インドネシア政府は、特許法(No.13/2016)の改正案を10月28日に通過させ、同日施行した。改正後の特許法は、No.65/2024号となる。しかし、対応する施行規則が未発表未施行のため、適用と運用には不明な部分があるので注意が必要である。
今回の改正の目的は、IOTやAIを含めたイノベーションの促進、特許手続きの改善と特許規定の調整及び国際法とのハーモナイズであり、改正内容は比較的多く29項目になるが、すでに2023年のオムニバス法(雇用創出に関する法律など)の改正(No.6/2023)により適用されている改正もあるため重複する点があるので注意が必要である。今回の特許出願で注目する改正は以下11項目にまとめることができる。
1.新規性喪失の例外期間を12か月に延長(Art.6)
2.請求項10を超える請求項の手数料の請求開始(Art.24(2A))
3.出願要件の変更で発明者譲渡書類の提出廃止、遺伝資源や伝統的知識に基づく発明の宣誓書の提出を追加(Art.25(1f)、(2g)、(2j)、Art.26)
4.優先権主張期間徒過に4か月(基礎出願から16か月)以内に救済規定の追加(Art.30(5))
5.出願受理条件不適合で却下された場合に見做し取下となるため、延長申請や見做し取下通知から6か月以内に再審請求を可能とする追加規定(Art.34、35、36)
6.自発補正対象を出願書類のすべてまで拡大(Art.39)
7.取下げた出願を6か月以内に再出願できる規定の追加(Art.43)
8.早期公開時期を出願日から3か月後に短縮し、早期審査を追加規定(Art.46(3)、54A)
9.単一性違反に対する実体審査の対象を追加(Art.54)
10.再審請求を新設し、拒絶査定、登録後の訂正、認可査定、取下、及び見做し取下はその査定日から9か月以内、取下はその決定日から2か月以内に特許審判委員会に再審を請求でき、再審決定は請求から最大12か月以内。再審不服は従来通り行政訴訟(Art.63A、69、70、71A、72)
11.特許年金は2018年の通知に対応して規定を改正(Art.126)
上記の他、特許の実施と報告義務、強制実施権に改正がある。
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