国家知識産権局は、12月8日に四半期定例会見を行い、第14次5か年計画を推進し、以下の6項目について、知的財産権保護活動状況を報告した。
1.知的財産権保護活動の最高レベル計画の全面的実施の強化
「知的財産権強国建設要綱(2021-2035年)」、「第14次5か年国家知識産権保護と運用計画」を配布し、全国31の省クラスはいずれも地方要綱或いは実施意見などを制定し関連政策を実行し、北京、天津、遼寧、吉林、江蘇、浙江、山東、湖南、広西、重慶、貴州、雲南、陝西、甘粛および新疆など15の省クラスではすでに計画を実施している。
2.知的財産権保護活動の法治化レベルの向上
改正特許法の確実な実施と共に、「重大特許侵害紛争行政裁決弁法」「薬品特許紛争早期解決メカニズム行政裁決弁法」を公布し、それぞれ第1件目の行政裁決事件を受理している。「商標審査審理指南」を公布し、商標法改正のための調査検討を進めて草案を作成する。地理表示の立法に向けた取組みを開始する。山西、遼寧、上海、山東、湖北などは知的財産権の総合立法を強化し、地方の知的財産権保護条例を公布した。
3.知的財産権の全連携保護の強化
保護活動の構築を推進するため、積極的に協働を強化し、中央の監督検査評価計画に基づき中央宣伝部、市場監督総局と全国範囲で知的財産権保護の検査評価を展開、最高人民法院と共同で知的財産権紛争のオンライン紛争調停メカニズムを確立、公安部と「知的財産権保護のための協働協力の強化に関する意見」を配布、司法部と共同で「知的財産権紛争調停活動強化に関する意見」を配布、市場監督管理総局と共同は「地理標識保護強化に関する指導意見」を発表した。
4.知的財産権保護活動の体制・メカニズムの改革の推進
中央と地方の知的財産権の業務区分の改革を推進し素案案を形成する。ビッグデータ、人工知能、遺伝子技術などの新分野の新業態知的財産権保護制度を健全化する。知的財産権分野の行政サービス改革を推進する。出願の高品質の発展のために、非正常特許出願と悪意ある販売目的での商標出願行為を取り締まった。特別整備を展開し、2021年に累計4回81.5万件の非正常特許出願を地方に通知した。最初の3回の通知での出願取下率は93.1%に達した。悪意のある商標出願累計37.6万件を処分した。
5.知的財産権の国際協力と競争の着実な推進
ハーグ協定加盟の推進、PCT費用の決済通貨に人民元にすることに成功した。国際植物新品種保護連盟の業務言語に中国語の追加を推進する。中米知的財産権関連協定の秩序よく実行する。RCEP交渉を完了する。中欧地理標識の保護と協力協定に基づいて244の地理標識の相互承認保証を実現した。
6.知的財産権分野での国家安全の維持
国家安全にかかわる重要で核心的な技術の自主研究開発と保護を強化し、外資買収合併における知的財産権の対外譲渡安全審査を初めて実施した。国家海外知的財産権紛争対応指導センターの建設加速、海外知的財産権紛争対応指導センターの地方支局は22ヶ所に達し、各センターは累計480件強の指導コンサルティングを処理した。
注目されるのは不正な出願行為である、非正常特許出願と悪意先取り商標出願についての報告であり、積極的な取組みが見られる。上記に加えて、資格のない代理人の代理行為を含めた代理人管理活動(藍天BlueSky)でも厳しい取締まりが行われ、各地で200近くの資質のない代理機構を処罰し、罰金は1千万元(約1.7億円)を超え、個別最高罰金は104万元(約1770万円)に達したとの報告である。なお、国家知識産権局は、12月10日付、商標代理機構の江蘇百年商標代理有限公司と広州市衆創国際品牌管理有限公司に対して、不正な商標を行ったとして、行政処罰を行ったことを公示した。
https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/12/10/art_547_172041.html?xxgkhide=1
https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/12/10/art_547_172046.html?xxgkhide=1
いつも思うことだが、こうした行政府による対策成功の報告はそれなり意味があるが、それよりも基本的な制度設計として、例えば、300元(約5000円)と安価な商標出願費用を10倍くらいに値上げし、無料の登録時費用も同程度の登録料の支払いを条件とするように改正するだけで、悪意先取り商標出願はある程度減ることは自明であり、中国の弁護士や商標代理人もそうした指摘をしている。行政はどの国でも自分達は頑張っているとの主張をするが、簡単にできることを簡単に処理してもらいたいものだ。