国家知識産権局は、1月24日付、国知発保字〔2022〕8号で国家知識産権局の関係部局に通知した「国家知的財産権局知的財産権信用管理規定(国家知识产权局知识产权信用管理规定)」を1月27日付公布し、施行した。本規定は、知的財産権分野の深刻な違法信用喪失行為が目立ち始め、2019年に仮試行された「特許分野の深刻な信用喪失連合懲戒対象名簿管理弁法(試行)」を廃止し、その対象を特許のみならず知的財産権全般をカバーする行政管理規定として導入された。
背景として、現在、知的財産権分野に存在する非正常特許出願、悪意のある商標登録出願、虚偽の証拠資料の提出などが数多く発生しており、誠実信用に違反する行為が際立っている。例えば、非正常特許出願の調査では、連絡先のない個人や規模が小さく設立が不安定な会社が大量の非正常特許出願を提出した後、迅速に取下げ、会社を抹消登記するなどの方法で処罰を逃れたことが発見された。また、商標審理では商標権者が偽造した領収書や契約書、偽造した製品パッケージなどを不使用取消の証拠として提出したことが発見された。こうした状況から規定の制定は緊急かつ現実的な必要性があるとしている。
規定は、以下の全6章26条からなる:
第一章 総則
第二章 信用喪失行為の認定、管理及び信用回復
第三章 深刻な違法信用喪失主体の認定と管理
第四章 信義誠実の奨励、信用承諾及び信用評価
第五章 監督と責任
第六章 附則
各部門の職責が第5条に以下の通り規定されている。
第5条 特許、商標、地理標識、集積回路配置設計に関する業務及び代理人監督管理の業務を職責とする部門、単位は、以下の職責を履行しなければならない。
(1) 法定職責を履行し、公共サービスを提供する過程で発生し、取得した信用情報をまとめる。
(2) 法に基づく規則に従い信用喪失行為の認定を行い、信用喪失情報を報告する。
(3) 法に基づく規則に従い信用喪失主体に対し管理措置を行う。
(4) 職責に基づき信用承諾、信用評価、信用遵守奨励、信用喪失懲戒、信用回復などの業務を行う。
信用喪失行為の定義が第6条に規定されている:
第6条国家知的財産権局は法により以下の行為を信用喪失行為と認定する。
(1) イノベーションの保護を目的としない非正常特許出願行為;
(2) 悪意のある商標登録申請行為;
(3) 法律、行政法規に違反し特許、商標代理に従事し、国家知的財産権局の行政処罰を受ける行為;
(4) 虚偽の資料を提出或いは重要な事実を隠蔽し行政上の確認を申請する行為;
(5) 信用承諾の承諾が不実と認定された或いは承諾を履行しなかった行為;
(6) 行政処罰、行政裁決などに対して、履行能力があるものの履行を拒否、執行を回避した行為;
(7) その他知的財産権分野の公共信用情報の特定の項目に含まれ、信用喪失と認定されるべき行為。
国家知識産権局の管理措置は第9条に規定されているが、第10条に措置期間を発生日から1年間と規定している:
第9条 国家知的財産権局は信用喪失主体に対し以下の管理措置を実施する:
(1) 財政性資金プロジェクトの申請に対する審査・認可を厳格化。
(2) 特許、商標に関する費用の減納、優先審査などの優遇措置と便宜措置の審査・認可を厳格化。
(3) 国家知的財産権局での優先資格を取消。
(4) 国家知的財産権での模範、優秀企業資格を取消、及び中国専利賞などの受賞資格を取消。
(5) 重点監督管理対象として、検査頻度を高め、法による厳格な監督管理する。
(6) 信用承諾制を適用しない。
(7) 法律、行政法規と党中央、国務院政策文書に基づき講じられるその他の管理措置。
参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/art/2022/1/27/art_75_172971.html