【中国】CNIPA2022年商標行政保護典型事例(4月26日)

国家知識産権局(CNIPA)は、4月26日、全国知的財産権週間に合わせて、2022年度の商標行政保護事例10件を公示した。2022年度の登録商標にまつわる違法行為を地方政府の知的財産部門が処理した事件は4.4万件(特許含む)となっているが、良く知られる有名ブランド衣料品、医薬品やコロナウィルス検査キット、レストランやガソリンスタンドなどでの侵害に加え、無権での商標印刷行為や真製品用QRコードの不正利用なども典型事例として挙げている。

案例1.“爱马仕”第14580986号、“LOUIS VUITTON”第241017号(25類)など登録商標専用権侵害事件
担当部局:浙江省杭州市余杭区市場監督管理局
商標権者:Hermes International、Louis Vuitton Malitiなど
侵害者:オンラインショップサイト余杭区良渚街道深紅女装店
【概要】侵害者はオンラインショップで“爱马仕(Hermès)”、“易威登(LOUIS VUITTON)”、“古驰(GUCCI)”、“香奈儿(CHANEL)”などの有名ブランドのニセモノ衣料を販売しているとの投訴があり、公安局と市場監督管理局が共同で倉庫を捜査したところニセモノと確認し、大量な製品と商標タグを押収し、1600万元の売上を確認した。移送を受けた公安局は販売関与の27名を刑事訴追、4か所の営業拠点が破壊し標識など10万点、約5000万元を押収。

案例2.“上島+SHANGDAO+黒地図形”第10487572号(28類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:安徽省馬鞍山市市場監督管理局
商標権者:上海群政実業有限公司
侵害者:馬鞍山市花山区某商貿銷售中心(仮名)
【概要】市場監督管理局は通報を受けて被訴侵害者を検査し、登録商標を侵害する麻雀卓を発見したが、当事者が複数の麻雀卓を仕入れて部品を組換えた麻雀卓に当該商標を付して販売していたために、国家知識産権局に照会したところ、組換え自体は商標権侵害でないが、商標を誤認されやすく使用する行為は侵害に該当するとの回答を受けて、商標法57条7項の商標権侵害と認定し、違法項の是正と罰金2.2万元の行政処分を下した。

案例3.“丸+同仁堂+図” 第 171188 号(5類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:広西壮(チワン)族自治区凭祥市市場監督管理局
商標権者:中国北京同仁堂(集団)有限責任公司
侵害者:黄某氏(仮名)ほか
【概要】市場監督管理局の職員が市内で「同仁牛黄清心丸」「安宮牛黄丸」などの表示がある薬品、薬品パッケージ及び包装機械を発見し、「同仁堂」安宮牛黄丸、清心丸11582丸、各種パッケージ、銘板、説明書21万枚、総額784万元を押収した。薬品の検査結果、成分が基準と不一致のため、商標虚偽表示、偽薬品製造罪で公安に移送。公安は南寧など複数の製造拠点で15名を逮捕、偽薬製造拠点を破壊、偽薬など44.6万個、総額2000万元を押収。

案例4. “図形+HEAD & SHOULDERS”第 75811 号(3類)など登録商標専用権侵害事件
担当部局:上海市青浦区市場監督管理局
商標権者:宝潔公司(P&G)
侵害者:上海甬領包装印刷有限公司
【概要】市場監督管理局は通報を受けて侵害者を捜査し、当該商標以外に「PANTENE」「愛生活」などの商標を無断で印刷に従事していることを発見し、各種登録商標標識36万枚、印刷機、全自動型切機、封印機各1台を押収。商標法57条4項に違反し、量が多いため公安に移送、刑事告訴となり懲役5年、罰金50万元の処罰。

案例5.“SINOPEC+図形”第1385942号(37類)ほか登録商標専用権侵害事件
担当部局:湖北省荊州市公安県市場監督管理局
商標権者:中国石油化工集団有限公司(SINOPEC)ほか
侵害者:公安県中宏石化有限責任公司
【概要】市場監督管理局は通報を受けて、被訴侵害者のガソリンスタンドを捜査し、スタンドの装飾、看板、給油機などにSINOPECが保有する商標に類似する標識が複数使用されていることを発見し、無作為に選んだ消費者に照会したところSINOPECのものと誤認していた。被訴侵害者は既に17.5万元を売上た。捜査を受け被疑侵害標識を撤去したが、罰金30万元の行政処分。

案例6.“洞子”第18634764 号、第3278749号(43類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:重慶市渝中区市場監督管理局
商標権者:王蔓蓮
侵害者:重慶洞味鮮老火鍋有限公司
【概要】商標権者は被訴侵害者のレストランで自社の登録商標が無断で使用されていると投訴、市場監督管理局は通報を受けて捜査し、看板やメニュー、エプロンに使用されていることを確認し、和解による調停を勧めた。被訴侵害者は当該商標の使用を停止、1万元の賠償金を支払うことで合意、裁判所による司法確認完了。市場監督管理局は別に侵害停止と罰金3000元の行政処分。

案例7.“iHealth” 第12935531号(5類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:広東省惠州仲愷高新技術産業開発区市場監督管理局
商標権者:北京愛和健康科技有限公司
侵害者:陳某某氏、王某某氏 (それぞれ仮名)
【概要】市場監督管理局は通報に基づき、公安機関と連携して工場を検査し、本件登録商標が許諾を得ずに印刷された新型コロナウイルス抗原検出キットの完成品、部品、パッケージ及び生産機械を押収した。公安局は侵害者を逮捕し、刑事告訴、、陳氏には懲役4年6か月、罰金5万元、王氏は懲役2年6か月、罰金3万元の行政処罰。

案例8.“FILA ”第26919515A号(25類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:江西省撫州市市場監督管理局
商標権者:満景(IP)有限公司(独占使用者:斐楽体育有限公司)
侵害者:童服客桟服飾(杭州)ネットショップ
【概要】市場監督管理局は通報に基づき、ネットショップ運営者を捜査したが、「有名ブランドの工場出荷代行商品」との宣伝のみで、実商品がなかったものの、ネットショップで購入し配送された商品には当該商標が印刷されていたことから、権利侵害と認定し、侵害行為の停止、侵害品と違法所得の没収、罰金6.6万元の行政処罰。

案例9.“NIKE”第4516216 号(25類)、“得物”第 31033869号(35類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:北京市東城区市場監督管理局
商標権者:耐克創新有限合伙公司(Nike)、上海識装信息科技有限公司
侵害者:陳某某氏(仮名)
【概要】市場監督管理局はNIKEブランドの商品が露店で販売されているとの通報に基づき捜査し、当事者は訪問販売者から当該商品を100足仕入れて販売していることが判明、また真製品識別「得物」QRコードの偽造コートもつけられていたことから、侵害品没収、罰金3万元の行政処罰。識別コードの会社の商標も保護されたことの意味がある。

案例10 .“QUATTROFLOW”第G1407263 号(7類)登録商標専用権侵害事件
担当部局:上海市虹口区市場監督管理局
商標権者:PSG Gemany GmbH
侵害者:上海良輔環境科技有限公司
【概要】市場監督管理局は投訴を受けて、商標権者の販売代理店である侵害者の事業所を捜査したところ、自社で設計開発した主要部品を組立て、本件商標に類似する商標を付してポンプ製品を販売していていることを発見した。当該製品は国家の品質基準に合格していたもの、商標権侵害として、侵害品を没収廃棄、違法所得没収、罰金162.7万元の行政処罰。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/art/2023/4/26/art_3207_184726.html