【中国】国家知識産権局と司法部による「知的財産権紛争調停業務の強化に関する意見」の公示(10月22日)

国家知識産権局と司法部は、10月22日付で各地方政府及び知的財産権関連部門に指示した「知的財産権紛争調停業務の強化に関する意見」に関する通知を10月28日付で公示した(国知発保字〔2021〕27号)。

本意見は、党中央、国務院の「知的財産権強国建設要綱(2021~2035年)」と「知的財産権保護強化に関する意見」による知的財産権保護システムの整備強化に「事業者環境条例の最適化」の規定を組合わせて、知識産権局と司法部が制定したもので、調停実務上の運用を指示したものである。本意見の内容は、下記の通り13項目からなっている。

「知的財産権紛争調停業務の強化に関する意見」の概要
目的:ビジネス環境を最適化し、社会全体のイノベーション活力を刺激し、新たな発展パターンの構築を推進するために、知的財産権紛争の調停業務を強化する。
1.全体的要求
(1) 指導思想
 知的財産権紛争調停業務を統括的に推進し、組織の強化、有機的な連動、高効率で便利な知的財産権紛争調停業務メカニズムを確立し、効果的に紛争を解決し、積極的に保護活動パターンを構築する。
(2)  基本原則
 行政と司法の指導のもと紛争調停業務を促進し、自由意志の平等を堅持し当事者の合法的権益を確実に保護する。専門性を生かして、紛争調停業務の質的効果を向上させる。
(3) 主要目標
 2025年までに紛争多発重点地域と事業分野を基本的にカバーするように組織整備、制度整備、規範化の高い知的財産権紛争調停業務メカニズムと調停業務パターンを確立し、基礎的役割を発揮できるようにする。

2.知的財産権紛争調停業務の統括推進
(4) 人民調停業務の推進
 紛争解消の必要性、地域の事情に応じた紛争解決を推進するため、紛争が多発する地域や業種では行政と司法が協力して人民調停組織を設置する。
(5) 行政調停業務の強化
 知的財産権管理部門は積極的に「特許紛争行政調停事件処理指南」などの規定に基づき行政調停を実施する。必要に応じて行政調停委員会などを設置し対応にあたることができる。
(6) 業界、専門的な調停を開拓
 各種の知的財産権専門機関の特質を調停業務に縦断的に発展させ、弁護士を活用するなど商事調停の展開を模索する。
(7)  重点区域や分野の紛争の調停業務を強化
 調停業務を工業、開発、自由貿易区などの重点地域、電子商取引や展覧会など専門の調停業務の展開を強化する。
(8) 調停員チームの設置強化
 知的財産権の専門家及び学者、弁護士などを指導育成し調停員に選任することで合理的な調停員チームを設置する。
(9) 調停業務制度の整備
 紛争の調査、受理、調停、履行、訪問、分析、判定や集中討論、コンサルティング、報告などの業務制度とその管理制度を確立し書類管理を規範化させる。典型的な事例を共有し、調停業務の品質水準を向上させる。
(10) 調停処理の連動メカニズムを確立、健全化
 各種調停の連動業務メカニズムを確立し、行政、司法、仲裁機構などの連携を強化、健全化する。また、知的財産権保護センターなどで「ワンストップ」調停プラットフォームを構築し、重大で複雑難解な紛争を適時に協調的に解決する。

3.知的財産権紛争の調停強化
(11) 組織の協調を強化
 知的財産権管理部門と司法行政機関は協働して調停業務の規範化、標準化建設を推進し、関連部門を積極的に調整し、共同監督検査などの方式で各業務を推進する。
(12) 業務保障の強化
 知的財産権管理部門、司法行政機関は予算措置を講じて業務推進を行い、社会各界の業務に対する支持と支援を要請する。
(13) 宣伝指導の強化
 メディアを活用し、知的財産権紛争調停業務の優位性、効果を、先進的な典型と成功事例を紹介し、より多くの当事者が調停方式を通じて知的財産権紛争を解決するよう指導に努める。また、関係者の表彰制度を活用し調停業務の発展に良好な雰囲気を作る。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/10/28/art_75_171050.html