最高人民検察院は、3月9日、「刑事検察業務白書2024(刑事检察工作白皮书)」を公表した。白書は、2024年の刑事事件の処理情況や課題などをまとめている。
刑事事件は全体的に減少傾向ではあるが、財産や経済系の犯罪は増加しており、企業経営秩序に関わる犯罪は+100%増加、偽造品や粗悪品の製造・販売犯罪は+79.2%増加、市場秩序を乱す犯罪は+24.9%増加している。知的財産権侵害罪で、2024年に33,805人を受理・審査・起訴、前年比+10.2%と増加した。知的財産権侵害刑事事件は、依然として商標権侵害罪を主とし、著作権侵害罪と営業秘密侵害罪が急増している。行政処罰に1,280件1,770人を移送している。
第4章の経済社会の質の高い発展の保障に、知的財産権検察の総合的司法保護の強化の項目を設けて以下のように総括している。
1.高度な科学技術の自立を確保
イノベーション主導型発展戦略の実施のために、次世代通信技術、人工知能、バイオ医薬、新エネルギーなどの重点分野と新興産業に対する知的財産権の司法保護を強化し、新しい高品質の生産力の発展加速を促進する。営業秘密侵害罪で220人を起訴し、前年比+34.2%増加した。最高検察院は、チップ製造、動力電池などの重要なコア技術に関する重大事件を処理するよう地方検察院を指導した。張氏らは、某社のチップコア技術を不正に入手し生産事業に利用したため、上海検察院は営業秘密侵害の疑いで起訴している。
2.文化的強国の建設
カルチャー分野の知的財産権保護を強化し、カルチャー産業のイノベーションに市場の熱量が高く、新しいタイプの作品に重点を置き、特にコンピュータソフトウェア、電子書籍、映画ドラマ、オンラインゲームなどのデジタル作品と脚本キリング、文創製品、ネットワークライブラリなどの新しいタイプの作品を対象に、著作権侵害罪の処罰に引き続き強化することで、カルチャー産業と市場の繁栄と発展を促進する。著作権侵害罪で2,090人を起訴し、前年比+27.4%増加した。最高検察院は、著作権侵害処罰の典型な実例を発表しており、国家著作権局などの関連部門と共同で重大な著作権侵害海賊版事件60件を監督・処理している。
3.知的財産権検察の総合的職責履行を強化
各地の事情に応じ、階層的に分類し知的財産権検察の専門性を強化するよう指導し、知的財産権刑事、民事、行政、公益訴訟の検察機能を総合的に履行する。「知的財産権検察業務白書(2021-2023年)」を発表し、知的財産権検察の総合的職責履行状況と保護効果を包括的に総括した。検察機関の知的財産権保護の典型的な事例を発表し、引き続き指導を強化する。知的財産権事件の技術性、専門性の強い特徴に適応し、技術調査官制度を確立するために初めて技術調査官60名を採用し、検察官の事件処理に技術的支援を提供した。
参照サイト:https://www.spp.gov.cn/xwfbh/wsfbh/202503/t20250309_688590.shtml