最高人民検察院は、10月29日、悪意による商標の先取り登録など知的財産権を利用した悪意、虚偽訴訟などに対する特別プロジェクトの活動報告を公表した。中国各地の検察機関は、2022年7月より知的財産権悪意訴訟監督プロジェクトを実施し、今年2024年9月までに、抗訴と再審の申立のあった8,142件の知的財産権民事事件に対して監督を実施し、被疑犯罪案件175件を検察に移送した。約27か月でみると月6件とかなり多い数と言えるが、以下の3項目にまとめ特徴的事件を取り上げ、注意喚起を行っている。
(1)知的財産権悪意訴訟
上場企業の使用している商標を悪意で先取り登録し、権利侵害と不正競争に基づき提訴し損害賠償を請求した訴訟で、検察が捜査により悪意訴訟と認定した事件では、国家知識産権局が先取り登録された72件の登録商標を無効宣告し、審査中の14件の商標出願を却下した。
上場を目指しているハイテク企業に対して、競合する装備企業が自身の特許の有効性に問題があることを知りながら侵害訴訟を起こし、ハイテク企業の上場を中止に追い込んだ事件では、検察の捜査によりそうした事態が判明し、訴訟却下、原告に40万元の損害賠償の支払いとメディアでの影響の除去を命じ、ハイテク企業が上場に成功した。
(2)虚偽の著作権登録による虚偽訴訟
他人が著作権を享受している音楽テレビ作品について虚偽の著作権譲渡契約書などを提出して著作権登録証を取得し、虚偽訴訟を1万件以上に提起した。検察は捜査を通じて、抗訴や再審勧告などの方法で是正した。
(3)ブラックブローカーやエージェントを含む悪意訴訟の輪
知的財産権を悪用するブローカーやエージェントを含む利益共同体が形成されることが多い。知的財産権を悪用するため、専門会社の設立、知的財産権取得、被害者となる被告探索、訴訟代理人、和解調停代理人までを準備するブローカーやエージェントが存在し、を探す悪意訴訟をするために、前項のように虚偽著作権登録、権利者になりすまし、訴訟提起などの業務分担の分業を明確にし、輪になって、完全な「産業チェーン」を形成している事件が多く発生している。
参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbt/202410/t20241029_670235.shtml