国家知識産権局(CNIPA)は、12月28日付、定例の記者会見を行うとともに、戦略企画室と知識産権発展研究センターがまとめた「2022年中国特許調査報告」を公示した。同報告は毎年作成されているが、本年は知的財産権の移転や転化状況と保護、そして、新制度の特許開放許諾などの新たらしいトピックについて、24の省、1.8万の特許権者からアンケートで情報を収集し、回収率は82.1%である。
報告書は以下の5部、245頁からなる:
第1部 2022年中国特許調査の主な結論
第2部 年度特別テーマ報告
第3部 5年間のデータ追跡
第4部 組織の実施状況
第5部 調査回収基礎データ
主な内容は以下の通り:
(1)特許移転の効果が安定的に向上
① 発明特許の産業化率はここ5年着実に向上し、2022年は36.7%と前年比+1.3ポイント。企業の発明特許の産業化率は48.1%と5年間で+3.1ポイント、特に、大・中型企業はそれぞれ50.9%と55.4%、前年比+3.8と+0.8ポイント。なお、大学の発明特許の実施率は16.9%で前年比+3.1ポイント、産業化率は3.9%で前年比0.9ポイント上昇した。大学特許のライセンス率は7.9%であった。
② 発明特許のライセンス率は12.1%、前年比+1.7ポイント上昇した。特許開放許可に関するアンケート調査によると、特許権者の約半数がその制度を知っており、その半数が採用したいと考えており、大学の90%は採用を検討している。
(2)知的財産権保護状況は持続的に最適化
① 特許権者が特許侵害を受けた割合は低下しており、2022年に特許権者が特許侵害をうけた割合は7.7%と2年連続で8%を下回った。
② 権利行使方法多元化し、2022年に特許権者が企業の場合、権利行使を行う割合は72.7%と4年連続で70%を超えている。
③ 特許侵害での賠償額は全体的に上昇傾向にあり、2022年の特許侵害訴訟での判決、調停または法廷外和解の金額が500万元を超えた事件が7.0%である。10万元以下、10-50万元以下がそれぞれ21.8%で全体の半数を占めている。
(3)外国出願比率は依然として低い
企業の特許権者が海外に製品を輸出した割合は23.7%で、この企業が海外に特許出願(PCTを含む)した比率は7.1%と低い。大企業では25%となっており、通信関係が9.1%、製造業が7.6%となっている。

アンケート調査では企業、大学、研究機関に分けて、規模、研究開発情況、知的財産業務、権利行使などまで詳細に情報を収集分析しており、中国での知財状況を知ることができる。
参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/module/download/down.jsp?i_ID=181043&colID=88