国家知識産権局(CNIPA)は、7月13日付、例年発行している「中国特許調査報告(中国专利调查报告)」の2021年度版を公示した。本報告は、前年度末までに特許を取得している企業、大学、研究機関を対象に1.5万件の特許権者向けアンケート及び3.9万件の特許アンケートを発送し80%強を回収し、その結果を①特許移転と活用状況、②知的財産権の保護状況、及び③産学協力イノベーション状況に分けてまとめたものである。それぞれの総括は以下の通り:
①特許転化と活用状況
1.発明特許の産業化率がこの5年間30%以上の安定的上昇
2021年の発明特許の産業化率は35.4%(前年比+0.7)、実用新案特許は46.2%(同+4.2)意匠特許は52.3%(同+0.7)に上昇した。なお、企業の発明特許の産業化率は、大中小の規模別に47.1%、54.6%、47.7%といずれも前年より上昇した。なお、マイクロ企業の特許産業化率は前年より5.8ポイント低下し26.6%であった。
2.発明特許の使用許諾や譲渡比率も着実に上昇
2021年の発明特許の使用許可比と譲渡比はそれぞれ10.4%と7.4%とそれぞれ前年比+2.5と+1.2上昇し、2017年以来安定的に上昇している。
②知的財産権の保護状況
1.特許権者の被特許侵害比は継続的に低下
2021年の特許権者の被特許侵害比は7.2%と前年比-3.6、2017年以来の最低値となった。
2.特許侵害事件での高額賠償判決比率が明確に上昇
2021年の特許侵害訴訟事件の裁判での賠償、調停或いは裁判外和解での金額が100万元以上と回答した比率は16.3%と前年比+9.0と引き続き上昇している。
3.企業の知的財産権者の保護ルートが多様化
2021年に特許権者が保護ルートの裁判、行政処理及び調停を選択した比率は順に30.8%、21.5%、18.6%とそれぞれ前年比+4.4、+2.8、+2.2上昇した。そのうち、特許権者の48.3%は2種類以上の保護方法を選択して権利を維持しており、知的財産権紛争で多元的解決メカニズムが採用するよう改善されている。
4.企業は特許侵害対策に積極的
2021年に企業が権利保護措置をとった比率は76.4%と前年比+2.5上昇し、2017年と比べても+11.8上昇している。大中小の企業規模別に見ると順に97.7%、91.7%、81.0%で、それぞれ前年比+0.5、+5.9、+7.1増加しており、中小企業の増加率が向上している。
③産学協力イノベーション状況
1.大学発の発明特許の産業化率は平均レベルよりはるかに高い
大学が第一特許権者の産学共同発明特許の産業化率は22.8%と大学の平均3.0%の7倍以上である。研究機関が第一特許権者の産学研発明特許の産業化率も25.8%と研究機関の平均15.6%を上回っている。
2.重点大学による産学研発明特許への貢献が際立つ
重点大学が研究開発への参加は78.3%で、清華大学、浙江大学、上海交通大学、東南大学、華南理工大学が上位5位である。
参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/7/13/art_88_176539.html