【中国】検察機関の知的財産権事件保護典型事例

最高検察院は、4月25日付、4月19日まとめた検察機関の知的財産権事件保護典型事例を知的財産権の法的保護強化、包括的なイノベーション強力、合法化されたビジネス環境を構築し、新たな生産力の発展を促進のための参考として、9件の典型事例を地方政府の検察機関に通知した。知的財産権行政保護典型事例は以下の通り:

1.浙江兆某股份有限公司、方氏など6人の営業秘密侵害刑事事件
 青島雲蒙先進材料技術有限公司のアモルファスストリップの製造用スプレートラック、晶析装置、晶析装置の研削機構などのコア技術である営業秘密を被告企業とその従業員が同社の従業員を買収し取得し製造ラインを建設し、その従業員10人以上を引き抜いた事件で、青島人民法院は被告会社に300万元の罰金、4人に禁固3年から5年、罰金100~200万元、原告元従業員2人に懲役1年、罰金5万元を科した。上告棄却で結審。

2.劉氏など3人の著作権侵害刑事事件
 フィリップスやGEのCTなどの医療機器のセキュリティ保護されたソフトウェアや保守マニュアルなどを無断で持出しセキュリティを回避する手段を作成し、ネット上でダウンロード販売した事件で、上海人民法院は著作権侵害として被告らに禁固1年から3年2か月、罰金8万元~70万元を科した。

3.重慶乾波機械設備有限公司、官氏など著作権侵害刑事事件
 重慶乾波機械設備有限公司の役員が業務提携先のNC工作機械の制御システムマザーボードチップのリバースエンジニアリングを当該会社の臨時従業員に委託し、入手した技術で同機種を製造販売した事件で、重慶市人民法院は著作権侵害として官氏に禁固3年、罰金12万元を科した。

4. 関氏など3人の営業秘密侵害刑事事件
 寧波凯越国際貿易有限公司の営業職の従業員である関氏は就業中にドイツ顧客との取引情報を取得し、退職後自社設立し秘密保持義務に違反しドイツ顧客との取引を開始し原告に大きな損害を与えた事件で、寧波人民法院は関氏に禁固4年、罰金400万元を科し、その他の従業員に禁固1年8か月、罰金4~5万元を科した。

5.許氏など26人の登録商標虚偽表示、偽造登録商標商品販売刑事事件
 「ROLEX」時計の模倣品や部品、ケースなどに「ROLEX」商標を表示し大人数のグループで販売した事件で、江蘇省鎮江市人民法院は登録商標偽造罪、登録商標偽造品販売罪などで禁固1~6年、罰金6 万~5,000万元を科した。

6.叶氏の登録商標虚偽表示刑事事件
 被告は、商標権者に無断で第三者の「DELIXI」商標の銘板を作成し自社の配電ボックスに表示し販売し、登録商標偽造罪で刑事告訴された事件で、内モンゴル人民法院第一審で認定に誤りがあり、差戻審で禁固3年6月、罰金33万元が科された。

7.天長市新某有限公司vs湛江市蘇某有限公司、海口市椰某有限公司など不正競争民事紛争控訴民事事件
 原告の登録商標がその標章に悪影響があることを理由に無効とされた状況で、原告から製品の製造委託を受けていた被告が原告製品を無断で製造販売し不正競争行為として提訴された事件で、杭州人民法院は不正競争行為と認定し、15万元の賠償を認定した。

8. 上海今鼎貿易有限公司vs上海市嘉定区市場監督管理局登録商標権利侵害行政処罰執行事件
 商標権侵害した被告に侵害停止と罰金13万元を科したが、応じなかったために市場監督管理局が催告し行政訴訟を提起した事件で、強制執行の処罰決定が下された。

9. 「鎮湖刺繍」知的財産権行政保護行政公益訴訟事件
 国家無形文化遺産に選定されている「鎮湖刺繍」は江蘇省蘇州市湖丘区鎮湖街が発祥で手作り、2010年に国家地理的保護表示製品に指定された。機械刺繍の偽装品が大量に出回り意匠特許や著作権侵害紛争が頻発したが保護が難しいため、行政公益訴訟が検察院から勧告され、基準を満たさない製品に対する警告、処罰、調停を通じて対策に成功した。

参照サイト:https://www.spp.gov.cn//xwfbh/wsfbt/202404/t20240425_652529.shtml