【中国】 特許等知的財産権訴訟第二審手続き変更の決定の公示、2019年1月1日施行(2018年10月26日)

最高人民法院は、10月27日付、「特許等知的財産権訴訟手続きの若干の問題に関する決定」を公示しました。これは、10月26日午後に開催された第13回全国人民代表大会常務委員会第6回において、最高人民法院が審議を提出した「特許等知的財産権訴訟手続きの若干の問題に関する決定」(以下「決定」)が採択、承認されたもので、中国版CAFCと言ってもよい、特許侵害など比較的技術的に判断が難しい審判の第二審を最高知的財産法院で集中的に行う方針を明確にした。2019年1月1日から施行される。

中国知財訴訟システム

経緯としては、2017年11月の「知的財産裁判分野の改革と革新に関するいくつかの問題に関する意見」に基づき、最高人民法院が検討を重ね、本年10月22日の第13回全国人民代表大会常務委員会第6回会議で本件「決定」の草案の説明を行い、イノベーション主導の発展戦略を展開するには知的財産権事件審判の標準化を進め、科学技術革新法の環境を最適化し、知的財産権強国の建設に有力な司法的保障の提供が必要であり、国レベルの知的財産権事件の第二審のメカニズムを確立するために審議を要請した。

ポイントとしては、以下のような事項である。最高人民法院内に知識産権法院を設立し、全国での技術的専門性の高い特許などの第二審を統一して審理することで、国レベルの知的財産権事件の上告メカニズムを確立し、科学技術革新の奨励と保護を保障する環境整備をする。国内外の企業の知的財産権に対する法律による平等な保護を強化、促進する。法治化、国際化、便利化の経営環境、統一と規範的裁判のレベルを統一し、司法に対する公信力を向上させる。なお、新制度を3年間実施して、全国人民代表大会常務委員会に報告し、その後の見直しを示唆している。

 以下に仮訳を掲載し、ご参考とする。

<仮訳>全国人民代表大会常務委員会の特許等知的財産権事件訴訟手続きの若干の問題に関する決定(2018年10月26日第十三回全国人民代表大会常務委員会第六回採択)

知的財産事件の裁判の標準を統一するために、さらに知的財産権の司法による保護を強化し、科学技術イノベーションの法治環境を最適化し、イノベーション主導の発展戦略の実行を加速するために、特に以下の通り決定した。

第1条 当事者が発明特許、実用新案特許、植物新品種、集積回路配置設計、営業秘密、コンピュータソフトウェア、独占などの技術的専門性が比較的高い知的財産権の民事事件の第一審判決、裁定に不服で上訴する場合、最高人民法院が審理する。

第2条 当事者が特許、植物新品種、集積回路配置設計、営業秘密、コンピュータソフトウェア、独占など技術的専門性が比較的高い知的財産権の行政事件の第一審の判決、裁定に不服で上訴する場合、最高人民法院が審理する。

第3条 すでに法律の効力が発生した上述の事件の第一審裁判、裁定、調停書、合法的再審請求、抗訴などについては、審判監督手続きを適用して、最高人民法院が審理する。最高人民裁判所は、法に基づき下級人民法院に再審を命じることができる。

第4条 本決定は満3年間施行され、最高人民法院は全国人民代表大会常務委員会に本決定の実施状況を報告しなければならない。

第5条 本決定は、2019年1月1日より施行する。

参考サイトは下記の通り。

http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-125391.html

https://www.chinacourt.org/article/detail/2018/10/id/3549561.shtml