中国知的財産研究協会(CNIPS,社団法人、理事長は前長官の田力普氏)は、6月30日に北京で開催された2022年の海外知的財産紛争対応ガイダンス作業会議で、「米国における中国企業の知的財産紛争に関する2021年調査報告書(2021年中国企业在美知识产权纠纷调查报告)」を発表した。本報告書は、2021年に米国で中国企業が関与した知的財産権訴訟(特許、商標、企業秘密)及び関税法337条調査事件を調査しまとめたもので、以下の情況を報告している。
知的財産権訴訟では、中国企業が関与する事件数は前年度より大幅に増加し、新規特許事件と商標事件はそれぞれ前年比+37.02%、+112.45%増加した。主な原告はNPEで、その特許訴訟の36.05%である。特許訴訟は主に移動通信機器分野、被告の中国企業の所在地は広東、浙江、山東などの省・市に集中し、広東省の企業が全体の30%弱を占めている。商標訴訟は主に消費財/消耗品に関しており、商業秘密訴訟は主に情報技術と製造設備に関している。
訴訟結果は、特許訴訟で敗訴74.40%と多く中国企業の勝訴は少ない。商標訴訟でも敗訴71.57%で欠席裁判が多く、和解による敗訴18.95%、中国企業の勝訴は2社のみであった。平均賠償額は1102万ドル、商標訴訟事件は65万ドル、商業秘密事件は1024万ドルであった。
関税法337条調査事件では、中国企業の調査事件数と企業数の両方が増加した。主な調査理由は特許侵害であり、電子機器の事件が多発している。調査対象企業の所在地は広東、江蘇、浙江などが多く、主に中小企業である。多くの中国企業が欠席し、不利な結果を招いたとしている。