【中国】最高検察院による第48次指導性事件公示(9月15日)

最高検察院は、9月15日、7月27日付で地方の検察院に通知した「検察による知的財産権の包括的保護」をテーマとする第48次指導事件の4件を公示した。今回公示された指導性事件は、主に著作権にまつわり、知的財産権侵害犯罪を処罰する刑事事件や行政の決定を是正を監督事件など、知的財産権の刑事、民事、行政の訴追など現在のビジネス上注目される事件で多岐にわたり、参考になる事例である。

検例191号:商標権紛争行政訴訟監督事件
当事者:広州蒙娜麗莎建材有限公司(原告)、広州蒙娜麗莎潔具有限公司、国家知識産権局
概要:登録商標第4356344号(11類)の無効取消における商品類比判断に不服で行政訴訟を行ったが、一審二審ともに原審維持となり再審も却下された。原告は北京検察院に監督を申請し、最高検察院は過去の類似事件の調査結果、二審判決には類似商品と類似商標の認定に監督すべき状況が存在するとして、最高人民法院に控訴し、第二審の再審が行われた。複雑な事件であるが、検察院への監察請求の道があることは興味深い事件である。

検例192号:著作権帰属、権利侵害紛争など64件の虚偽訴訟監督事件
当事者:代表的事件 周氏、項氏、李氏
概要:浙江省紹興市人民検察院は、図案など虚偽の著作権登録を行い、主に生地の事業者を対象とした著作権侵害訴訟が120件を超える多数発生していることを発見し、職権で当該地域の事件を調査し、事件が集中している当事者や弁護士の調査などを行い、紹興市中級人民法院に控訴し、過去の事件が著者になりすまして事実を捏造した虚偽訴訟かどうかの再審査を勧告した。結果的に、64件が虚偽訴訟と認定され、原審での原告の請求棄却の判決が下された。

検例193号:著作権侵害事件
当事者:梁永平、王正航など15人
概要:上海市公安局は、被告の運営する「人人影視字幕組」映像配信ウェブサイトには、3.2万本を超える著作権侵害コンテンツがアップロードされており、違法取引額1,200万元以上、会員数 683万人あることから、逮捕起訴した。公判中に「セーフハーバールール」により、侵害作品の削除やユーザーのアップロード分など非侵害の主張がなされたが、十分な対策が講じられていないことから侵害が確定した。「セーフハーバールール」の適用が明確にされた。

検例194号:著作権侵害事件
当事者:上海の某会社、許林、陶偉
概要:被告は、南京の某会社が著作権を有するC型チップ内蔵ファームウェアプログラムソフトウェアV 3.0と製品をリバースエンジニアリング解析複製しG型チップと販売していたところ、南京市公安局は商標虚偽表示などの理由で刑事告訴したが証拠不十分となった。その後、著作権侵害で追送検した。被告の弁明が虚偽であることやチップ自体の照合による類似度100%で被告のオリジナルのないことなどの認定により、著作権侵害が確定した。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbt/202309/t20230915_628154.shtml#2