【中国】「最高人民法院と国家知識産権局による知的財産権協同保護の強化に関する意見」の発行(2月20日)

国家知識産権局(CNIPA)は最高人民法院ともに、2月20日付で、国知発保字〔2023〕3号を各地の高級人民法院、知識産権局などに「最高人民法院と国家知識産権局による知的財産権協同保護の強化に関する意見(最高人民法院 国家知识产权局关于强化知识产权协同保护的意见)」を配布し、「知的財産権強国建設要綱(2021-2035年)」、「第14次5か年国家知識産権権保護と運用規則」及び「知的財産権保護強化に関する意見」による司法機関と知的財産権管理部門の知的財産権保護活動における持続的な協力を進め、イノベーションのハイレベルな自立を加速させ、市場化、法治化、国際ビジネス環境と国際的にもレベルの高い保護のために、知的財産権の「厳格な保護、偉大な保護、迅速な保護、同一の保護」活動の枠組みの構築を共同で推進する共同の意見を出した。

意見は、全体的要求、定期的連絡メカニズムの構築、業務協力の強化、業務保障の強化の4つの項目に分け、知的財産権の行政と司法による保護の連携メカニズムを健全化するための13項目を具体的に明示しており、特に、連絡とうのメカニズムを改善し情報共有を強化、法律政策を整備し行政と司法の基準統一を促進、専門技術の支援や重点業務などを強化し地域を超えた協働保護を推進することで世界レベルの知的財産権管理を推進するとしている。その概要は以下の通り。

1.全体的要求
 行政機関と司法機関の職責権限と管轄範囲を明確にし、知的財産権行政保護と司法保護の連携メカニズムを健全化し、イノベーションによる発展戦略の保障、ハイレベル科学技術の自立の加速、市場化法治化の国際的ビジネス環境の構築により、中国の特色、世界レベルの知的財産権強国の建設を推進する。

2.定期的連絡メカニズムの構築
(1)連絡部門の明確化
(2)定例会と結果の共有
(3)知的財産権の紛争結果、裁判紛争結果などの情報共有の強化
 行政裁定の確実性、裁判業務効率の向上。

3.業務連携の強化
(4)協同保護関連法律政策の整備を推進
 知的財産権侵害紛争の行政裁決制度の健全化、侵害訴訟における特許権評価報告書の使用体系の整備、データ知的財産権保護の推進。
(5)行政と司法の基準統一の促進
 法執行証拠基準、医薬品特許紛争早期解決メカニズムを含む行政裁決と司法判断の基準の調和統一、知的財産権行政法執行と刑事立件基準の連携の推進。
(6)協同保護の推進。
 強制執行業務の効果的展開、特許侵害紛争行政訴訟事件の迅速な処理、知的財産権紛争行政調停協議司法確認制度、悪意ある商標登録や非正常特許出願及び悪意訴訟の対策、地方での知的財産権迅速協同保護の推進。
(7)専門技術者の活用
(8)重点分野や難問業務の検討強化
(9)地域間協力の推進
(10)グローバル知的財産権管理

4.業務保障の強化
(11)人材交流と育成の強化
(12)評価指導の強化
(13)宣伝誘導の強化

実用新案特許や意匠特許の評価報告書の活用や地方政府の知識産権局による調停の司法確認は意味のある対応であり、それぞれよく検討しておくことが求められる。

参照サイト:https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/2/24/art_546_182276.html