【中国】行政執行に技術調査官を活用開始(5月7日)

国家知識産権局弁公室は、5月10日付、国知弁発保字〔2021〕17号で、「技術調査官が特許、集積回路配置設計の侵害紛争行政裁決参加に関する若干の規定(暫定)」《关于技术调查官参与专利、集成电路布图设计侵权纠纷行政裁决办案的若干规定(暂行)》を公示し、即日施行した。

これは、民事訴訟では既に導入されている技術調査官制度を特許や集積回路配置設計の技術が難しい行政執行事件処理でも活用することで、事件解決をスムーズにすることにある。規定は全20条からなる。
 技術調査官は、専利局、業界団体、大学、科学研究機関、企業などの関連分野の技術者から選出されるとあるが、募集になると思われる。こうして集められた技術専門家は国家知識産権局が名簿を作成し管理する。地方政府の知的財産部門はその地域で専門家の募集や管理をできるとしている。
 技術調査官の職務は補佐官であり、決定権を持っているわけではなく、主に以下を担当する:
(1)技術的事件の争点、調査の範囲、順序、および方法の提案
(2)調査および証拠収集に参加
(3)尋問および口頭審理に参加
(4)技術調査の意見の提出
(5)裁定事件処理担当官の支援、関連技術分野の鑑定士や専門家を組織して意見を提供
(6)合議体の会議に出席
(7)その他の関連作業
 なお、技術調査官は秘密保持義務を有しており、またその報告書類は公開されない。

 これらを見て、注意点は業界団体から経験者が調査官になる点である。日本企業や外国企業にとって不利な意見や報告書を作成する可能性があり、実務家としては忌避を申立てることも気に留めておくことをお勧めする。

 6月16日の公示によると、35名の技術調査官が採用された。トレーニングを受けて配属される予定である。

参照サイト:http://www.cnipa.gov.cn/art/2021/5/10/art_75_159232.html
      https://www.cnipa.gov.cn/art/2021/6/16/art_53_160074.html