最高人民法院は、2025年中国公正競争政策広報週間(9月8日~12日)「統一市場、未来への公正競争」に併せて、司法裁判の模範的かつ指導的役割を示すために典型的不正競争防止事件8件を公表した。これらの事件は、偽造・混同、営業秘密侵害、商業上の名誉毀損、オンライン不正競争の認定、不正競争防止法の一般規定の適用といった重要な法的問題を扱っている。対象分野は、電子商取引プラットフォームや自動車整備サービスといったオンライン・オフラインの幅広い分野に加え、人工知能やライブストリーミングプラットフォームといった新技術・新ビジネスモデルを含んでおり、厳格な保護と公正な競争秩序の維持、「有名ブランド模倣」などの不正競争行為に対する厳罰、新しいタイプの紛争に対する適切に裁定の特徴がある。
事例1.「公牛」の商号不正競争事件
公牛集団股份有限公司vs公牛王(山東)科技発展有限公司ほか;(2024)最高法民再224号
原告は、コンセントなどの電気設備に「公牛」商標を保有し、何度も浙江省の知名商標と認定されているところ、被告は同業種の会社で、商号に公牛を使用するともに、「公牛王」の商標出願もしたことから、「公牛」を商号に使用することは不正当競争に該当すると提訴した。一審は、被告に主観的な故意があり、事業も一定の関連性があるため、関連公衆の混同誤認を招きやすく不正競争行為を構成すると判断し、商号の使用中止、10万元の損害賠償を命じた。二審は、商号として登録する行為は「商業的使用」行為ではなく、原告は被告が実際の商業的使用行為を証明していないとして、一審判決を破棄した。最高人民法院の再審では、反不正当競争法6条に規定する商号の使用には、銘板、取引書類、販促広告、製品包装への商号の記載だけでなく、商号の法人登記も含まれると判断し、二審を破棄、一審判決を維持した。
事例2.「遠心圧縮機選択型」のソフトウェア著作権及び営業秘密侵害事件
瀋某集団股份有限公司、瀋陽東平機械古墳有限公司vs瀋陽某機械有限公司、瀋陽斯某機械制造有限公司、孫氏、印氏、呉氏;(2022)最高法知民终1592号
被告の孫氏、印氏は、原告の元従業員で遠心圧縮機の設計・製造図面、本件に係るソフトウェア、および関連基礎データを不法に取得し、被告の企業での侵害行為を行い、2011年に和解により侵害行為の停止を制約していた。しかし、営業秘密情報を保持し、侵害行為を係属したことから提訴された。一審は侵害行為の停止と2500万元の損害賠償を命じた。二審では、リバースエンジニアリングの主張をしたが成立せず、著作権侵害と営業秘密の侵害として、ソフトウェアとデータの使用、開示などの停止、1.66置く減の支払いを命じた。
事例3. 「天然プロテアーゼ3」の営業秘密侵害事件
ニュージーランド某诊断会社vs武漢博某生物科技有限公司、孫氏の営業秘密侵害事件;(2023)最高法知民终2913号、(2022)鄂01知民初707号
原告の元従業員の孫氏が、退職後、被告会社の法定代表者になり、原告の、ヒト好中球の青顆粒から天然プロテアーゼ3(PR3)を分離・精製する製造プロセス及び製品調製手順に関する技術秘密を開示と特許出願を行い、秘密保持義務に違反し、損害を受けたとして提訴した。一審は、反不正当競争法9条の技術の同一性を認定し、開示、利用に該当するとして、被告らに侵害行為の停止、損害賠償180万元の支払いを命じた。二審は、営業秘密であることを認定し、控訴を棄却し、原判決を支持した。
事例4. オンラインゲーム第三者取引プラットフォーム不正競争事件
深圳市騰訊計算機系統有限公司vs鄭州市易晟信息技術有限公司;(2022)粤73民终3597号、(2020)粤0192民初46315号
