最高人民検察院は、8月4日付、2023年上半期の全国の検察機関は知的財産権侵害犯罪11,675人を起訴し、前年同期比+36.1%増加したことを発表した。新しいタイプの犯罪や難事件が引き続き出現、増加しており、イノベーション主体や消費者の合法的権益を損なうだけでなく、社会主義市場経済秩序の破壊、社会への危害が比較的大きくなっている。特徴としては、以下の通り。
1.商標権侵害犯罪比率が高く、新業態新分野の事件が増加。
上半期に商標権侵害犯罪で10,384人を起訴し、知的財産権侵害犯罪全体の受理の88.9%を占めた。その中で、タバコ、白酒、健康食品、日用化学品、衣料用バッグなど日常生活と密接に関係する伝統的な民生分野の事件は依然として多く発生ししている。一部の事件では、商標権侵害とニセモノの製造販売犯罪、食品医薬品の安全性を害する犯罪が交錯している。こうした犯罪は次第に新興産業分野に広がり、再生電子製品を新品と偽って販売や偽造自動車部品の製造販売などの犯罪が増えている。一部の犯罪者は、ライブ放送の「即時性」や「幅広い視聴者」の特徴を利用し、「ライブ配信」や「真贋混売」方式でニセモノを販売している。
2.新しいタイプの著作権侵害事件の急増、犯罪手段技術の向上。
上半期に著作権侵害犯罪で1,122人を起訴し、前年同期比+1.9倍となった。海賊版の書籍、玩具、映画、テレビドラマの製造販売、ゲームの「プライベートサーバー」の違法設置などの伝統的な事件の種類のほかに、「スクリプトキリング」のスクリプトの海賊版印刷、オンライン質問バンクの盗用とコピー、リバースエンジニアを利用した他人のコンピュータソフトウェアの抽出と配布、情報ネットワーク技術を利用し他人の文学・映画・テレビ作品を不法にクローリングし配布するなどの新しい種類の権利侵害事件が相次いでいる。デジタル化環境の下で、文字作品、視聴作品、音楽作品、コンピュータソフトウェア、その他の作品の普及はより便利で迅速になり、関連する権利侵害事件が増加し、犯罪手口も技術力が上がっている。
3.営業秘密侵害犯罪で被害が大きく、内部従業員による犯罪比率が高い。
上半期に営業秘密侵害犯罪で167人を起訴し、前年同期比+89.8%上昇した。実際に、外部の人が直接企業の営業秘密を入手することは困難であるため、企業内部の人、特に重要な職場の技術者、高級管理職が退職し営業秘密を持ち去る、或いは内外が結託して犯罪行為を共同で実施することが多い。関連した分野を見ると、被害者は伝統的な製造型企業もあれば、情報技術、生物医薬、インテリジェント製造などのハイテク企業も含まれる。営業秘密の種類から見ると、ソフトウェアのソースコード、技術案、設備の図面などの技術情報類の侵害事件が主要であり、価格情報の侵害、個別の顧客のニーズなどの経営情報の事件も時々発生している。
4.共同犯罪と地域を跨ぐ犯罪の比率が高い。
上半期に共同犯罪に属するのは5,261人と全体の75.2%を占め、刑事事件全体の共同犯罪と比べ41.2ポイント高かった。インターネット技術と現代の物流を利用し、共同犯罪と上下流、分業し、関連事件では人と貨物の分離、商品と商標の分離、組立加工場と倉庫の分離、権利侵害地と販売地の分離などの特徴がある。
参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbh/202308/t20230804_623890.shtml