【中国】第14期全人代第3回会議での最高人民法院と最高人民検察院の報告(3月8日)

最高人民法院と最高人民検察院は、3月8日の全人代会議でそれぞれ業務報告を行った。

最高人民法院
  最高人民法院の張軍法院長の2024年の業務結果と2025年の展望では次のように知的財産関連について報告されている。2024年の受理と処理事件数は、34,898件と32,539件で前年比+65.5%、+82.2%と増加し、全国の人民法院の受理と処理事件数は、4,602万件、4,542万件で前年比+1%、+0.3%と増加している。
 独占禁止と不正競争防止での司法保護では、独占禁止民事訴訟に関する司法解釈を公布しており、独占禁止認定事件は31件、前年比+2.1倍増加し、営業商業秘密侵害と入札談合などの不正競争事件は1万件、前年比+0.7%増加。元従業員の孫氏らは偽名で同業会社を設立し、会社の技術秘密を10年以上盗用したことを認定し、裁判所は同社と孫氏らに1.6億元の連帯賠償命令を適用した。
 知的財産権事件は49.4万件、前年比+0.9%増加。重要なコア技術の研究と産業発展に貢献し、次世代情報技術、ハイエンド装備、バイオ医薬、新素材などの分野の知的財産権の司法保護を強化し、イノベーション成果の転化を促進した。最高人民法院知識産権法廷は、成立後6年となり、技術系の知的財産権上訴事件2万件を処理したが、戦略的新興産業関連の事件数が年々上昇し、2024年には1,233件に達し、32.3%を占めた。そのほか、人工知能紛争事件での権利侵害行為を処罰し、規範的で秩序ある発展と保護した。懲罰的賠償を悪意のある権利侵害で情状が深刻な460件に適用し、前年比44.2%増加した。特に、「新エネルギー自動車シャーシ」技術秘密侵害事件で懲罰的賠償を適用し6.4億元の賠償を命じた事件では、侵害者に権利侵害停止、遅延金算定基準を明確にして履行を命じた。関連事件の情報開示メカニズムを検討し、権利擁護の名のもとにイノベーション秩序を乱す者を処罰した。他人が先に使用した商号や商標の主要な識別部分を何度も大量に悪意商標出願し、先取り登録した商標で他人の権利侵害を提訴し利益を得ようとした事件で、湖南法院は起訴を却下し罰金10万元を科す判決を下した。ある特許侵害事件で、国内のイノベーション企業の緊急申立に基づき、中国の知的財産権分野では初めて反禁訴令の性質を持つ仮差止(行為保全)を裁定し、権利者の正当な権利を擁護した。その後、当事者は国内外の6つの裁判所での16件の訴訟を一括和解した。
 2025年については、法に基づいて国有、民営、外資などの企業の財産権と自主経営権を平等に保護し、法治と信用経済の構築を促進する。独占禁止と不正競争防止のための司法活動を強化する。法に基づきイノベーションと創造活動を保障し、新たな質の高い生産性の発展を支援する。外交法治の構築を強化し、事務効果を高めるとしている。

最高人民検察院
 最高人民検察院の応勇検察庁の2024年の業務結果と2025年の展望では次のように知的財産関連について報告されている。最高人民検察院が処理した事件は8,980件、前年比+9.4%増加、全国の検察院が処理した事件は409.9万件、前年比-3.6%減少した。
 商標権、特許権、著作権、商業秘密などで侵害犯罪2.1万人を起訴した。元従業員の張氏らが会社のチップのコア技術を不正に入手したことに対し、上海検察は営業密侵害で起訴している。知的財産権の民事、行政、公益訴訟事件4,219件を処理し、イノベーション主体の合法的権益を保護し、高水準の科学技術に奉仕して自立した。人工知能、バイオ医薬などの新興産業の育成と成長を促進し、伝統産業の転換と進展を支援し、地域の事情に応じた新しい生産の発展を擁護するとしている。しかし、検察院の全体的な質は依然として向上する必要があり、金融​​、知的財産、外交関連検察などの分野で質の高い専門的人材が不足しているとまとめている。
 2025年については、知的財産権の司法的保護を強化のみである。

参照サイト:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1826004378697557439&wfr=spider&for=pc
https://www.spp.gov.cn/spp/tt/202503/t20250308_688283.shtml