【中国】「商標一般違法判断基準」に対するQ&A

国家知識産権局は、「商標一般違法判断基準(商标一般违法判断标准)」に関する一問一答をSNSサイトで公表した。ご参考まで、以下の通り紹介する。

問1:「商標一般違法判断基準」制定の背景と意義は?
答1:商標法第1条は「商標管理を強化し、商標専用権を保護し、生産者と経営者が商品及び役務の品質を保証することを促し、商標の信用を維持し保護することによって、消費者、生産者及び経営者の利益を保障し、社会主義市場経済の発展を促進するために、特に本法を制定する。」と規定している。商標管理の強化を商標法立法の目的の一つとし、総則第7条2項で「各クラスの工商行政管理部門は商標管理を通じ、消費者をだます行為を差止めなければならない。」と改めて強調した。そして、第六章では商標使用管理の専門の章を設けている。商標管理がわが国の商標法律体系において重要な地位と役割を果たしていることがわかる。「商標一般違法判断基準」(以下「基準」と略称)を公布することで、1つは商標管理秩序を維持し、商標登録と使用環境を洗練すること、2つは消費者をだます行為を制止し、消費者の利益を保障すること、3つは始まったばかりの時に制止し、商標侵害行為を防ぐことである。
 商標管理秩序に違反する行為の判断は比較的強い専門性と複雑さがあり、商標法の関連規定は比較的原則的であるために、第一線の法執行人員にはより利便性のある規定での指導が必要である。インターネット経済の発展に伴い、商標違法形式は日増しに多様化し、複雑化し、「標準」の制定を通じて、法執行において直面している新しい状況、新しい問題を解決し、法執行部門の法に基づく行政に具体的な対策の便宜と指導を提供し、商標法執行レベルをさらに向上させると同時に、市場主体のために透明度が高く、予見性の強い商標管理規則体系を構築する。

問2:「商標一般違法」とは何か?
答2:商標法は2種類の違法行為を規制している。1つは登録商標専用権侵害であり、もう一つは商標専用権侵害なく、商標管理秩序に違反し、公共の利益を損なう違法行為である。市場監督管理部門は最初の違法行為を「商標侵害偽造事件」と呼び、2つめを「商標一般違法事件」と呼んでおり、「一般違法」とは、違反の情状を意味するのではなく、「深刻な違法」を示すものであり、特定の当事者の商標権侵害とは区別される。

問3:「基準」の制定過程は?
答3:国家知識産権局は本業務を非常に重視し、「基準」の制定を2021年の重点業務に組入れ、担当する知的財産権保護司は以下の3方面から積極的に推進した。
1.理論の研究強化をするために。行政、司法及び内外比較研究を重点的に強化し、業界協会に商標一般違法の法理学分析と実証分析プロジェクトを委託した。
2.調査研究さらに加えるため、前後して上海、江西南昌などで座談会、シンポジウムを開き、地方での商標法執行のニースを確認した。
3.立法化準備のため、前後して全人代法工委員会、最高人民法院、最高人民検察院、たばこ専売局などの関連部門と地方知識産権局の意見を求めるとともに、公開意見募集を行い、31社130件の意見を受取った。
 その後、(意見募集稿をさらに改正・整備後、行政法執行、専門家学者、企業、商標代理人などの各界の代表で座談会を開き、意見・提案を聴取し、研究・論証を経て、「基準」が作成された。

問4:「基準」の原則は?
答:3つの原則を堅持している。
1.問題志向。法執行実務で普遍的に存在する際立った問題に焦点を当て、商標法執行部門に的確な指導を提供する。
2.従来の法執行基準の継承。長年の商標行政管理の実務経験の抽出と総括する。
3.商標登録権利確定基準と調和を重視する。
「基準」は「商標審査審理指南」と同日に施行され、有機的に連動している。「商標審査審理指南」はガイドラインであり、「基準」よりも商標の同一類似の場合などでより詳細な規定があるため、「基準」6条は「使用した未登録商標が商標法10条1項の同一或いは類似するかどうかは、「商標審査審理指南」を参照して判断する」と規定している。

問5:「基準」の主な内容は?
答5:「基準」は全35条からなり、『商標法』、『行政処罰法』、『たばこ専売法』、『商標法実施条例』、『たばこ専売法実施条例』、『団体商標、証明商標登録管理弁法』、『商標印刷管理弁法』、『登録商標出願行為を規範化するための若干の規定』等が規定する、登録商標使用義務での未使用;商標使用不可の標章の使用;事業活動で「馳名商標」の用語の使用;商標ライセンシーの商標名称及び商品出所の表示不履行;自ら登録商標、名義、住所、その他の登録事項の変更:未登録商標を登録商標と虚偽表示;集団商標、証明商標管理義務不履行;商標印刷管理義務不履行;悪意のある商標出願など9種類の商標管理秩序に違反する違法行為を対象としている。

問6:「標準」は商標代理機構の違法行為を対象といるか?

答6:商標代理人の違法代理などの商標管理秩序に違反する行為は、別に管理弁法の制定を予定しており、立法計画に組入れた。

問7:商標法執行担当部門は具体的にどの部門か?
答7:「標準」に規定される商標法執行担当部門は商標行政法執行職能を履行する部門を指し、具体的には各地の「三定規定」を基準とする。実務上は、商標法執行の職責を負う地方政府の市場監督管理部門(知的財産局)のほか、上海市浦東新区知的財産権局、湖南省長沙市知的財産権局、広東省広州開発区知的財産権局などの商標法執行権を持つ知的財産権管理部門も含まれる。

問8:未登録商標の使用の規範化は?
答8:法律、行政法規に規定される商標の登録が必須の商品を除き、通常の商品やサービスは未登録商標を使用することができる。未登録商標の使用について、「基準」は、商標法10条(登録できない商標)の規定違反、他人の登録商標専用権侵害を強調している。登録商標を自ら変更、商品、包装、説明書或いはその他の付属物に「登録商標」または登録標識を表示することを含む登録商標なりすましなどの違法行為の構成要件について注目する必要がある。なお、当事者が未登録商標を使用する行為は未登録商標の使用に関する規定に従って規制することができる。

問9:電子タバコなどの新しいタイプのタバコ製品になぜ商標強制登録を要求するのか?
答9:国務院は2021年11月10日に「たばこ専売法実施条例」を改正、施行した。この条例22条は「巻きタバコ、葉巻タバコ、包装されたタバコには登録商標を使用しなければならない」と規定している。65条は「電子タバコなどの新型タバコ製品は、本条例の巻きタバコの関連規定を参照して執行する」と規定しているため、「標準」4条は電子タバコなどの新しいタイプの製品に商標強制登録について言及している。

問10:「標準」の今後の実施推進計画は?
1.業務訓練を強化し、全国知的財産権保護能力向上訓練班を組織し、「基準」の理解を内容とし、各地の中堅人員を訓練し、地方法執行人員の「基準」に対する理解を深める。
2.各地の実施状況に合わせ、「商標一般違法判断基準の理解と適用」を起草し、適時に公布する。
3.典型事例、指導事例の発表と行政の質疑を実施し、商標管理を持続的に強化する。

以上