原告は、被告のゲームコインなどの仮想資産の取引サービスを利用者に提供する行為が利用者の権益を損ない、違法な利益追求の情況を起こしているとして提訴した。一審は、その可能性を十分に認識しながらゲーム通貨の取引サービスを継続し、消費者と公共の利益、原告の正当な権益を損ない不正競争行為に該当すると判断し、合法的出所が証明できないゲーム通貨の取引サービスの停止、損害賠償303万元の支払いを命じた。二審は控訴を棄却し、原判決を支持した。
事例5. 「商品ライブ配信販売」での商標権侵害及び不正競争事件
華為科技有限公司vs衢州市大某電子商務有限公司、張氏、北京抖某科技有限公司など;(2025)浙08民终563号、(2024)浙0803民初1192号
原告は、被告らが許可なく「華為」などの商標を付けた多数の短編動画を中国版Tiktokの抖音で公開し、ライブ配信のでも常設背景として使用しデジタル商品を販売したため侵害行為の停止と損害賠償を求めて提訴した。一審は、侵害行為の停止に加え、被告が賠償から逃れるような行為を審理中に行ったことを受けて、3倍の懲罰的賠償を含め110万元の賠償を命じた。二審は、商標権侵害に加え、知名度の会社名や商品名の無断使用は誤認混同につながる不正当競争法6条に該当すると判断し、一審を支持し、控訴を棄却した。
事例6. 「点検整備サービス」での不正競争事件
上海途虎信息技術有限公司vs北京某東世紀貿易有限公司、北京某東世紀信息技術有限公司、北京某広行信息技術有限公司;(2025)沪73民终33号、(2024)沪0112民初3840号
原告は「途虎」商標を35類や37類に保有し比較的著名であるところ、被告らが「震虎价」をうたって低価格の点検整備サービスのキャンペーンを展開し、特に、「虎」の文字を使って原告に対抗するような宣伝広告を実施したため提訴した。一審は、被告らが低価格販売キャンペーンで原告を悪徳事業者という虚偽かつ誤解を招く情報を捏造・流布し、事業と製品の信用を毀損したことが反不正当競争法8条に該当すると判断し、侵害行為の停止と損害賠償500万元の支払い命じた。二審は、一審を支持し、控訴を棄却した。
事例7. 移行ソフト「盗図抄店」での不正競争事件
浙江淘宝網絡有限公司、浙江天猫網絡有限公司vs鎮江市微楓計算機軟件有限公司、鎮江微陶信息軟件開発有限公司など;(2024)蘇民终212号、(2023)蘇11民初29号
被告らは、他人のECプラットフォームの保護措置を回避し当該ECサイトが販売する商品を販売する店舗を開設して、当該店舗で受けた注文をECサイトから出荷させるアプリを有料で提供しており、原告は不正競争行為に該当するとして提訴した。一審は、潜在的取引機会と利益が奪われたたとし、反不正当競争法12条2項4号に該当すると判断して、500万元の損害賠償を命じた。二審は一審を支持し、控訴を棄却した。
事例8. 「画像イラスト化アプリ」の不正競争事件
北京抖音科技有限公司vs億睿科信息技術(北京)有限公司;(2023)京73民终3802号、(2023)京0105民初71391号
原告は、AI技術を駆使した顔写真を漫画風にリアルタイムでイラスト化するアプリをリリースし、市場で大きな反響を受けていたところ、被告が同種のアプリはリリースし、それは原告のアプリとほぼ同じイラストを作成することから、技術を盗用した不正競争にあたるとして侵害行為の差止、損害賠償を求めて提訴した。被告の反証がないことから、反不正当競争法2条に該当すると判断し、150万元の賠償を命じた。二審も一審を支持し競争上の利益に重大な損害を与え、競争秩序を混乱させ、消費者の権益も毀損したと認定し、控訴を棄却した。
参照サイト:https://www.baidu.com/link?url=xDiPie_SZDuErhNxIgrcXaAPRqlPLwgOwuo5wSAEDqwXxDyUvKt2OanFJgSqCE4euO5CfSAUPMLyUgqQUEhiAa&wd=&eqid=c22804a6013203600000000668c35375
https://m.thepaper.cn/baijiahao_31591091