【中国】2023年税関知的財産権保護状況と10大典型事例(4月25日)

中国海関総署(税関総署)は、4月25日付、2023年は中国税関での知的財産権保護活動30周年でもあり、2023年の統計から保護活動の推移と変化、国際関係や宣伝教育まで9項目からなる包括的な報告書を公示した。また、4月26日には、10大典型事例を公示している。

1)2023年全国税関知的財産権保護施行情況
 2023年に全国の税関は輸出入関連で6.7万件の知的財産権保護措置を実施し、実際に被疑権利侵害貨物を62,100ロット、8,289万個を差押えた。

―商標権保護事件が依然として捜査の重点
 全国の税関が差押えた被疑権利貨物は、商標権、特許権、著作権、オリンピック標識など多くの種類の知的財産権に関連している。その中で、商標権侵害事件は特に際立っており、被疑商標権侵害貨物を61,610ロット、8,172,7500件を差押え、それぞれ年間総差押数の99.12%と98.6%を占めている。被疑著作権侵害貨物を534ロット、101.2万件を差押え、それぞれ全体の0.86%と1.22%、被疑特許権侵害貨物10ロット、14.53万件を差押え、それぞれ0.02%と0.18%を占めている。
―職権調査処理モデルが依然として主流
 全国の税関は貨物輸送ルートで被疑権利侵害貨物2,832ロット、7459.11万件を差押えた。その内、職権による被疑権利侵害貨物の差押件数は2,803ロット、74,356,400件で、それぞれ貨物輸送ルートの総差押数の98.97%、99.68%である。申請による被疑権利侵害貨物は29ロット、23.46万件で、それぞれ貨物輸送ルートの総差押数の1.02%、0.32%である。
―新業態分野の法執行効果は持続的に向上
 インターネット発展に伴い、越境電子商取引ルートの法執行は長年に渡って増加してきた。2023年の全国税関は越境電子商取引ルートでの被疑権利侵害貨物を26,600ロット、430.3万件差押え、対前年比26.4%、6.6%それぞれ増加した。また、市場購買取引方式で申告した被疑権利侵害貨物は967ロット、28,064,900件で、対前年比44.3%、3.2%それぞれ増加した。

―中西部税関の法執行能力が向上
 東部沿岸地区の税関が依然として知的財産権保護の主流で、2023年、上海、寧波、広州、深圳などの地区の税関は、被疑権利侵害貨物49,500ロット、8,179.3万件を差押え、年間総差押数はそれぞれ79.71%、98.67%である。南昌、南寧、成都、昆明、西安など中西部地区の税関は被疑権利侵害貨物12,600件、109.65万件、その内、太原、重慶、貴陽などの税関の差押ロットは前年比2倍以上増加し、合肥、鄭州などの税関の差押件数は前年比2倍以上増加した。
―権利侵害貨物に明らかな変化はない
 差押ロットの統計によると、衣服・靴・帽子、革のバッグ、電子機器などの貨物が依然として上位3位を占め、それぞれ3.9万ロット、1万ロット、0.5万ロットである。差押数から見ると、電子機器、スポーツ用品、タバコなどの貨物が上位3位を占め、それぞれ2,007.8万件、1,314.2万件、1,156万件である。
―知的財産権税関登録は安定
 2023年もより多くの権利者が税関保護を通じた権益の保護を選択しており、税関登録システムは利用者登録申請4,217件を受理、4,054件を登録した。2023年の税関登録申請は、21,203件を受理し、19,009件を登録、その内、12,911の国内権利者が増加し、受理総数は3年連続で2万件を超えた。

税関はこの30年間さまざまな状況の変化に合わせて、対策を整えている。税関の能力向上のために、2023年12月には「税関行政処罰裁量基準(三)」を公示し、知的財産権保護の作業手順を策定し各地の税関での業務ガイドラインに反映された。また、知的財産権保護では「龍騰活動」の特別プロジェクト7年連続継続しており、上海などの沿海では家庭用品、重慶など内部では機械・自動車部品などが押収しており、中欧の貨物列車には多くの対策をとっている。そのほか、個人による小口貨物の輸出入、積替え貨物、ECサイト取引の貨物などにスマート税関を構築するなどとして、高レベルの検出や作業チームのネットワーク構築などを進めている。

2)2023年税関差止10大典型事例
事例1:南京・常州税関でのビックデータを利用した商標権侵害ベアリング一括摘発事件
事例2:黄埔・沙田税関での同一輸出ルートの商標権侵害電源アダプタ一括摘発事件
事例3:深圳・蛇口税関での内外企業の商標権侵害イヤホン一括摘発事件
事例4:広州・江門税関での大量な特定個人の小口郵便の商標権侵害衣料一括取締事件
事例5:厦門と南昌など複数の税関の協働による商標権侵害ウェットティッシュ摘発事件
事例6:杭州と天津税関の協働による商標権侵害南京錠摘発事件
事例7:青島・成都・合肥税関が連係した複数の商標権、著作権侵害貨物摘発事件
事例8:ウルムチ、福州、重慶、鄭州税関での越境ECルート商標権侵害品摘発事件
事例9:上海、大連、南寧、長沙税関での「一帯一路」共同建設での商標権侵害貨物摘発事件
事例10:北京、寧波、ラサ、昆明税関でのマルチルートの権利侵害貨物摘発事件

参照サイト:http://xian.customs.gov.cn/customs/xwfb34/302425/5837035/index.html
http://xian.customs.gov.cn/customs/xwfb34/302425/5837268/index.html
https://mp.weixin.qq.com/s/CQ5kj5vyVodcDFNc6zip1w