_5638714.htm
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