【日本】経済安全保障推進法案可決(5月11日)

参議院は、5月11日に「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(以下、経済安全保障推進法)法律第四十三号」を可決した。この法律は、重要物資の安定的供給確保、基幹インフラ役務の安定的提供確保、先端的な重要技術の開発支援、及び特許出願の非公開に関する規定が含まれており、「特許出願の非公開」は特許法、実用新案法の改正対象となり、2年以内に施行することとなっている。

特許出願の非公開については、安全保障上機微な発明の特許出願につき、公開や流出を防止するとともに、安全保障を損なわずに特許法上の権利を得られるようにするため、保全指定をして公開を留保する仕組みや、外国出願制限などの措置を目的としており、法律の第第五章第65~85条に規定されている。
主な内容としては以下の通り、
①技術分野を指定した保全措置
 対象技術 核技術、先進武器技術など国防技術
 一次審査 特許庁が特定IPCでスクリーニング、内閣府に送付
 二次審査 国防対象の有無、経済への影響による保全の必要性を審査
 保全指定 対象は取下げ・開示禁止、実施制限など、1年間+毎年更新要否判断
 出願審査 一次審査から保全期間は公開及び査定を保留  
②外国出願制限
 第1か国出願義務、事前承認制度
③補償
 保全機関を対象に通常生ずべき損失の補填
④処罰
 違反者及び秘密保持義務違反には、1年以下の懲役か50万円以下の罰金、または併科

詳細は、下記の参照先でご確認頂くとして、対象技術は兵器などに関する技術であるが、問題は一般の用途にも使える両々技術である場合、また営業秘密などノウハウが関係する場合にどうするか、また第1か国出願義務があるので、比較的実務的な課題が多いところ、悩ましい制度設計である。

参照サイト:
法律 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/208/pdf/s0802080372080.pdf
特許出願の非公開化の提言 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/dai3/teigenkossi4.pdf