広東省高級人民法院は11月11日、登録商標偽造罪、偽造登録商標商品販売罪、商業秘密侵害罪、著作権侵害罪などに関する知的財産権刑事事件の典型事例を発表した。今年1月から9月に広東省の裁判所は各種知的財産権事件約6.1万件を審理し、一審刑事事件は1,097件であるが、登録商標偽造罪、偽造登録商標商品販売罪の事件数が最も多く約90%を占めている。最近、広東省での知的財産権刑事事件の数は上昇傾向にあり、2023年は一審刑事事件が1,061件、今年の第3四半期は前年同期比+61.8%増加した。この内、登録商標偽造罪496件、偽造登録商標商品販売罪474件、違法登録商標製造販売罪81件、著作権侵害、権利侵害複製品販売罪、商業秘密侵害罪46件である。
今回発表された典型事例5件は、広東省の裁判所が知的財産権犯罪を刑事処罰し、抑止する機能を十分に発揮し、新たな生産力の発展に力を入れていることを反映している。
1. 盧氏らによる登録商標偽造事件(清遠市清城区人民法院)-国際的有名ブランド化粧品の商標犯罪を厳罰化
盧氏は2019年から2021年に他の被告と共謀し、ESTEE LAUDER、LANCOME、DIORなどの偽造登録商標を表示した化粧品を正規品の半額程度で販売し、3800万元弱の利益を上げていた。主犯格の盧被告には懲役8年、2000万元の罰金、他の被告にも懲役と罰金、違法所得3700万元の追納が言い渡され、侵害品や犯行道具は没収、処分された。上告棄却。
2. 馬氏による偽造登録商標使用商品販売刑事付帯民事訴訟(深圳市羅湖区人民法院)-懲罰的損害賠償の適用
馬氏は2021年8月から登録商標「美心」の月餅の偽物を販売し、販売総額139万元以上、利益が約23.8万元から25.4万元と算定された。商標権者は同時に損害賠償と懲罰的賠償を求めて民事訴訟を提起した。馬氏には懲役2年と罰金60万元が言い渡された。民事訴訟での損害賠償は25.4万元とされ、懲罰的賠償は1倍とされた。
3. ト氏による営業秘密侵害事件(広州市黄埔区人民法院)-詳細なビジネス情報の営業秘密侵害罪を処罰
ト氏は2018年、バイオテクノロジー企業のマーケティングディレクターを務め、機密保持及び競業禁止契約を締結した。2020年3月の退職時には機密保持契約書も締結した。ト氏は同年5月に広州のバイオテクノロジー企業のマーケティング・コマーシャルディレクターに就任し、前職で取得した6,777 件の顧客情報から1,354件を選別し、製品やサービスを宣伝するための電子メールを大量に送信するために使用した。侵害された顧客情報は399件86万元と評価された。ト氏には懲役1年、罰金3万元の処罰が化された。上告棄却。
4. 蘇氏による著作権侵害事件(深圳市南山区人民法院)-技術的手段による「機会遮断」による著作権侵害犯罪
蘇氏はソフトウェア開発エンジニアであり、退職した深圳のテクノロジー会社に在職中に使用していたアカウントとパスワードを使って同社のプラットフォームにログインし、POS 端末にインストールされているシステムソフトウェアのースコードを再度修正して、新たなプログラムを2つ作成した。蘇氏は2つのプログラムを他人に提供し、74.4万元の利益を得た。違法に取得し作成したプログラムは一部を除いてほぼ同一であり、ト氏には懲役3年、罰金75万元が科された。上告棄却。
5. 許氏による登録商標偽造事件(江門市江海区人民法院)-漢方薬の侵害罪に対する禁止命令
許氏は2020年4月から7月に、「雲南白薬」「植雅」の登録商標を偽った歯磨き粉を製造し、1本2元で販売し、15万元を売上、6万元の利益を上げた。2023年6月、許被告は事件後自首し自発的に違法所得金を返還した。蘇氏には懲役3年、執行猶予4年、罰金8万元を言い渡された。同時に、処罰として、執行猶予期間中は歯磨き粉の製造、販売および関連活動に従事することに対する禁止命令が出された。
参照サイト:https://www.gdcourts.gov.cn/xwzx/gdxwfb/content/post_1842869.html
https://www.gdcourts.gov.cn/gsxx/quanweifabu/anlihuicui/content/post_1842870.html