【中国】改正独占禁止法(8月1日施行)

中国政府は、2022年6月24日の主席令第116号で、第13次全人代常務委員会第35回会議で「中華人民共和国独占禁止法(中华人民共和国反垄断法)改正に関する決定が採択されたことを公布し、8月1日から施行することを公示した。

独占禁止法の改正は、2008年の施行後、2020年1月に意見募集稿を発表し、最終的な改正案が2021年10月19日に意見募集稿として公示されていた。改正法は、新設12条、改正20条の意見募集稿を更に1条追加、1条削除と改正条項を部分的に修正した新設12条、改正20条が行われた70条からなる。

今回の改正のポイントは、既に改正案意見募集稿の記事で紹介しているが、これまでは少なかったインターネット分野などでの独占禁止における突出した問題に対して制度をさらに充実させ、処罰力を強化し、独占禁止の強化と資本の無秩序な拡張防止のために、より明確な法律的根拠とより強力な制度保障を提供することであり、主に以下の通りである。
1.市場での公正な競争秩序を維持するだけでなく、市場活力の活性化やイノベーションの奨励を目的とした。
2.競争政策の基礎的地位と公正な競争の審査制度の法的地位を確立し、健全化する。
3.経営者がデータとアルゴリズム、技術、資本優勢及びプラットフォーム規則などを濫用して競争を排除、制限してはならないと規定し、他の経営者に対して不合理な制限を行うことは、市場支配地位を濫用する行為とした。
4.「セーフハーバー」制度を確立し、独占合意が規定の基準より低いことを審査期間中に証明できた場合、原則として事業者集中を禁止しない。
5.行政の権力濫用、競争の排除、制限行為を調査する際、関連機関または個人の協力義務を規定した。
6.処罰力を強化し、現行法に比べ6~10倍に大幅に増額し、懲罰的賠償も導入した。
 独占行為で、売上高がない場合が追加され罰金上限が500万元、未実施の場合の罰金上限が50万元から300万元に引上げた。
 事業者集中で、競争を排除、制限する効果のない場合、罰金上限500万元、競争を排除、制限する効果がある場合、罰金上限は前年売上の10%である。
 懲罰的対象の場合、上記の罰金に2~5倍の罰金を併科できる。
 審査や調査に資料提供を拒否した場合の処罰も20万元以下から売上高の1%或いは500万元以下に、個人の処罰は2万元以下が50万元以下に引上げられた。

なお、政府のコメントからは以下の議論の残るポイントが読みとれる。
1)国際的影響 第4条の全面的に改正され、共産党指導を明確に打ち出し、特定の独占事件が国際的な事案に拡大するときに、中国政府の主体性を打出すべきであるとしている。
2)当局の職権と対象組織 新設された54条と55条は当局の職権調査と命令の権限を明確にしているが、55条の対象主体が企業と行政府の両用に対するものであるため、切り分けるべきであるとしている。
3)集中審査対象と中止の影響 新設された37条の改正案は、民生、金融、科学技術、メディアなどの分野と審査強化分野を明確に記載していたが、分類や等級分けに基づくように修正されたが、54条に規定される審査の中止が審査の長期化につながることを指摘してる。
4)処罰金額の基数 改正法の第56条、第57条、第58条と第62条には違法行為の処罰金額が規定されているが、前年度売上の基数や適用レート(1%から10%)が不明確であったり、前年度売上がない場合の適用が56条以外になかったり、不明確、不統一がのこることが指摘している。

参照サイト:http://www.gov.cn/xinwen/2022-06/24/content_5697601.htm
  http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202206/d5eb7f283661462bb8af84e5929f62e7.shtml
改正条文 http://www.npc.gov.cn/npc/c30834/202206/e42c256faf7049449cdfaabf374a3595.shtml
参考訳