【中国】中国最高知識産権法廷設立2周年と係争情況(12月25日)

最高人民法院知識産権法廷が2019年1月1日に業務を開始し2年が経過し、中国の知的財産権事件の控訴審メカニズムが確立された。以来、共産党から職責と使命受けて、法執行、司法改革、党建設、基礎的保障などの各方面で推進し、国際的影響力の強化などに積極的な成果を収め、知的財産権の司法保護が国家のイノベーション駆動発展における重要な役割を果たす上でのサービス保障を十分に発揮したとし、以下の3つの点から総括した。

◎保護とイノベーションのための「風向計」の樹立
 2019年3月27日に最初の特許権紛争事件の裁定が下されて以降、それをモデルに医薬、通信、動物遺伝子、ネットワークケーブル、大型機械、インテリジェント入力法、コンピュータソフトなど多くの科学技術分野からイノベーションスピードの速い技術分野をカバーするためにいくつかの模範的事件を集中的に公開審理した。その後、2020年12月23日までに、知識産権法廷は5104件の事件を受理し、4124件の判決を下した。その内、民事第二審事件の受理2905件、審理2277件、行政第二審事件の受理908件、審理614件である。これまで、知財法廷は合計111回の専門裁判官会議を開催し、法律適用規則を418制定し、「標準的統一裁判制度プロセス」を深化させ、裁判監督管理を強化し、審判規範の指導を細分化し、裁判基準の統一を確保している。

◎技術系知的財産審判の「国家チーム」の構築
 知識産権法廷は特許などの技術類事件の審理に責任があり、科学技術のイノベーションと非常に密接な関係があり、核心的技術の開発と備蓄の保護と促進に直接関係し、その責任は重大である。「高い起点、高い基準、高い水準、国際化」が求められている。現在、知識産権法廷には10の合議廷があり、裁判官38名、裁判官補佐44名が所属している。裁判官の42%は博士で、37%は理工系の出身であり、21%は海外留学経験がある。2019年11月に「全国法院技術調査人材バンク」及び「全国共有機構」の建設を宣言し、現在、全国の人民法院には技術調査官が360名以上所属し、30以上の技術分野をカバーしており、技術調査人材は全国的にオンデマンド、人材共有により技術的事実究明の難しい問題を効果的に軽減するようになっている。

◎司法改革の「実験フィールド」の育成
 2020年4月に「知己」と呼ばれるオンライン裁判規則データベースの構築が発表されたが、これは中国初の技術的な知的財産権事件の裁判規則を収集、整理、公表するデータベースであり、技術的な知的財産権事件の裁判基準をさらに統一し、裁判品質を高めるための有力な保障となることが期待されており、今後は海外の裁判規則も追加し、国際的なレベルになるように取り組んでいる。12月24日の知識産権法廷のイベントでは化合物の名称を読むだけで化学式が画面に表示され、拡大などの追加操作ができるデモンストレーションが行われたが、裁判規則データベースに加えて、技術類知的財産権事件のビッグデータ分析システム、法廷と一審法廷との遠隔接続システム、クラウド構築、事件電子ファイルの自動生成など知財法廷が情報化、インテリジェント化を更に進めている。技術的裁判システムをさらに充実させるために、全国の知財法廷、地方の32の高級法院、44の中級法院廷を結んだ「1+76」技術類事件裁判システムを整備し、審理メカニズムのさらなる最適化、審理業務の協同推進メカニズムの深化、行政事件審理の効率化を向上させる。一方、知財法廷は何度も江蘇、広東、山東などで巡回裁判を展開しており、「知財法廷+巡回法廷」の「1+6巡回裁判モデルド」模索し、「実地調査+法廷審理」の審理メカニズムを実施し、2020年は25回の巡回裁判を行っている。また、コロナの情況では700回以上のオンライン裁判を行い、一般大衆の訴訟に便利性を提供した。

参照サイト:http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-281311.html
      http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-281291.html