国家工商行政管理総局(SAMR)は、12月31日、2024年に中国各地の市場監督管理部門が2024年に営業秘密侵害事件120件を調査、処理し、その中から典型的な5事例を選んで公表した。
典型事例の5件の概要は以下の通り:
1.劉某氏及び北京捷欧分析儀器有限公司などの営業秘密侵害事件(北京市通州区)
元勤務先の営業部長であった劉氏は妻と設立した北京捷欧社で、元勤務先との秘密保持契約と秘密保持制度の要件に違反し経営秘密である顧客情報を無断で利用し13.6万元を売り上げた。不正競争防止法9条1項に該当し、両者に侵害停止、劉氏に10万元の罰金、北京捷欧社の売上13.6万元が没収された。
2.陸某氏の営業秘密侵害事件(上海市普陀区)
劉氏は、元勤務先と営業秘密保持契約を締結していたが、退職後、元勤務先のプロジェクト管理システムのIDとパスワードの解析に成功し、元勤務先の経営秘密である試算表や顧客評価報告書などを不正にダウンロードした。不正競争防止法9条1項に該当し、陸氏に侵害停止、10万元の罰金が課された。
3.無錫沃德汽車零部件有限公司などによる営業秘密侵害事件(江蘇省蘇州市太倉市)
陸氏、于氏と韓氏は、元勤務先の行動規範や従業員手帳の確認書に署名し守秘義務がありながら、その秘密管理しているスプリングクランプ製品に関する技術秘密を入手し、退職し入社した無錫沃德社の生産・販売のために提供した。無錫沃德社の製品は元勤務先の製品と実質的に同一の機能を有すると認定され、数千万元の損害を与えた。不正競争防止法9条3項に該当し、無錫沃德社に200万元の罰金、陸氏らには営業秘密侵害罪による処罰がされた。
4.陳某氏の商業秘密侵害事件(浙江省杭州市)
陳氏は、元勤務先との秘密保持契約や社内規定に違反し、勤務中から技術秘密である動画の圧縮や変換技術情報を機密性の低いサーバーに転送しておき、退職後に、無断でサーバーから事前に転送した技術情報をダウンロードした。不正競争防止法9条1項に該当し、陳氏に侵害停止、30万元の罰金が課された。
5.広東聖千科技有限公司の営業秘密侵害事件(広東省広州市番禺区)
広東聖千社は、顧客との守秘義務及び競業禁止契約に違反し、顧客のシステム内の顧客情報や注文情報などを遠隔ミラーリングし、自社のシステムに取り込むとともに類似する自社製品の宣伝販売に利用した。監査会社の調査により、同顧客情報を利用し、5万件以上の注文を受け、2179万元を売上げた。司法鑑定機関は上記顧客情報が権利者の経営秘密と判断した。工商行政局の本事件処理で当事者は和解し、広東聖千社は顧客に1900万元を返金した。不正競争防止法9条1項に該当し、広東聖千社に侵害停止、400万元の罰金、違法所得が没収された。
参照サイト:https://www.samr.gov.cn/xw/zj/art/2024/art_5a0d038c782c4c8887343948fd5ad278.html