【中国】最高人民検察院による「新時代における検察機関のインターネット法治業務の強化に関する意見」(4月18日)

最高人民検察法は、4月18日付、「新時代における検察機関のインターネット法治業務の強化に関する意見(关于加强新时代检察机关网络法治工作的意见)」を公布した。意見は、6つの観点21項目から構成されており、党の20大インターネット包括的統治システムの健全化に関する重要な展開に焦点を当て、検察の実際の職責履行と結びつけ、インターネットにまつわる立法、法執行、司法、法律普及及び法治研究、チーム構成などの面で新時代の検察機関のインターネット法治活動の強化に対して具体的な要求を提示している。

6つの観点は以下の通り:
1.インターネット強国に関する習近平総書記の重要思想を深く徹底し、インターネット法治の業務を確実に行う政治意識、法律意識と検察意識を絶えず強化する(1~2)
2.司法事件処理機能を十分に発揮し、サイバー空間の安全を維持し、デジタル経済の健全な発展に貢献する(3~7)
3.刑事、民事、行政、公益訴訟の検察の監督を統合運用し、一体的な職責遂行のデータ権限を強化し、サイバー空間の総合的ガバナンスを協同して推進する(8~13)
4.インターネットの立法に積極的に参加し、インターネット法律体系の建設を推進する(14~16)
5.インターネット法治の研究を強化し、インターネット検察チームの専門化を推進し、法に基づくインターネット管理能力のレベルを継続的に向上させる(17~18)
6.インターネット法治の宣伝や対外コミュニケーションを強化し、清朗なサイバー空間の共同構築を推進する(19~20)

知的財産関連は第6項目で以下の通り:
(6)デジタル経済の健全な発展に焦点を当て、法に基づきデジタル技術、デジタル産業、デジタル市場を保護し、規範化する。
 知的財産権検察弁公室の総合的職務遂行の優位性を発揮し、集積回路、人工知能、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの重点分野の核心技術に対する司法保護を強調し、法に基づきコンピュータソフトウェア、データベース、インターネットドメイン名、デジタル著作権、デジタルコンテンツ作品などのインターネット知的財産権の司法保護を強化し、法に基づき知的財産権の濫用による市場競争の排除、イノベーションの阻害行為を処罰し、デジタル技術成果の革新的な発展と転化を推進する。「メタバース」、人工知能、ブロックチェーン、クラウドコンピューティングなどの新技術や新業態に関する法律問題の展望研究を強化し、セキュリティリスクの総合的な研究・判断を強化し、イノベーションの発展と違法犯罪の限界を正確に把握し、新技術・新業態を看板に実施された各種犯罪活動を適時に発見し、正確に処罰し、イノベーションの発展を保護するだけでなく、各種リスクの重畳変化を効果的に防止する。企業のデータ財産権に対する司法保護を協力に強化し、法に基づき企業のデータを不法に取得した企業の営業秘密侵害などの犯罪活動を処罰し、デジタル産業のイノベーションの発展を保障する。法に基づきデジタル経済の各種市場主体の合法的権益を平等に保護し、インターネットを利用した虚偽の情報発信による企業のビジネス信用の誹謗、恐喝などの犯罪の処罰に力を入れる。多種多様な方式を総合的に運用し、電子商取引の消費者、新就業形態の労働者などの主体的権益の司法保護に力を入れる。データ取引、データサービスなどの新種の案件が関わるデータ権利の問題を深く研究し、データ収集、使用、取引などの過程における権利者の合法的権益を確実に保護し、データ権利の司法保護規則の整備を推進し、データ要素市場の法に基づき秩序ある発展を促進する。検察の機能に立脚し、法に基づき独占禁止公益訴訟の推進を穏当に模索し、事業者が市場での支配地位とデータアルゴリズムの優位性を乱用して独占行為を実施し、社会公共利益を損なうことを防止する。法に基づき、詐欺、ライブ配信、トラフィック乗っ取り、恐喝、虚偽広告、悪意のある商標、ドメイン名、ディープリンクの先制登録等の不正競争行為を取締まり、デジタル市場での公平な競争の良好な秩序を維持する。

いずれにしても、インターネット上の事業活動については、刑事処罰を前提とした対策が強化されることが見られるので、十分な研究と対応、そして活用が求められよう。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/spp/xwfbh/wsfbt/202304/t20230418_611553.shtml#1