最高人民法院は、4月21日付、知的財産権広報週間に記者会見を行い、「中国法院知的財産権司法保護状況(2024年)」などを発表した。昨年に全国の人民法院は一審、二審、再審で53万件の知的財産事件を受理し、前年比▲2.65%減少した。
(1)民事訴訟事件
2024年の全国各クラスの人民法院は、民事一審事件を449,923件受理し、前年比▲1.2万件減、▲2.65%減少した。内訳は下記の通りであるが、著作権侵害事件が2021年より減少を続けており前年比4.5千件減、▲1.8%減少、特許侵害事件が▲456件減、▲1%、商標侵害事件が▲6.5千件減、▲4.95%減少、その他も▲2.9千件減、▲16.5%減少した。増加したのは、技術契約が1.8千件増、+28.2%、不正競争事件も332件増、+3.3%増と毎年増加している。審決は、第一審457,315件と前年比▲0.65%減少した。第二審の受理は30,486件と▲18.1%減、審決も32,055件と▲17.2%減少した。


(2)行政訴訟事件
2024年の全国各クラスの人民法院は、行政一審事件を20,849件(前年20,583件)受理し、前年比+1.3%増加した。この内、特許事件は1,679件(前年1,990件、前年比▲15.6%)、商標事件は19,130 件(前年18,558件、前年比+3.1%)、著作権事件は9件(前年11件、前年比2件減)である。処理も27,745 件(前年22,340件)と前年比+24.2%増加した。第二審の受理は11,666件(前年10,053件、前年比+16.4%)、処理は10,874件(前年9,259件、前年比+17.4%)といずれも増加した。原審維持は9,420件(前年7,477件で、全体の構成比で86.6%と増加した。
(3)刑事訴訟事件
2024年の全国各クラスの人民法院は、刑事一審事件を9,120件(前年7,335件)受理し、審決9,003件(前年6,967件)処理し、それぞれ前年比+24.3%、+29.2%増加した。その内、登録商標類侵害事件は8,079件(前年6,634件、前年比+21.8%)、著作権侵害事件は938件(前年627件、前年比+49.6%)とそれぞれ増加し、刑事事件は近年増加を続けている。第二審の受理は956件(前年1,112件、+16.3%)、処理は1,068件(前年977件、▲10.7%)とそれぞれ増加した。
会見や報告書では、①事件審理での質と効率の向上、②イノベーションに対する司法保護強化、③審判制度の改善、④適用法基準の統一による裁定の改善、⑤行政との連携強化と協力体制の改善、⑥ 国際交流の強化について説明しているが、主な注目点は、以下の通り。
2024年の知的財産民事侵害訴訟は、審理期間内での終結や和解が増加し、結審率、控訴率、上訴・差戻し率、再審請求率などの各種指標が改善傾向にある。懲罰的賠償を適用した事件が460件(前年319件、前年比+44.2%)と増加し、「新エネルギー車シャーシ」の技術秘密侵害事件での賠償額は6.4億元であった。調停などによる事件の解決が増加した。
ハイテク技術、商標やブランドに対する司法保護強化、独占や不正競争対応に加え、人工知能に関する紛争事件に対応し、人工知能産業の健全かつ科学的な発展を支援することに上げ、北京インターネット法院での「AI文生図案」事件でAI生成製品の著作権保護ルートを開いた。
司法と行政間の連携と協力を引き続き強化するために、最高人民法院は国家版権局と「著作権の協調的保護の強化に関する意見」を公布、国家知識産権局と「知的財産権の協調的保護強化に関する意見」を公布することで、著作権保護の枠組み、商標行政審査基準と司法基準の統一を推進した。さらに、調停による解決進めており、知的財産調停機関は全国的に網羅され、調停機関及び調停人の数も増加している。
2024年、外国関連知的財産事件の第一審を8,252件受理しており、対外知的財産権事件を公平かつ公正に審理し、中外当事者の合法的権益を平等に保護し、影響のある事件でより多くの先導的な司法判決を下した。
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