広州知識産権法院は、4月24日付、2021年度知識産権司法保護状況白書と10大典型事例を発表した。白書によると、2021年の広州知識産権法院の受理は15,244件、処理は14,297件で、裁判官1人あたり530件を担当し、それぞれ前年比+10.9%、+17.5%、+4.5%と過去最高を記録した。第一審判決の確定は90.13%、前年比+7.1ポイント増加、判決の修正や再審は2.98%と前年比-0.9ポイント減少した。その他、第一審の意匠特許事件迅速処理のためのガイドラインを策定し、第一審と第二審の処理は1,441件と5,137件、平均処理期間が98日と61日に短縮された。 さらに、訴訟前調停が1,988件と前年比+97.8%増加し、調停成功率は36.2%である。なお、広州知識産権法院は既に2月23日に詳細な報告を行っている。
広州知識産権法院が選定した2021年度10大典型事例は以下の通り:
1.Ulthera vs 广州市柯派事業社の商標権侵害事件
(2020)粤73民终2442号、(2019)粤0111民初23340号、(2018)粤0104刑初856号
対象商標:17876530A号“ULTHERA” 超音波画像治療装置
再犯、捜査妨害に対する懲罰的賠償2倍、損害賠償100万元
2.広州豊江電池新技術社vs何远强の営業秘密侵害事件
(2021)粤73知民初393号
従業員が電子タバコ用リチウム電池の素材配合比などの技術情報を漏洩、損害賠償30万元
3.星輝海外社vs広州正凱文化伝播者ほかの不正競争事件
(2020)粤73民终2289号、(2018)粤0106民初19119号
映画「喜劇王」の人気に乗った類似するTVドラマ「喜劇王2018」の宣伝行為を不正競争行為と認定し、損害賠償30万元+合理的支出12万元
4.聯誠国際集団(香港)社vs広州創翔会展服務社の不正競争事件
(2020)粤73民终106号、(2018)粤0106民初29095号
内容不明:域外適用
5.テンセントvs杭州杭州祺韻網絡社ほかの著作権侵害及不正競争事件
(2020)粤0192民初20405号
オンラインゲーム著作物の侵害と不正利用を認定し、損害賠償80万元+合理的支出8万元
6.テンセントvs運城市陽光文化伝媒社ほかの著作権侵害及不正競争事件
(2020)粤73民终574-589号
ビデオプラットフォーム著作物の侵害と不正利用を認定し、損害賠償+合理的支出496万元
7.恵州市機動車検測行業協会vs広東省市場監督管理局の行政不服訴訟事件
(2020)粤73行初12号 (粤市監反壟断行処〔2020〕1号)
会員企業に対する競争の制限を独占禁止法違反と認定し40万元の処罰に対する不服却下
8.済寧市羅盒網絡社vs広州市玩友網絡社などのコンピュータプログラム著作権侵害事件
(2019)粤73知民初207号
オープンソースの著作権侵害を認定し、損害賠償+合理的支出50万元
9.ユニクロ、ファーストリテイリングvs広州市指南針会展社、広州中唯企業管理諮詢社の悪意知的財産権訴訟損害賠償請求事件
(2018)粤0106民初21319号 控訴棄却
悪意先取り商標による42件の侵害訴訟により被った損害賠償を認定し、損害賠償+合理的支出4,83.7万元
10.東莞市凱華電子社vs同方社ほかの発明特許侵害事件
(2018)粤73民初3658号、(2020)最高法知民终1317号(原審維持)
対象特許:ZL201610802371.0 音声キーボードスイッチ
請求項の構成要件を満たさず(オールエレメントルール)、均等もなく非侵害判決。
参照サイト:http://www.gipc.gov.cn/front/content.action?id=44e55afe73df4725b358b03ed2981cd8