中国日本商会は、7月29日、「中国経済と日本企業2022年白書」を発刊した。本白書は、中国各地の商工会の日系企業(法人会員8,353社)に意見募集し、直面するビジネス環境上の課題を分析し、解決のための方策を中国政府(中央・地方)への建議(総数526件)である。
今回で第13版で全4部28章からなり、重点分野は(1)「コロナ規制の緩和」、(2)「カーボンニュートラルに関する協力と要望」、(3)「データの越境・管理に関する問題」の3点に設定されているが、2分6章には知的財産権に関する分析と建議が記載されており、その内容は以下の通り:
- 知的財産の適切な保護の促進
(1) 出願権利化プロセス・保護期間の合理化・適正化
①意匠制度の見直し
②適切な商標審査
③商標審査における情報提供制度の導入
④商標審査の延期
⑤特許権の冒認出願への対策
⑥特許審査の迅速化・的確化
⑦特許出願集中審査についての条件明確化と条件緩和
⑧特許請求の範囲や明細書の記載要件および補正制限の緩和
⑨職務著作制度の見直し - 知的財産にかかわる公正な競争環境の実現
(1) 模倣行為抑制に向けた諸施策
① 再犯防止
②模倣巧妙化への対処
(2) インターネットを介した模倣品販売の対応
①知的財産保護プログラムの整備強化
②模倣品の海外流出への対応
(3) 知的財産の流通 - 知的財産にかかわる紛争処理の公平化・合理化
(1) 特許権侵害に対する行政権限の適正化
(2) 知的財産権の濫用となる場合の基準明確化
(3) 司法機関・行政機関の期日・期限設定における配慮
(4) 知的財産訴訟における技術調査官制度の拡充
(5) 実用新案権および意匠権行使時の注意義務化
(6) 先使用権制度運用の適切化
(7) 判決の執行強化
(8) 情報公開の促進
(9) ライセンス技術の保証期間等
(10)懲罰的賠償
(11)賠償金額算定の文書提出命令
毎回、確かな問題点を挙げて、提案をしていることに敬意を表する。各位のご参考になるので、一読されることをお勧めする。